価格はやや上昇…田中貴金属、2017年上半期における投資用金地金などの取引量を発表
田中貴金属は2017年7月11日、同社における2017年上半期(1月から6月)の投資用金地金、プラチナ地金の販売量と買取量の数値などを発表した。その内容によれば金価格はドル建てででは政治的情勢や地政学リスクの動向を受けて比較的大きな値動きをしたものの、為替動向が影響する形で円建て価格は値動きが少ない展開となった。また(田中貴金属側による)金の買い取り量は増加し前年同期比で10.1%の増となった。一方で金の販売量は41.2%減少している。田中貴金属側では地政学リスクの高まりに伴う先行き不透明感があり、値動きが乏しくなったことも合わせ、積極的な売買が手控えられたと分析している(【田中貴金属公式サイト】)。
↑ 田中貴金属における金(ゴールド)の販売・買取量指数の推移と金価格(指数は2001年の販売量を100とした時の値)(-2017年上半期)
↑ 田中貴金属における金(ゴールド)の販売・買取量指数の推移と金価格(指数は2001年の販売量を100とした時の値)(-2017年上半期)

2017年上半期の金価格動向は次の通り。2017年2月に入ると移民問題の本格化や欧州経済の先行き不透明感の増大からユーロ安が進み、不安感による金の購入とドル高が同時に進行したことで、国内価格も3月初旬には今年の最高値である4604円/グラムを記録。4月には米露外相会談でのシリアを巡る議論を契機に米露間の緊張が高まったことに加え、トランプ米大統領のドル高けん制発言もあったことからドル売り優勢の中、ドル建て金価格は上昇。5月には仏大統領選でマクロン氏が勝利したことで欧州リスクが緩和されたことにより下落。6月には英国におけるテロやカタール国交断絶などの地政学的リスクで金価格が下支えされ、一度は値を戻したものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)後にはドルや米長期金利の上昇、さらにFRBの資産圧縮案を受け、金価格が下落することとなった。ドル建てでは比較的大きな値動きをしたが、円建てでは価格はドル高によって相殺されることとなり、値動きは小さなものとなっている。

金地金の売買動向だが、前年同期と比べ、田中貴金属側から見た販売量、つまり一般客の購入量は41.2%減。田中貴金属側から見た買取量、すなわち一般客による販売量は10.1%の増加を示している。一般客の購入がやや手控えられている感があるのは、値上がり要因と値下がり要因が錯綜し、市場動向が把握しにくい、先が読み難い状況を表しているのかもしれない。

今後の動向だが、アメリカ合衆国の金融政策の動向、欧州でのテロを含む中東の情勢や、東アジアなどの地政学的リスクに対する警戒感・不安感の状況に市場の注目が集まることが予想される。それに合わせて金市場がどのような反応を見せるのか、あるいはどのような反応を示すと市場関係者の思惑がなされるのかに注目が集まる。

↑ 金税込小売価格(田中貴金属、グラム当たり円、直近30営業日)
↑ 金税込小売価格(田中貴金属、グラム当たり円、直近30営業日)

為替相場は比較的安定はしているものの、世界各地で見られる火種が火を噴く、あるいはそのような気配を見せることで大きく動く可能性がある。情勢の悪化が露呈することになれば、金価格そのものの上昇と為替の変動で、再び日本国内における金価格も荒い値動きをするに違いない。