左から崔龍海、金正植、李炳哲、金正恩、張昌河、全日好、黄炳瑞

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北朝鮮は4日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」型を発射した。北朝鮮国営メディアは連日、金正恩党委員長によって火星14型は成功したと大々的に宣伝している。そんな中、発射から3日後の7月8日、異例とも言える写真が公開されていた。写真には金正恩氏の核・ミサイル戦略を支える核心の4人が写っていた。

変態スキャンダルの幹部も

金正恩氏は、祖父・金日成主席の命日である7月8日、遺体が安置されている錦繍山(クムスサン)太陽宮殿を参拝した。命日の参拝は毎年恒例の行事であるが、まずはその翌日の労働新聞の1面に掲載された下の写真を見てほしい。

最前列に並ぶのは向かって左から崔龍海(チェ・リョンヘ)、金正植(キム・ジョンシク)、李炳哲(リ・ビョンチョル)、金正恩、張昌河(チャン・チャンハ)、全日好(チョン・イルホ)、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)の各氏である。

注目すべきは金正恩氏の両脇を固める4人だ。金正植軍需工業部副部長、李炳哲党中央委員会第1副部長、張昌河国防科学院長、全日好党中央委員は、ICBM「火星14」型をはじめ、弾道ミサイルの開発をリードしてきたとされる幹部たちである。とくに金正植氏は弾道ミサイルの専門家として知られ、空軍司令官出身の李炳哲氏はミサイル開発の行政上の実務を差配しているとされる。この間、金正恩氏がミサイル関連の視察をする際、この4人のいずれかは必ず同行していた。「ICBM4人組」あるいは「弾道ミサイル4人組」とでも呼ぶべき面々である。

「高射銃」で人体が跡形もなく

この4人が、金正恩氏の現地指導の公開写真などに写り込むことはあっても、このように前面で目立った形で写真に写るのは極めて異例だ。それは、昨年の同日の写真と見比べると、よくわかる。

2016年は37年ぶりに朝鮮労働党第7回大会が開かれたこともあり、党政務局(旧書記局)メンバーのみでの参拝であり、軍服姿の幹部すら見られなかった。とくに金正恩氏の最側近のひとりである黄炳瑞氏は、なんらかの理由で姿を見せていない。

この時、金正恩氏の左隣に立っている崔龍海氏だけが、今年の写真でも最前列にいる。しかし、その位置は左端である。崔龍海氏は、金日成氏の戦友であった崔賢(チェ・ヒョン)元人民武力部長の息子という出自もあり、現在の地位を維持しているようだ。しかし過去、女性問題などで数々の変態性欲スキャンダルを起こしており、失脚と復活を繰り返してきた悪名高い人物でもある。

(参考記事:美貌の女性の歯を抜いて…崔龍海の極悪性スキャンダル

一方、今年の写真で金正恩氏の右隣に立つ李炳哲氏は、金正恩時代に入って頭角を現してきた人物である。北朝鮮空軍出身の脱北者は、正恩氏について次のように話している。

「空軍司令官だった李炳哲は縁故も特段の戦功もない人物ですが、彼が司令官を務めていた空軍基地を視察した金正恩は、その人懐っこさを気に入り、側近に加え、空軍司令官にまで引き上げたのです。そんな李はメカ好きの金正恩にぴたりと寄り添い、戦闘機の魅力、空軍の必要性を吹き込みました」

北朝鮮では、歴史的にも空軍が重視されてきたが、金正恩氏は李炳哲氏からの影響も重なり、戦闘機やミサイルといった「空の戦力」重視を強めたのかも知れない。

崔龍海氏を除き、昨年の参拝でも顔を見せていた党幹部らの姿は「ICBM4人組」の後方に見られる。つまり、この写真は大陸間弾道ミサイル開発を成功に導いた「ICBM4人組」の功績を称え、さらにはミサイルを体制の結束に活用する狙いがあると見られる。

「ICBM4人組」は今しばらく我が世の春を謳歌するだろう。だからといって、彼らがいつまでも安泰とは言えない。一寸先が闇の北朝鮮政治では、いつ何時、どのような理由で粛清・処刑されるかわからない。2015年4月に玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)前人民武力部長(国防相)が正恩氏の怒りを買い、高射銃によって文字通り「ミンチ」にされたのが記憶に新しい。

この先のことはともかく、朝鮮労働党の重鎮たちを押しのけて前面に出てきた「ICBM4人組」は、金正恩体制の核・ミサイル戦略を支える核心グループとして台頭してきたものと見て間違いなかろう。