フランス・パリでの電気自動車の充電スタンドの様子 (c)123rf

写真拡大

 フランスが「2040年までにガソリン車の販売を禁止する」と発表した。「パリ協定」(第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21))離脱を表明したトランプ大統領に対する当てつけとも取れるが、EV(電気自動車)の流れは確実だ。各国の思惑の裏側を覗いてみよう。

【こちらも】フランス、2040年までにガソリン車・ディーゼル車全廃の方針

■産業の変換

 まずEVシフトに関して最大の問題は「部品点数が劇的に減る」ことだ。これはエンジン、ミッションを中心として消滅する部品点数が、あまりにも大きい。このことは日本など自動車産業で成り立ってきた経済は大打撃をこうむる危険があると言うことだ。日本の名古屋は「ラストベルト」になることは間違いないだろう。株式投資家がトヨタの危機であることを認識できないので、今のところは救われている。

 インド、中国はEUより10年ほど早いペースでEVシフトを進めている。それが出来るのは、自動車産業が出来上がっていないためで、EVで自動車産業を作り上げる狙いで中国は補助金を出している。

■火力発電からの脱却

 フランスは原子力発電が多く火力発電は少ない。それも再生可能エネルギーに置き換えようとしている。ドイツは東日本大震災を契機に、全面的に再生可能エネルギーに置き換えると決めている。ゲルマン民族は「合理性」についてはいつも最先端で、日本民族との違いが明確な部分だ。

 石油業界などの立場も考えながら「和気あいあい」を求める人間性が日本民族の良い点だが、文明の変換点では合理性が優先しなければ、できないのかもしれない。

 発電が再生可能エネルギーであることがEV推進の基本的条件であらねばならない。さもないと自動車が電気を使うと、発電で多くのCO2を出してトータルで削減対策にならない。中国は早急に石炭・石油発電を再生可能エネルギーに置き換えねばならない。現状では自動車産業を中国国内で育成していく経済政策としての意味合いが大きい。

■「トヨタ&日産の戦い」それは世界の自動車産業の戦い

 EVになると単純化し、高度な生産技術の必要性が減る。日本の自動車産業は「トヨタの看板方式」により製造業を主導してきた。この強みが家電を失っても自動車産業では、世界を引っ張ってこれた最大の理由だ。また日産がトヨタに敗れた原因でもある。

 世界のインフラ事情を考えると、自動車がEVとなると経済が大打撃を受ける恐れのある国も多くある。

 日産はバッテリーの開発で先行していたため、当初よりEV一本やりで来た。しかしその開発も、コストの考え方から放棄して、サプライヤーまかせとした。世界の情勢を知るカルロス・ゴーン社長であるからこその判断であろう。しかし日本経済に対する貢献度は下がった。

 トヨタはHVで群を抜く高効率の方式を開発し世界をリードしてきたが、EVとなるとその優位性は失われる。現在のところ、発電所での集中発電・配電とエンジンでの個別発電との優劣は、論理的には決着はしていない。しかし、中国、インド、EU、北米などトヨタ以外の企業、国々は、早くHVを終わらせてEVに飛び越したがっている。そのわけは「あまりにもトヨタ方式HVが効率が良すぎるから」と言えるのだろう。

 バッテリーの進歩・充電スタンドのインフラ整備がついてくるようであれば、世界はEVのみになる形成だ。

■新圧縮方式エンジン

参考: 知恵の輪サイト「熱効率60%の内燃機関が可能か?」(早稲田大学 内藤健教授研究室)

 さてガソリンエンジンの熱効率が現在の41%から60%以上になる可能性がある「新圧縮方式」が出てきた今日、この流れを見直す時が来るのかもしれない。それはどう見てもエンジンの熱効率が進歩して、発電所での集中発電・配電よりも効率が良くなったとき、世界の自動車産業・インフラの事情などから考えてHVにメリットが大きいからだ。

 フランスのメンツが正しいのか?中国の産業政策が正しいのか?トヨタに頼り切りの日本の産業政策は原子力発電と共に考えられるべきだろう。