ARLに保存されているアートワーク
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 まだウォルト・ディズニー氏が存命だったころ、ディズニー・アニメーションのイラストも、甥っ子が遊ぶためのただの“紙”になっていた……なんて時代もあったらしい。しかし今ではすっかりラフ画一つに関しても、保存を徹底しているウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ。6,500万点のアートワークを管理するアニメーション・リサーチ・ライブラリー(ARL)のマネージャー、フォックス・カーニー氏が保存されている一番古い作品などについて語った。

 カーニー氏によると同施設に存在する最も古い作品は、短編シリーズ作品『アリス・コメディー(原題)/ Alice Comedies』(1920年代に制作)だという。彼は「『ミッキーマウス』の短編や、その前にあった『オズワルド』の短編も保存されています。そして2作の前に作られた『アリス・コメディー(原題)』からのドローイングが何枚か保存されているんです」と説明する。「でもそれらは、偶然発見されたものでした。コレクションチームのメンバーが、いくつかのアニメーションのドローイングを見ていた中で、全く別の短編のキャラクターの“仕切り”として使われていたドローイングを見つけました。ただの紙くずとして使われていたそれが『アリス・コメディー(原題)』のドローイングだったんです」。なんとも驚きだが、昔は今のように厳重に保管されることなく、映像化の後には原画などもただの紙同然の扱いを受けることもあったよう。

 さらに当時のイラストは「(アニメーション・スタジオの)地下の保管場所に預けられていた」という。「地下にあったので、時々パイプから水漏れしたときもありました。……少しカビが生えたアートもあったかもしれません」と今では考えられない状況もあったそう。しかし現在は定められた湿度(約50%)&温度(摂氏約17度)で厳重に保存。またアートワークをデジタル化し、外部でも見ることができるシステムが取られており、アートワークの劣化を招くことはほぼなくなった。

 展覧会を開催し他国に貸し出す際にも、数年を掛けて入念な準備をしているという。さらに会場の状況が悪ければ、「ノー」を突き付けることもあるとのこと。「ある条件を満たさないといけないようにしています。温度調整の状態やセキュリティーの状態などですね」。現在日本科学未来館で開催中の「ディズニー・アート展《いのちを吹き込む魔法》」は、そのチェックをすべて通ったものとのこと。そしてもちろん今年公開された『モアナと伝説の海』(デジタル配信&MovieNEX発売中)に関するアートワークもしっかり保存されているとカーニー氏は明かしていた。(編集部・井本早紀)