自分の息子や娘のサポートのために、子育てに積極的に参加するというシニア世代は多いのではないでしょうか。社会的な役割もますます重要になる一方、じつはシニアが考える子育ての常識は、自身が母親としてわが子に接していた当時のまま。でも現実には、この30年ほどの間に、子育てや子どもの医療に関する常識は大きく変化しています。
そのためなのか、今の現役ママ世代とシニア世代との間で、「昔はこうだったのよ」「でも今は…」といった“子育てギャップ”が噴出している模様。たくさんの育児情報があふれる今、なにが本当の正解なの?とむしろ戸惑っている人も増えています。
そこで、『マンガで「あるある! 」 パパ・ママ⇔じいじ・ばあばの子育てギャップこれで解決』(扶桑社刊)の著者で、教育専門ライターの戸塚芳子さんに、“子育てギャップ”の昔と今の違いについて3つを例に解説していただきました。昔の当たり前は、もう通用しない!?子育ての常識昔と今!

●子育てギャップ・その1「抱き癖」


「泣いてもすぐに抱っこしてはいけない」という考えは、昭和40年代に日本で翻訳されて大ベストセラーになった『スポック博士の育児書』という書籍に由来しています。そのほうが、子どもの自立心が早く育つと考えられていたんですね。

しかしその後、赤ちゃんが泣いても一切抱っこしないことで、心身の発達と親子関係に問題が生じるという警鐘も鳴らされました。今では、赤ちゃんは積極的に抱っこしてあげましょう、という考えが主流になっています。ですから、赤ちゃんが泣いたら、ママもばあばも、安心して抱っこしてあげてください!●子育てギャップ・その2「厚着?薄着?」


赤ちゃんに着せる衣服の枚数は、生後2か月くらいまでは大人より1枚多く、2〜6か月くらいで大人と同じ枚数、6か月以降は大人より1枚少なく、が目安です。靴下は室内では体を動かすのに邪魔だし、体温調節の妨げにもなるので、必要ありません。

とくに風邪気味のときは、昔は厚着をさせて分厚い布団をかけたものですが、体内に熱がこもってしまうので、いまは勧められていません。やや薄めの着替えやすいパジャマや下着を着せて、軽めの保温性のある布団を掛けてあげれば十分です。●子育てギャップ・その3「チャイルドシート」


道路交通法で6歳未満の乳幼児にチャイルドシートの着用が義務づけられたのは、平成12(2000)年から。シニア世代が子育てしていた頃は、後部座席で子どもがとんだりはねたりしている光景も珍しくなかったんですね。狭いシートに子どもを固定するのはかわいそうに思えるかもしれませんが、警察庁の最新の調査では、チャイルドシートをきちんと着用していないと、子どもの致死率が23倍にもなるというデータも。

いまは乳児用・幼児用・学童用など、さまざまな種類が揃っているので、体格に合ったものを使うようにしてください。いかがでしたか? これだけとっても、今と昔、かなり事情が異なることが分かります。「ほかにも、授乳の方法や子どものスキンケアなど、子育てに関して、昔といまとでは“常識”とされている内容が大きく変わったものはたくさんあります」と戸塚さん。

もしかしたら、今は正しいとされている子育て常識も、医学の進歩や育児用品の革新を通じて、また変わっていくこともあるかもしれません。「最新の常識が絶対に正しい!」と決め込むのではなく、子育て常識がどのように変化してきたかを知ることで、2世代でより仲よくハッピーに子育てができるかもしれませんね。

●教えてくれた人
【戸塚芳子さん】
1961年岩手県生まれ。じいじ・ばあば世代でしらけ世代。教育専門ライターとして、全国の小中学校、教育関係者を20年以上取材。教育先進校の取り組み、子どもの防犯、いじめ、教師のメンタルヘルスなどの記事を教育専門誌で執筆。子育て環境と親子関係の変化について、調査や事件を通じて日々考察している。著書に『マンガで「あるある! 」 パパ・ママ⇔じいじ・ばあばの子育てギャップこれで解決』(扶桑社)がある。

<マンガ/戸塚芳子 取材・文/ESSE編集部>