今回のビジネス女子マナーは、IT関連会社勤務の田辺なつみさん(仮名・27歳)からの相談です。

「職場に私を目の敵にしている女子グループがあって、辟易してます。公開予約時間を昼間に設定してアップした自分のブログを出力されて、“勤務中に業務外のことをしている”と上司に告げ口されたり、きちんとその先輩に許可をとって行動したのに、“私は聞いていない、勝手なことをするな。調子に乗っているのか”と電話口で怒鳴られたり。本当に忘れてしまったのか、なにかの八つ当たりなのかはわかりません。

こういう状況について、職場関係以外の友だちや知人は、私の顔がかわいいから嫉妬しているだけじゃないかと言います。確かに、これまでそのグループから底意地の悪い嫌がらせをされたり、ネチネチ嫌味を言わて会社を辞めていったのは、同性の私から見てもかわいい子たちばかりでした。そんな会社、辞めちゃえば?と知人から言われると心が揺れます。どうしたらいいでしょうか」

こっちはなんとも思っていないのに、ライバル心をむき出しにされて攻撃されたり、足を引っ張るような行為をされたりという経験がある働く女性は少なくありません。そんな会社には見切りをつけて、新天地を求めて転職すべきなのでしょうか。鈴木先生に聞いてみましょう。

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悪の巣窟のような職場では、まっとうなキャリアは育たない

かわいいと人生いいことばかりじゃないんですね。嫉妬のせいで職場に居づらくなって、あげくに転職ですか……。

本来、仕事の実力で評価されるべきなのに、容姿端麗だからマイナスの仕打ちを受ける。そんな悪の巣窟と化した職場では、あなたのキャリアの行く末が心配です。

本来の実力が発揮されない職場なら、転職するのも手です。近年、キャリアアップのための転職は珍しいことではありませんし、とくに急成長中のIT関連企業では、ある程度のキャリアがあり、しかもバイタリティーもある30歳前後までは、採用される確率も高いでしょう。

鈍感力を鍛えるだけでは状況は改善されない

ステージを変えるのは、決して悪いことではありません。
ただし転職先でも、今の勤務先と同じように同性との人間関係でうまくいかなくなるかもしれない、という心配はありますよね。

ついつい目立ってしまうあなたは、メークやファッション、言動などが必要以上に注目されやすい存在なのでしょう。また、男性社員からの評判がよければ、本人にはその気がなくても、周囲からはチヤホヤされて浮かれているように見えるのかもしれません。

世の中には、そういった人を快く思わない女性もいることを、念頭に置いてください。仕事中は集中して無駄話をしないとか、ミニスカートで出勤しないとか。「ザ・仕事人」をアピールするくらいでちょうどいいと思いますよ。

それでも嫌な気持ちにさせられたときには、どうすればいいでしょうか。
「その相手とは仕事だけのかかわりなのだから、と言い聞かせて割り切る」「マイナスの感情を引きずらないために、されたことを忘れる」など、切り替えスイッチをオンにするという人もいます。いわゆる「鈍感力」です。

そのポジティブな発想の転換は、仕事をスムーズに進めるためには有効でしょう。

でも、毎回心に芽生える「嫌だな、悲しいな」という気持ちや、「なんでこんな思いをさせられなければいけないのかな」という気持ちを打ち消さなければいけないわけですから、苦しくなってしまいますね。

ただ「忘れる」だけでなく、嫌な気持ちにさせられないコミュニケーションの取り方を構築しよう、という意識をもち、実践することが大切です。

たとえば、言った言わない、聞いていない、といったことが原因で、必要以上に責められる場合。その人とのやりとりは必ず文書にして最終確認をとる、というように。

「大丈夫、忘れよう!」だけでは、解決にはなりません。

先日、研修で伺った企業は、驚くほど女性同士の人間関係がよかったのが印象的でした。

20代の女性たちは、「この会社の女性の先輩たちはみんな優しい」と口をそろえていました。その「優しい先輩」に会いたくなり、実際に話を聞くと、かつてはイジワルなお局がいたそうです。でも、仕事の結果も出さずに、かわいい後輩をいびって転職させていく悪行が社内で悪目立ちし、今度はお局自身の居心地が悪くなってきて、ついには大人しくなったとか。

仕事の結果を出さない人は、いずれ立場が弱くなり、自分を変えざるを得なくなるということです。

転職するかしないかは、自分で決めるしかありません。いずれにしても、あなた自身は善後策を講じて、前に進むしかありません。後悔することのないよう。成功を願っています。



■賢人のまとめ
ステージを変えることは悪いことではありません。転職もアリです。会社では「ザ・仕事人間」をアピールするのがおすすめ。我慢するだけでなく、底意地の悪い人たちに足元を掬われないよう、対策を講じて。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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