Qolyとユーザーで選ぶJ1前半戦ベストイレブン 〜OMF部門〜

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2017シーズンのJ1も第17節が終了した。つまり、今季の上半期が終わったというわけだ。

「はたして、今季の上半期でベストイレブンを選ぶとしたらどういう顔ぶれになるだろう…」

筆者は開幕から二ヶ月後に少し気が早いベストイレブンを独断で選出させて頂いたが、今回は、Qolyユーザーの方々の協力も得つつ、上半期のベストイレブンを改めて選んでみることにした。

GK&DF部門」、「DMF&CMF部門」、「SMF部門」に引き続き、話題は「OMF部門」に。今回もQoly編集部Tさんとの対談形式でお楽しみ頂きたい。

編集部T(以下、――):今回は攻撃的ミッドフィルダー(OMF)部門です。Twitterのアンケートでは、セレッソ大阪の山村和也が一位、中村憲剛が二位、倉田秋が三位という結果でした。まずはその印象から聞かせてください。

カレン(以下、省略):もう少し競るかと思っていましたが、蓋を開けてみたら、山村が圧倒しましたね。本来のボランチではなく攻撃的ミッドフィルダーにコンバートされての大活躍ですし、その衝撃度が大きかったのかもしれません。

――カレンさんの「山村評」は?

繰り返しになりますが、山村には誰しもが驚かされたと思います。あそこまでトップ下で機能することを予想出来たのは誰一人としていなかったのではないでしょうか。186cmの上背がありながら足元の技術も高く、さらに攻撃センスもあることは、鹿島アントラーズ時代から感じさせてくれていましたが…。そのポテンシャルを引き出した、ユン・ジョンファン監督には天晴れです。

ボランチの選手をトップ下にコンバートすることは様々なメリットがありますが、山村の場合は、チームに攻守両面で恩恵を与えています。

攻撃面では、大きく分けて三つ。「前線にタメが一つ追加されることで周囲が自由になる」、「セットプレーでターゲットが増える」、「競り合った後のセカンドボールからの攻撃が可能になる」ですかね。セレッソ大阪の前線はかなり流動的ですが、それを実現させているのも彼の存在かと思っています。

今から10年程前にローマの「ゼロトップシステム」が流行しましたが、あの時は、トップ下に入ったシモーネ・ペッロッタがかなり重要な役割を任されていました。元々はボランチの選手でしたが、彼がトップ下に入ることで、ワントップで起用されたフランチェスコ・トッティは伸び伸びとプレーし、厚みのある攻撃を実現できたわけです。

ペッロッタは山村よりも攻撃的な選手でしたが、ゲームを読む力であったり、相手が嫌がることを突くという面に関しては非常に似ていると思います。なので、このコンバートを見た時に当時のローマのことを思い出しましたね。

――守備面については?

守備に関してのメリットも大きく分けて三つ。「前線からのプレッシング成功率が上がる」、「相手ボランチに自由を与えない」、「運動量で周りの負担を軽減」、ですかね。

今季前半戦、セレッソ大阪が上位争い出来たのは、守備面での統制が取れていたことにあると思いますが、その調整役だったのも山村だと思います。彼の場合、ボランチだけではなくセンターバックとしてもプレーしていたので、「相手ディフェンダーがボールを持った時にどういうプレーをしたら嫌がるか」がわかる。この才能は守備時に大きな力になります。嫌がることを続けることにより相手チームのミスは増えますし、それが結果的にボール奪取に繋がりますからね。

また、その運動量も本当にチームを助けていると思います。

これは攻撃面でも言えることですが、特にセレッソ大阪のようなサッカーをする場合、どこかにサボるプレーヤーが出てくると、簡単に穴が出来ます。ですが、山村のように周囲を助けられる選手がいると、穴の発生率は劇的に減りますからね。

セレッソ大阪は前半戦17試合で15失点という数字を残しましたが、1試合平均に直すと0.88失点です。そして、昨季はJ2でありながら、1試合平均1.09失点。この記録も守備力の向上を如実に表しています。その要因は山村の力だけではないですが、貢献度の高さは明らかです。

上述のペッロッタがイタリア代表でもレギュラー格として活躍したように、山村の代表招集もあるかもしれませんね。ハリルホジッチ監督の志向するサッカーにも合うと思っているですけど…。

――Twitterアンケートでは一位になれませんでしたが、中村と倉田についてはどうでしょう?

ここのところ、日本代表の招集メンバーが発表される度に「中村憲剛・待望論」が巻き起こっているような気がしますが、"それもそのはず”のパフォーマンスを見せています。

90分フルパワーで戦うことは徐々に苦しそうになってきている印象ですが、それでもあの攻撃センスは陰りを見せません。川崎フロンターレは非常に魅力的なサッカーをしていますが、何だかんだで中村の存在が大きい。長短のパスでゲームを作り、機を見ては鋭いラストパスを通す。そして、「ここぞ」という場面では、あの高精度のミドルシュートもあります。守る側からすると一瞬でも気が抜けないでしょうし、試合に出ているだけで、相手チームにボディブローのようなダメージを与えられる選手ですよね。

――現在も日本代表にも入るべき選手だと?

