イチロー、球宴の“伝説のスピーチ”に再び脚光「選手はスリルを感じていた」
マーリンズ戦、イチローの打席で実況が紹介「チームを大喜びさせたのです」
米大リーグのオールスターゲームは11日(日本時間12日)に開催される。レンジャーズのダルビッシュ有投手が登板しないことを表明しているため、3シーズン連続で日本人メジャーリーガーの勇姿を球宴のフィールドで見ることはできない。そんな中、01年から10年連続で球宴に選出されたマーリンズのイチロー外野手の“伝説のスピーチ”に改めてスポットライトが当たっている。
きっかけとなったのは、6日(日本時間7日)のカージナルス戦だった。この試合で2安打を放って通算3054安打とし、ロッド・カルーを抜き、MLB歴代単独24位となった。試合を中継した地元テレビ局「FOXスポーツ・フロリダ」の実況は、マーリンズの本拠地マーリンズ・パークで行われる今年の球宴に絡めた話題で、イチローの打席で“伝説”を紹介した。
「イチローのオールスター出場の伝統は途絶えましたが、彼は10年連続で出場しました。アメリカン・リーグのチームメートはイチローの試合前のスピーチにスリルを感じていました。英語でいけない言葉を含んだスピーチでした。それがチームを大喜びさせたのです」
球宴前のクラブハウスで展開されるイチローの衝撃のスピーチは米国でも当時から話題になった。米ヤフー・スポーツの名物コラムニスト、ジェフ・パッサン記者が2008年の球宴でア・リーグ勝利後、「イチローのオールスターでのスピーチ内容が発覚」と特集している。
スラング満載のスピーチ「初選出組を呆然、再選出組はまた見ることができる幸せ」
当時の記事では「英語圏の記者相手には通訳を介している男が突如、ベースボール界のアンソニー・ロビンスとジョージ・カルリンの融合となった。そして、毎年、ア・リーグの監督はチームに挨拶した後、イチローはロッカーから飛び出し、圧倒的なエネルギーを炸裂させる。英語の放送禁止用語でナショナル・リーグをけちょんけちょんにけなし、イチローがクイーンズイングリッシュをいかに流麗に操るのか知らない初選出組を呆然とさせ、再選出組はこの闘魂スピーチをまた見ることができるほど活躍したことに幸せな気持ちになるのだ」と紹介している。
スラング満載のイチローのスピーチはア・リーグの恒例行事だった。08年にア・リーグが勝利した際、レッドソックスのレジェンド、デビッド・オルティズはイチローのスピーチを持ち出し、「それが我々が勝てた理由だ」と語ったという。
こうした背景もあり、FOXスポーツ・フロリダの実況は「イチローが短いスピーチをするのがオールスターの伝統でした」と名残惜しげに語っていた。
07年にAT&Tパークで行われた球宴で史上唯一のランニング本塁打を放った。輝かしい記録を残してきたイチローだが、ロッカールームで残した逸話も今でも語り草になっているようだ。