祭具等が相続税非課税なら、死ぬ前に純金の仏像を作れば相続税節税?

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核家族化が進んだ結果、各家庭に仏壇などの祭具を置くことが難しくなり、家によっては、テーブルに遺影と位牌などを並べて簡易仏壇を設けているケースもある。一方、先祖から代々仏壇、仏具、仏像などを受け継いできた家庭もいまだに多く存在する。そんな仏像について、「教えて!goo」に「家に大きな仏像があっていいのか」という質問が寄せられている。

■宗派の違う祭具を置いても大丈夫?

質問は先祖が昔に買ったと思われる浄土宗関連の仏像を、現在は違う宗派である自宅に置いておいてもよいのか、という内容である。これについては賛否が分かれた。

「仏壇はその宗派の本尊をお祀りする場所ですから、他宗派の仏像があるのはマズイです。ただ、天台宗、浄土真宗も阿弥陀如来ですから、現在の宗派がそうであれば問題はないことになります」(merciusakoさん)

「阿弥陀如来を仏壇の中心にお祀りするのは大概の宗派で同じです。仏事の時に今の僧に確認すればいいでしょう」(nitto3さん)

「仏壇が存在しているということは、質問主様の家の生い立ちから今までの歴史の中で、それをお参りしていたのですから、家にあっても良いのです。宗派が変わっても関係ないです。我が家のお寺さんも昔は別の宗派だと坊主が言います、それも含めて仏教。寺でさえも宗派が変わるんですから、我々檀家は問題無いです」(organic33さん)

重要なのは、その仏像が法事を行う上で支障となるかどうかである。とすれば、法事を行う住職と話し合った上で対応を決めるのがベターであろう。またここでは、相続における仏像の興味深い一面も紹介されている。

「昔は、大金持ちで金を使っても使っても増えていく家なら、仏様を純金で作って、魂を入れずに仏壇に納めておくことで、いつでも売却出来るようにした等とも言われています」(organic33さん)

仏像を資産として保有していたのだという。どのような狙いがあったのだろうか。

■仏像は非課税、これを節税に活用?

この目的について、元国税調査官の松嶋洋税理士に話を伺った。

「純金の仏像を買うと、相続税の節税につながる。こんな話を耳にされた方も多いと思います。この理由は、相続税が課税されない財産として、『墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの』が挙げられていることがあります。このような財産の一つとして、仏像が挙げられることから、純金であっても相続税の対象にはならず、結果として現金で持つよりも節税になる、と解説されています。亡くなった方が入られるお墓などとは異なり、純金の仏像については、それを溶かして金として高い金額で売却することが可能になりますから、本当に相続税の節税になるのか常識で考えるとかなり疑問の余地があります」

では、実際にこのような資産保有目的の仏像に対する国税当局はどう対応するだろうか。

「国税内部の指示文書である相続税の通達を見ますと、仏壇、位牌、仏像等で日常礼拝の用に供しているものについては、原則として非課税になるものの、商品、骨董品又は投資の対象として所有するものは非課税にならないとされています。純金であっても即投資の対象になる、というわけではありませんから、あらゆる純金の仏像に対して相続税が課税されるわけではありません。しかし、相続税の節税を目的とするのであれば、相当大きな金額を支払って仏像を作るはずで、そうなると一般常識としてこんな高額な仏像はいらないはず、と国税から指摘されて課税されるリスクはかなり大きいと考えられます。となれば、安易に節税になるからと判断するのは危険であり、慎重な対応が必要と言えます。困ったことに、このあたりの事情は常識的なところですが、相続税増税という追い風を背景に、多くの業者や税理士が純金の仏像で節税しよう、などと宣伝していますので注意する必要があります」

節税方法は、毎年毎年国税庁とのイタチごっこになっている。生命保険もタワーマンションも、新たな節税法として発見されてすぐに対策が講じられている。「流行物は廃り物」とも言うが、国税庁が目を光らせている以上、目新しい節税方法は一過性に過ぎない。そうしたリスクを投資する側もわきまえて行動すべきであろう。

●専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋

東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供中。

ライター 樹木悠

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