日本とインドネシアはブラックベリーが人気?予約開始直後に売り切れのBlackberryはいまどうなっているの?

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ブラックベリーと言えばパソコンと同じキーボードを備えたスマホとして人気だった。
日本ではこの6月22日に最新モデル「KEYone」の予約販売がはじまったが、開始からわずか1時間で完売と、ブラックベリー人気は、いまだ健在のようだ。

とはいえ、いまや世界中を見回しても、キーボードを搭載したスマホは、ブラックベリーなどがわずかにあるだけで、ほとんど見かけることはない。
旧機種であるキーボード搭載モデル「BlackBerry Priv」が世界に登場したのは2015年冬、日本国内の発売は2016年3月。

Blackberry KEYoneは、実に、1年半近くぶりのキーボー搭載スマホということになる。

果たしていま、ブラックベリーを取り巻く環境はどうなっているのだろうか?
海外ではいまでも人気なのだろうか?


キーボードを備えた「KEYone」。日本では初回予約分が即完売となった


実は、ブラックベリーそのものは、すでにスマホの製造から撤退している。
前機種の「Priv」を最後に、それ以降のモデルは他メーカーに製造を委託しているのだ。

2016年には2つのモデル「DTEK50」と「DTEK60」を発売しているが、これはTCL社が手掛けたものだ。TCLは、このほかにも、日本でスマホを販売しているアルカテルのスマホも製造している。

「DTEK50」と「DTEK60」は、どちらもタッチパネル式のキーボード非搭載の一般的なスマホモデルだった。
ブラックベリーのイメージと言えば、やはり「ハードウェアキーボード」を備え、長文メッセージも簡単に打てるスマホというものだろう。
しかし、「DTEK50」と「DTEK60」には、ブラックベリーらしいハードウェアではない。

一方ソフトウェアでは、ウィルスや外部からの攻撃などに対して常にアプリが監視してセキュリティーを高める「DTEK by BlackBerry」を標準搭載している。
最近のスマホは個人情報が大量に詰まっていることもあり、セキュリティーに強いブラックベリースマホの一端を見ることができる。

以前のBlackberryは、多くの企業で利用されていたように、専用のサーバーを使うことで高いセキュリティーを誇るメッセージの送受信が可能だった。
政府や軍でも利用されたほどで、ブラックベリーは高い信頼性を誇るスマホだった。
しかし、今やブラックベリーもAndroid OSを採用した製品に変更となっている。
Android OSはセキュリティー面で何かと甘さが指摘されているが、ブラックベリースマホならセキュリティー対策で既存のスマホよりも安心感がある。


普通のスマートフォンに信頼性を高めた「DETK60」「DTEK50」


とはいえ、一般の消費者がセキュリティーに配慮してブラックベリースマホを選ぶ、というケースは、かなり低いだろう。

DETK50、DTEK60の二つのモデルは、アメリカなど先進国を中心に販売されたが、販売台数などの成果については、ブラックベリーの決算などでも発表されていない。
恐らく成功を収めるほどの成果とはなっていなかったのだろう。同社の2016年のスマホ事業は赤字が続いている。

そこで起死回生を狙ってリリースされたのが、2017年に登場した2つのスマホである。
1つは、前述のKEYoneだ。
ブラックベリー伝統の本体前面にハードキーボード備えるスタイルを復活させた。
本体前面の下側にキーボードを搭載しているため、画面サイズは4.5インチと他社のスマホよりやや小さい画面となる。
また、本体のサイズは、
KEYone:149.1 x 72.4 x 9.4ミリ
iPhone 7 Plus:158.2 x 77.9 x 7.3ミリ
と、やや厚みはあるものの、縦横はiPhone 7 Plusより一回り小さい。
これならば片手でも十分持てる大きさだろう。

このKEYoneはアメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、香港、シンガポール、そして日本などで発売される。ブラックベリーのキーボードと高い信頼性を理解しているユーザーの多い国で、ブラックベリーの復権をかける狙いがあるのだ。

一方、もう1のスマホは、「BlackBerry Aurora」と呼ばれる製品だ。
このAuroraの発売、実は意外な国でのブラックベリー人気のおかげなのだ。

それは東南アジアのインドネシアの存在である。

インドネシアでは数年前まで誰もがブラックベリーを使うほど大人気だった。
これはインドネシアでは、ブラックベリーの低価格モデルが立て続けに登場したことに加え、先進国からの中古のブラックベリー端末が集まり、安価に買えることができたからだ。

それに加え、安価にメッセージのやり取りできるブラックベリーのメッセンジャーサービスがインドネシア国民に大いに受けたのだ。

今でもインドネシアでは、ブラックベリーの古い端末を使っていたり、Androidスマホにブラックベリーメッセンジャーを入れたりと、ブラックベリーのサービスを使ったりするユーザーも多い。ブラックベリーのブランドは、インドネシアでもまだ健在なのだ。

そこでブラックベリーはインドネシア企業とも提携し、同国のBB Merah Putihがこの春にAuroraを発売したというわけだ。
ディスプレイサイズは5.5インチのミッドレンジモデルで、現地価格は3万円程度。
インドネシアでは、1万円程度でエントリースマホが買える。
しかし、現地価格は3万円程度というのは、かなり高価といえる。
それだけブラックベリーの「ブランド」と「品質」への信頼度が高い証拠だろう。

インドネシアならば、他社の同じスペックのスマホを買うくらいなら、このAuroraを選ぶ消費者は多いのだろう。


インドネシア向けの「Aurora」


現時点ではAuroraのインドネシア以外での展開は不明だ。
しかしKEYoneが日本で完売になったことから、「確実に売れる」国であれば、製品を投入してビジネスを立て直すという方針も見えてくる。

実際、スマホユーザーの中には今でもキーボードを使いたいユーザーも多いのだ。
比較的価格が安い「BB」ロゴの付いたスマホを欲しいというもいる。

それらの顧客のニーズにしっかり応えつつ、ブラックベリーが復活することを祈りたい。


山根康宏