だと思っています。今の日本代表は試合のリズムが停滞することが度々あるので、彼のような選手は今でも必要だなと。

もちろん、将来的なことを見据えると、若手が解決策になることが好ましいです。ですが、現状ではスペインで評価を上げている柴崎岳がどこまでやれるか…という案しか浮かびません。であれば、いつでも計算できる中村憲剛を選ぶのも一つかなと。ハリルホジッチにその構想はないのかもしれませんが…。

――今季の活躍でその日本代表に初招集された倉田については?

ハリルホジッチも語っていましたが、あの機動力には惹かれますね。味方を活かすだけではなく、味方に活かされることも可能な選手という表現が相応しいでしょうか。90分通してゴールチャンスを狙っていますし、ペナルティエリアに侵入するセンスも抜群です。

ただ、個人的に最も評価しているのは、"想い”が込もったパスにあります。

彼は、周囲とのパス交換からゴール前に入るプレーを得意としていますが、そのスイッチとなる彼のパスは全てにメッセージが入っているように感じるんですよ。「おれはこの後こうしたいから、こうしてくれ!」という意思が伝わるというか。

それをパスの強弱と動き出しで表現しているんだと思いますが、あのようなプレーを淡々とやってのける選手というのは、地味ながら本当にすごいと思います。どんなサッカーにも合いそうなタイプです。

ガンバ大阪でプロデビューを飾った後、ジェフユナイテッド千葉、セレッソ大阪に期限付き移籍。そして、またガンバ大阪に戻ってきたキャリアですが、今のジェフやセレッソにいても「面白かっただろうなぁ」と勝手に妄想しています。サポーターやファンの方々には「何言ってんねん!」って怒られそうですが…(笑)繰り返しになりますが、どんな戦術にも合いそうな選手ですね。

――他に気になった選手はいますか?

何人かいますよ。まずは、ドイツのフランクフルトへステップアップを果たした、サガン鳥栖の鎌田大地です。"疲れる戦術”を志向するチームに身を置きながらも創造性を失いませんでした。「天才パサー」という称号が良く付けられてきましたが、パスだけではなく、簡単にボールを失わないドリブルも魅力に溢れています。

――ドイツで活躍する可能性についてはどうでしょうか?

可能性はあると思います。欧州トップリーグにおいてもテクニックを備えた選手は少ないですし、あの決して物怖じしないメンタルも武器になるでしょう。

ただ、Jリーグでは気になりませんでしたが、フィジカルコンタクトの面は気掛かりですかね。トップ下で勝負するとなると、確実に厳しく「当たり」に来られます。そこに耐える、あるいはかわす能力をどこまで伸ばせるかが重要になってくるでしょう。

後は、得点力ですかね。決してシュート技術が低いわけではないと思いますが、Jリーグでは二桁得点を達成できていないことは事実ですし、技術以上にシュート意欲を向上させる必要があると思います。

先日、ポーランドで一年半戦った森岡亮太との話の中で「攻撃的ミッドフィルダーとして海外で活躍するには」みたいな話題が出たんですが、彼の口から発せられたのは「やっぱり、海外では点を取ってなんぼ!」でした。彼もJリーグではパサーとしての評価が高かった選手ですが、移籍してからそのプレースタイルは明らかに変わりました。「シュートを狙う回数は確実に増えました」と本人も語っていましたが、「そこが求められているな…」と感じたからだと思います。そして、それと同じような状況が鎌田にも訪れるんじゃないでしょうか。

極端な例えになりますが、やはり、欧州は「0得点20アシスト」よりも「10得点10アシスト」が評価される文化です。そういう世界で、鎌田自身が、何に気付かされ、何を変えていくのか。特にサガン鳥栖のサポーターの方々は、そういう視点で彼を追うのも面白いかもしれませんね。

――なるほど。話を戻しまして、鎌田以外でどうでしたか?

そうですね…何人かいるんですが…。

――二人に絞ってください(笑)

ん〜、となると…ジュビロ磐田の中村俊輔と柏レイソルの中川寛斗ですかね。

――続いて、手短に総評を(笑)

急かしますね(笑)

まず、中村は、プレー面はもちろんのことですが、それ以外でもジュビロ磐田というチームに大きな影響を与えているなと。あれだけのキャリアを築いた選手が、チームをよくするためにはどうしたらいいかを考えてくれているんですから、周囲に強い刺激を与えていると思います。後半戦は、その薫陶を受けた選手たちが顔を出してくるかもしれません。

中川については、チームへの貢献度という面では、このポジションにおいてはトップクラスだと思います。得点は「3」と物足りなさはありますが、本当に献身的なプレーを続けました。あれだけ前線でチェイシングしてくれたら、チームメイトは彼に頭が上がらないでしょう。決定的な仕事は少ないかもしれませんが、総合的に評価すれば、候補に入るべき選手だと思います。

いよいよ、次回はラストの「FW部門」。果たして誰の名前が挙がるでしょうか。