米国の市場調査会社CIRP(コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ)がこのほどまとめたリポート(PDF書類)によると、米アマゾン・ドットコムの有料会員プログラム「Prime(プライム)」の米国における加入者数は8500万人に達し、1年前の6300万人から35%増加した。

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有料会員比率が63%に

 これは今年(2017年)4〜6月にアマゾンで買い物をした500人の米国人を対象に行ったアンケート調査をもとに推計したもの。それによると、米国のアマゾンの全顧客に占めるPrime会員の比率は63%と、ほぼ3分の2に上るという。同社が昨年まとめたリポートでは、この比率は47%だった。

 米国のPrime会員数は2014年9月以降、右肩上がりで推移し、過去2年間で倍増している。その四半期ごとの伸び率はここ最近低下傾向にあるが、それはPrimeがすでに米国民に十分浸透しており、会員数が膨大なものになっているからだという。

 例えば今年4〜6月における会員数の伸びは6%で、1年前の9%よりも低い。しかしいずれの四半期もアマゾンは500万人の新規会員を獲得することに成功しているという。

Prime会員は非会員に比べ多くを支出

 そして、これらPrime会員はアマゾンに巨額の収入をもたらしている。このリポートによると、1人のPrime会員が1年間にアマゾンで買い物をする金額は1300ドル(約14万9000円)。これは非Prime会員の700ドル(約8万円)を大きく上回っている。

 単純に1人当たりの年間支出額に会員数を乗ずると、1105億ドル(約12兆6400億円)となる。また米国におけるPrimeの年会費は99ドルなので、アマゾンは年間、84億1500万ドル(約9600億円)の会費を米国だけで得ていることになる。

 CIRPによると、Prime会員と非会員の行動の違いは買い物の回数にある。例えばPrime会員はアマゾンで年間25回買い物をするが、非会員の年間平均買い物回数は14回。それぞれ1回の買い物に使う金額は大差ないが、回数の違いが、支出額の差につながっていると同社は分析する。

 Primeには、追加料金なしで商品が2日後に届く「Two-Day Shipping」や、1回の買い物金額が35ドル以上になれば、同じく追加料金なしで商品が即日届く「Same-Day Delivery」といった特典があり、これらが買い物をする際の障壁を取り除いているという。

低所得者向けなど、手頃な料金プランを用意

 また、アマゾンは2016年4月に、月額制の料金プランの提供を始めた。その金額は10.99ドルと、割高だが、これは年間契約を決めかねている多くの消費者にとって手頃な料金であり、会員の拡大に寄与しているという。

(参考・関連記事)「米アマゾン、「Prime」に月額制の料金プラン」

 このほか、アマゾンは今年6月に米国で、低所得者向け料金プランの提供を始めた。これは、連邦栄養補給支援プログラム(SNAP)などを受けている人に対し、Primeの月額料金を5.99ドルにするというもの。

 Primeには上述した配送特典のほか、有料の1時間以内配送「Prime Now」、映画・テレビ番組が見放題になるストリーミングビデオサービス「Prime Video」、聴き放題の音楽ストリーミングサービス「Prime Music」、電子書籍を無料でレンタルできる「Prime Reading」、写真を無制限にクラウドストレージに保存できる「Prime Photo」などがある。

 同社は低所得者向けプランでも同様の特典を用意しているが、そうした施策は、より幅広い消費者層に自社サービスを広めるというアマゾンの戦略に合致していると、CIRPは指摘している。

筆者:小久保 重信