今季から3-4-2-1に布陣を変更。新しいチャレンジに踏み切ったが、「結果に結び付けてこそ」評価される。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第17回。特別編としてお送りする今回は、「前半戦総括」と「18節・神戸戦」のふたつが論点となる。
 
 7月1、2日に行なわれた17節でリーグ戦では日程の半分を消化したが、今季から取り組む新布陣の手応えは? 自身ではどんな評価を下すのか。18節・神戸戦の反省点も語ってもらった。
 
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[J1リーグ18節]神戸 3-0 仙台/7月8日(土)/ノエスタ
 
 今季リーグ戦も残り16試合となった。そこで今回は「17節までの振り返り」と「18節・神戸戦について」のふたつに分けて書こうと思う。
 
 まずは前半戦の総括だ。4-4-2から3-4-2-1へと布陣を変更し、ポゼッションを高めてより攻撃的に、という方向に舵を切って迎えた2017年シーズンだったが、随分とやれることは増えたという実感はある。仙台を除く全17クラブとのゲームが1巡して、目に見えて良くなっている部分も多い。
 
 ただ、この仕事は新しいチャレンジに踏み切っただけでは評価はされない。「きちんと結果に結び付けてこそ」と十分に理解はしている。そのためには、細かい箇所をもっとストイックに突き詰める必要がある。
 
 技術面であれば「パスの質」と「的確なポジショニング」。それはボールひとつ分であったり、ほんの1メートルの作業。それができておらず、相手守備網に捕まることが少なくなかった。逆に個々が持てる力を発揮できればどんな相手にも、ボールを失わずにゴール前に侵入できていた。
 
 それに加えて、心理面のバランスも重要だ。「失点が多いから」と後ろに重心を掛けてしまうのか、「恐れずにチャレンジしよう」となるのか。どちらかに針が大きく振れると、好守のバランスも崩れ、強烈なカウンターで決定機を作られるシーンも増えてしまう。
 
 また、ウチの失点につながるシーンでは、中盤から自陣にかけてのボールロストが多い。後半戦では、そのエリアでのミスを絶対になくさなければならない。相手が前からプレッシャーを掛けてくるのであれば、それを技術的に回避する手段を身に付ける。あるいはより的確な状況判断のもとでゲームを進める必要がある。
 次は神戸戦についてだ。17節のG大阪戦からの1週間は、様々な準備を行なった。3月11日の3節で対戦した際には、神戸は4-4-2を敷きつつも、右サイドハーフを永戸(勝也)の駆け上がりに対してそのまま下げる対策を練ってきた。
 
 ウチは有効な手立てを打てず、術中にハマったゲームだと言える。だからこそ、今季2度目のゲームでは「4-4-2から変形して守るケース」と「3バックでミラーゲームにしてくるケース」という両方を念頭に置いてトレーニングをこなした。
 
 試合当日にメンバー表を確認すると、表記上は3バック。そのため、それに備える時間をミーティングで多めに取った。だが、蓋を開けてみると前回と同じような形。選手たちも多少の混乱はあったと思う。刷り込ませ過ぎた、と反省している。
 
 前半早々から神戸の圧力に押されているようにも見えた。それに対して「割り切ろう」という選手たちの意思は感じられた。それでも、割り切り方が中途半端だったように思う。
 
 立ち上がりはウチもそうだが、実は神戸もミスが多かった。だからこそ、ゲームが落ち着くまで、思い切って割り切るという判断が必要だった。そこで持ちこたえ切れず、簡単に失点してしまったのはもったいなかった。さらに言えば、最少失点で進めていればゲームもまったく違うものになったはずだ。
 
 これで16節・C大阪戦からリーグ戦3連敗となった。しかし、アプローチを変えるつもりはない。「このスタイルで必ず上昇する」という強い覚悟でいる。
 
 これは意地になっているのではない。コラムの第5回「先に進む――。「攻撃的なトライ」を選択した理由」でも触れたが、クラブの歴史から「もっと攻撃的なことにトライしないと先はない」という考えがあってのこと。時計の針を戻し、“堅守速攻”に回帰する選択は、私の中にはもうない。
 
 いずれにせよ、一朝一夕で作り上げられるものではない。継続することが大切で、根気よくトレーニングを重ねるしかないのだ。勇気を持ってチャレンジすること。その先に光り輝く未来があると、私は信じている。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は7月30日に行なわれる19節・柏戦の予定。お楽しみに!