幻の北野映画「ソナチネ」とは?

写真拡大

北野武といえば、いまや世界的な知名度のある映画監督です。その作風は高く認められているといえるでしょう。しかしながら、初期の北野映画は、芸術的な評価は受けてもなかなか、商業的な成功に結びつきませんでした。

「ソナチネ」の世界とは?

1993年6月5日に公開された、北野武監督の第四作目「ソナチネ」は、そんな初期北野映画の中でも幻に近い作品となっています。なぜならば、公開されてわずか1週間で打ち切りとなってしまっためです。作品のストーリーは、沖縄で勃発した抗争の応援のため東京から派遣されたヤクザの組長村川を、ビートたけしが演じています。

死にとりつかれる映画

村川は、死に取り憑かれた人物として描かれています。これはたけし自身の姿でもあったのかもしれません。この翌年にバイク事故を起こし瀕死の重傷を負います。さらに、沖縄で村川を迎え入れるひょうひょうとしたヤクザ、上地を渡辺哲が演じています。ひげをたくわえ、でっぷりと太った体型は、映画公開の前年に亡くなった作家の中上健次を彷彿とさせます。たけしが、この映画を作るにあたり、親交のあった中上健次の死も影響を与えているのかもしれません。ヤクザ同士の激しい抗争が描かれながらも、沖縄の静かな風景が対比される映画です。