コミュニケーションが大切だということは、ほとんどのビジネスマンが理解されていると思いますが、「分かっているけど難しいよね」と言う人も多いのではないでしょうか?

 職場でよく見かけるのは、2人の間で山ほどの言葉がやり取りされているのに、本当に大切なことは話されていない、もしくは伝わっていない状況です。

 かつて私のコーチングの師匠は、こう言っていました。

「コミュニケーションは“言葉のキャッチボール”とよく言われますが、キャッチボールが行われていることは滅多にありません。実際には、雪合戦が行われています。つまり、いかに向こうが投げてきた球を避けながら攻撃の球を投げるかを競っているような状況です」

 確かにその通りだな、とうなずかされることがよくあります。

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気の利いたことを言う必要はありません

 キャッチボールのようなコミュニケーションで建設的な対話ができたら、仕事の質もスピードも変わるような気がしませんか?

 相手と「キャッチボールのコミュニケーション」をするのは、実は簡単です。

 なにか気の利いたことを言う必要はまったくありません。逆に、何も語らず、口を閉じて、相手の言うことに耳を傾ければいいだけです。

 もしかしたら、聞くことに徹するのは「難しい」と感じられるかもしれません。相手が自分の考えていることと違うことを言ったりすると、ついつい反論したり、アドバイスしたくなったりするものです。

 でも、ほんの5分間でもいいので、試してみてください。相手はいろいろなこと、それも、それまで聞いたことがないような話もしてくれるかもしれません。

深い話をしてもらうための3つのコツ

「聞く」には、いくつかコツがあります。

 1つ目は、評価、判断、アドバイスをしないことです。自分の価値観はいったん置いておいて、相手の価値観の世界に身を置いてみるのです。「そういう考えもあるんだね〜」と。

 2つ目は、リアクションです。やっぱり笑顔は大切です。相手が笑顔だと、ついつい話したくなりますよね。そして、「うんうん」「そうだよね」「いいね!」といった肯定的な相槌も効果があります。

 そして3つ目は、話の内容を深めて、広げるための簡単な問いかけをすることです。例えば、「具体的にはどういうこと?」で話を掘り下げ、「他には?」で話を広げます。この2つの問いかけを使うと、話がどんどん展開していきます。

 以上の3つのコツに気をつけて、5分だけでも話を聞いてみてください。驚くほど深い内容の話が聞けるようになるはずです。

一緒に働いている人の胸のうちは?

 普段一緒に働いている人を理解するためには、やはりコミュニケーションが欠かせません。もしも飲み会などで話をする機会があったら、ふだんできない話を積極的にして、その人をもっと理解してみましょう。

 具体的にどんな話をしてもらったらいいか思いつかない場合には、「仕事で楽しい、充実していると思ったこと」や「キツかった、しんどかった、乗り越えた経験」等について聞いてみると、「あ、この人、そんな考えを持って仕事に臨んでいたのか!」など、その人が大切にしているものが分かり、関係性が深まったりします。

 そして、そんな話が聞けると、もっと相手のことを知りたいと感じるようになりますし、相手もその気持ちを感じることで、より親しみを覚えてくれるかもしれません。

 ぜひ試してみてください。そして、その結果、自分の内面に起こったことや変化、相手に起こった変化などについて考えてみてください。

筆者:和気 香子