「メートル法」以前に日本で使われていた単位について「法律上は禁止。それでも「坪」や「寸」の単位を日本人が好む理由」で紹介した無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』の著者・須田將昭さん。今回は、「匁(もんめ)」という単位を取り上げています。実は世界でも広く通用するこの「匁」、いったいどういった時に使われる単位なのでしょうか?

匁は大事な文化遺産

「法律上は禁止。それでも「坪」や「寸」の単位を日本人が好む理由」では、尺貫法という昔からの日本でのさまざまな単位について書いてみました。

それらの単位に使われている「坪」や「尺」は今も『常用漢字表』に載っています。ところが「匁」は2010年に、『常用漢字表』が見直された時に削除されてしまいました(「人名用漢字」の表にうつったので、人名には引き続き使えます)。

削除された当時はなんとなく「まあ、匁なんて普段使わないものなあ」とぼんやり思っていました。確かに、坪・尺などに比べて使う機会はほとんどありません。

しかしあらためて「匁」という単位を調べてみると、坪や尺などの尺貫法の単位は商取引きでの使用は禁じられていますが、匁だけは「真珠での取引」に限ってですが、使用が認められているという特別な単位だったのです。

真珠の養殖に成功したことで、真珠は日本の特産品として世界で認められていきます。そうした経緯の中で、「もんめ」という単位が浸透し、英語でも「momme」となっています。

ではなぜ「匁」という漢字が常用漢字ではなくなったのでしょうか。

あらためて『計量単位令』第5条第2項に関連しての別表第6を見てみると、「真珠の質量の計量」の単位として「もんめ」と書かれてありました。

どうやらもともと法令上では「もんめ」と平仮名書きするようで「匁」ではなかったようです。

うむむ。そういうことが関連して、「匁」は外されたのか。

もっと細かいことは、当時の漢字小委員会の議論を掘り起こす必要があるかと思います。しかし、「匁」は世界に通じる単位の名称だったんだ、ということと、そこには真珠の養殖を成功させて、日本の特産品として世界中に受け入れられていった経緯があってこそのこと…というのを考えると、少し残念なことだったと、いまさらながら思います。

真珠の養殖を成功させた御木本幸吉の話は、ずっとずっと昔、子供の頃に何かの本で読んだ程度ですが、今回「匁」のことを知ったことで、あらためてじっくり調べ直してみたい、もっと知らなきゃいけないなという気がしてきました。

そこにはまた想像を超える、いろんな学びがあるように直感しています。

image by: Shutterstock.com

 

『1日1粒!『幸せのタネ』』

この著者の記事を見る/メルマガ

「楽しく豊かな人生」を送るために役立つさまざまな気づきを,「学び」をキーワードに「幸せのタネ」として毎日お届けします。

出典元:まぐまぐニュース!