2016年8月、広東省中山市に一号店をオープンした中国の無人コンビニエンスストアが、開業から10ヶ月が経過した今、一度も万引きや損壊の被害にあっていないというニュースが話題になっている。店舗には累計数万人の来客があり、またリピーター率は80パーセントに迫るという。
 
 このニュースを読んだ中国のネットユーザーの多くは、「そんなわけない」「信じない」「写真を何度もみた。看板に書かれているのは確かに簡体字だ・・・」などと、報じられている内容に驚きの表情を見せている。
 
・何故成功しているのか
 
 要因の推測については、ネットユーザーがつぶやいているコメントを分類すると、大きく3つに分かれているようだ。
 
(1)開業エリアが適切だった
 
 「中山市は民度が高いんだろう」「北京で試したらいい。北京の地方出身者たちは半日で店舗ごと持っていくぞ」「南方ではなくて、北方で開業してみればいいよ」
 
(2)国民の民度が向上した
 
 「今の若い子、特に90年代生まれはしっかりしている」「今の中国で民度が低いのは、ちゃんと教育を受けていない世代、つまり広場でダンスしているおじさんおばさんたちだよ」「中山市には広場ダンスおばさんがいないの?」
 
(3)監視システムに隙がない
 
 「全部監視されて、精算していないものは持ち出せないのだから、それはそうなるだろう」「入店が実名制だからだろう」「一度監視カメラを取ってみればいい」
 
・「無人化」に高まる国民の期待
 
 このコンビニエンスストアは、中山市賓哥網絡科技が経営する「Bingo Box」という24時間無人営業の小売店舗。今年6月には上海にも出店して話題になっている。
 
 入店の際にはメッセンジャーアプリ「微信」による本人認証が必要であり、モバイル決済を済ませていない商品を持って外へ出ようとすると警報がなる仕組みだ。もちろん監視カメラも設置されている。
 
 万引き被害が起きていないのは「カップラーメンとお茶ぐらいしか置いていないからだ」とする意見も見られたが、確かにこの厳重なセキュリティシステムの中でわざわざリスクを犯してまで、コンビニエンスストアで売られている程度の安価な商品を持って出ようとはしないだろう。
 
 「経営が上手くいっていないシェアサイクル事業は爪の垢を煎じて飲め」という一部のネットユーザーの意見もあるが、そもそもの管理体制が異なるので、同じ土俵で考えるのは短絡的かもしれない。いずれにせよ、「無人化」することによる経済的効果よりも、「無人化」しても経済がまわる社会に変貌していくことのほうに、国民の関心や喜びは集中しているようだ。(イメージ写真提供:123RF)