By Florian F. (Flowtography)

人間は天然痘を撲滅するまでに、何十年もの月日と数十億ドルという莫大なコストを支払いましたが、小規模の研究チームが半年かけて専門知識を学習すれば、10万ドル(約1100万円)のコストで天然痘ウイルスを作り出すことができるとする論文が議論されており、長年にわたって考えられてきた「致命的な人造ウイルスによるバイオハザードの危険性」が、より現実的なシナリオであることを示しています。

How Canadian researchers reconstituted an extinct poxvirus for $100,000 using mail-order DNA | Science | AAAS

http://www.sciencemag.org/news/2017/07/how-canadian-researchers-built-poxvirus-100000-using-mail-order-dna



Scientists recreate an extinct virus, a relative of smallpox

https://www.statnews.com/2017/07/07/smallpox-relative-extinct/

カナダ・アルバータ大学のウイルス学者であるデヴィッド・エバンス氏の未発表の実験によると、研究チームは郵便で注文して受け取れる遺伝子片から、天然痘の仲間に当たる馬痘ウイルスを科学的に合成可能であることを示しました。馬痘は天然痘と同様に現在の自然界に存在しないと考えられているウイルスで、農業の世界でも脅威とされるような危険なウイルスではないとのこと。しかし、エバンス氏の技術を使えば、馬痘と同様に、1980年に撲滅した危険なウイルスである天然痘も同様に作り出せることを示しています。



エバンス氏の研究は主に、天然痘ワクチンの起源を解明することで、より優れた新型ワクチンやがんの治療薬を開発することを目的としたもの。一方で、天然痘を再構築するような研究を実施することは、テロリストや無法国家によるバイオテロの可能性が常につきまといます。エバンス氏の論文は学術論文誌「Science」および「Nature」では、不正なバイオテロにつながる可能性のある研究を示す「デュアルユース研究」に当たる可能性があるとして掲載を拒否されたため、正式には発表されていません。

エバンス氏の研究は世界中で議論を巻き起こしているのですが、「天然痘ワクチンを使った新薬開発」に有益な効果が期待できるとして、エバンス氏を支持する科学者や製薬会社も現れています。Tonixという製薬会社はエバンス氏の研究に対して研究資金の提供を決定しており、エバンス氏はTonixの依頼で馬痘ウイルスを作成する予定で、カナダのアルバータ大学から馬痘ウイルスを作成する承認も受けているとのこと。アメリカではデュアルユース研究の議論が白熱する傾向にあるため、カナダ以外の国ではこの種の作業の承認を受けるのは難しいそうです。

なお、エバンス氏は馬痘ウイルスの作成に関する論文の内容を書き直して再提出する予定ですが、エバンス氏は「十分な知識を持つ人が研究内容に倣うことができる詳細は提供しますが、詳細なレシピを掲載するわけではありません」と話しています。