学生の窓口編集部

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子供のころに「科学者になりたい」と思ったことはありませんか? 「科学者」というと、知的で、一つの道を究めるという、一種の求道者のようなイメージがありますね。今回は「科学者になるには」、また「科学者の給与」についてご紹介します。

■科学者になるには研究を続けること!

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「科学者」というとちょっと漠然とした言葉です。「職業は?」と尋ねられて「科学者です」と答える人はあまりいらっしゃらないでしょう。多くの科学者は、例えば「大学教員です」「○○研究所に勤めています」といった回答になるのではないでしょうか。

『広辞苑 第六版』によると「科学者」とは「科学(特に自然科学)を研究する人」(P.483より引用)となっています。ですから、科学者とは職種というよりは、科学の研究を続けている人全般を指す言葉と考えられます。
大学・大学院、その研究所、また民間の研究機関に勤務して、研究を続けるのが科学者の仕事となります。

科学者になる方法ですが、まず学者でないと「科学者」ではありませんから、大学・大学院で自然科学を学ぶことがその第一歩ですね。大学院を修了し博士号を取得。大学・大学院のときに書いた論文が評価されれば、高等教育機関、その研究所、民間の研究機関に雇用される機会が得られます。

「publish or perish」(論文を書け、さもなくば滅びよ)なんて言葉がありますが、科学者になるには自分の研究成果を論文にして発表しなければなりません。有名な科学雑誌に投稿すれば、査読者のチェックを経て掲載されます。科学雑誌に掲載されれば多くの人の目に触れ、その内容が素晴らしいものであれば自身の評価も高まります。

■研究を続けるには安定した基盤が必要!

科学者が研究を続けるには安定した基盤が必要です。生活に困らないだけの収入と、研究の費用が捻出できなければなりません。ですから、多くの科学者は大学教員などになって高等教育機関で教える、また研究員になる、などをしながら自分の研究を進めます。また、民間の研究所で研究員として雇用されるケースもあります。

科学者が一般企業で働いていないかというとそんなことはありません。多くの企業で、高い専門知識を持った「科学者」が基礎技術の開発などに従事しています。

その最も有名な例が、2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんでしょう。田中さんは株式会社島津製作所の社員でしたが、タンパク質などの質量分析を行うための「ソフトレーザー脱着法」の研究開発を行い、これがノーベル賞受賞につながりました。

企業に就職したサラリーマンという立場ですが、研究にまい進していることに変わりはありません(ただ、研究テーマは企業から指示されることがほとんどですが)。

仮に科学者の王道が大学教員(准教授・教授)に進むことだとすれば、企業勤務で研究を行うのは側道ということができるかもしれません。

では、科学者の給与とはどのくらいなのでしょうか? 厚生労働省の「平成28年賃金構造基本統計調査」の中に「自然科学系研究者」の給与についてのデータがあります。これを参照してみましょう。

●企業規模「10人以上」の企業に勤める自然科学系研究者
平均年齢:38.8歳
平均勤続年数:10.7年
平均年収:643万900円

●企業規模「10-99人」の企業に勤める自然科学系研究者
平均年齢:41.1歳
平均勤続年数:10.0年
平均年収:534万6,100円

●企業規模「100-999人」の企業に勤める自然科学系研究者
平均年齢:36.5歳
平均勤続年数:8.4年
平均年収:568万6,000円

●企業規模「1,000人以上」の企業に勤める自然科学系研究者
平均年齢:39.3歳
平均勤続年数:11.5年
平均年収:682万9,500円

※上記の平均年収は、上の厚生労働省のデータを基に「きまって支給する現金給与額」を12倍し、「年間賞与その他特別給与額」を足して計算しています。

⇒データ出典:厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」の「職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」
https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000001054146

大学院に進学して研究を続け、将来は大学の教員になるという人もいらっしゃるでしょう。上記の例えでいうなら「王道」を行く場合ですね。上記のデータから「大学准教授」の給与を参照すると、下のようになります。

●企業規模「10人以上」の企業に勤める大学准教授
平均年齢:47.9歳
平均勤続年数:11.0年
平均年収:848万3,100円

●企業規模「10-99人」の企業に勤める大学准教授
平均年齢:49.1歳
平均勤続年数:9.9年
平均年収:708万800円

●企業規模「100-999人」の企業に勤める大学准教授
平均年齢:49.0歳
平均勤続年数:9.9年
平均年収:801万9,600円

●企業規模「1,000人以上」の企業に勤める大学准教授
平均年齢:47.1歳
平均勤続年数:11.7年
平均年収:883万6,700円

さらに「大学教授」の給与を見てみましょう。

●企業規模「10人以上」の企業に勤める大学教授

平均年齢:57.6歳
平均勤続年数:16.6年
平均年収:1,069万1,100円

●企業規模「10-99人」の企業に勤める大学教授
平均年齢:60.3歳
平均勤続年数:11.7年
平均年収:808万1,500円

●企業規模「100-999人」の企業に勤める大学教授
平均年齢:58.4歳
平均勤続年数:15.1年
平均年収:995万8,100円

●企業規模「1,000人以上」の企業に勤める大学教授
平均年齢:56.9歳
平均勤続年数:18.0年
平均年収:1,134万1,400円

平均年収の最高額だけを取ると、「自然科学系研究者」では約700万円、「大学准教授」では約900万円、「大学教授」では約1,100万円です。日本のサラリーマンの平均年収が約400万円ですから、かなりの高額だといえるでしょう。

准教授になるのも大変な世界ですが、やはりそこで大事になるのは論文を書くこと、そして認められることです。ですから科学者にはある種のアピール力も必要になります。

『バッタを倒しにアフリカへ』の著作で知られる前野ウルド浩太郎先生は、そのフィールドワークも素晴らしいですが、自分の研究に対するアピールについても一流の科学者といえるのではないでしょうか。

科学者になるにはどうすればいいかについて解説しました。繰り返しになりますが、科学者とは科学の研究をしている人。つまり研究を継続している人だけが科学者なのです。そのためには飽くなき探究心と地道な努力が必要となります。「科学者になりたい」という人は、その点を忘れないでくださいね。

⇒『バッタを倒しにアフリカへ』
https://goo.gl/kToupZ

(高橋モータース@dcp)