18節の柏戦は、見事な逆転勝利を飾り、12年ぶりのJ1首位に立った。写真:川本 学

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 後半戦スタートの18節はセレッソ大阪にとって、前半戦で2敗を喫したうちのひとつ、3位・柏レイソルとのリベンジマッチとなった。今回の柏戦は、対戦までに7試合負けなし(6勝1分け)と結果を残してきたなか、真っ向勝負に挑んだのだが、前半は「思っていたとおりには、うまくいかなかった」(ユン・ジョンファン監督)。
 
「上位にいるチームという感じのサッカーをしてくるし、良い選手もいっぱいいるので、そういう面では厳しい戦いだった」とDF山下達也も言うように、柏のハードプレスと正確なパスワークの前に、C大阪はペースを狂わされる。すると、41分には、クリスティアーノの右アーリークロスから武富孝介にダイビングヘッドでゴールを奪われ、またしても先手を奪われた。
 
 それでも、今のC大阪は、ひるまない。そして、「『後半は積極的に自分たちからどんどん、球際の部分だったり、ガツガツ負けないでいこう』と(ハーフタイムで)話した」という杉本健勇の言葉どおり、身体を張ってタフに対抗。その象徴となったのが、61分の選手交代だ。
 
「杉本と(山村)和也が、相手との球際のところで負けている印象があったので、(澤上)竜二を入れて、球際のところを優位にもっていきたかった」と言う指揮官は、あえて大黒柱の柿谷曜一朗をピッチから外して、強いフィジカルを活かして前線で起点となれる澤上を送り込んだ。
 
「身長の高い選手3人を前に置き、サイドからのクロスをもっと多くすることを狙いとした」
 結果的には、この決断が杉本健勇の同点弾、水沼宏太の右クロスから生まれたソウザの勝ち越し弾を誘発していくのだ。
 
 勝ち越したあとのC大阪は、柏のパワープレーに、耐える時間も少なくはなかったが、ゴール前の危ないシーンで山村、田中、キム・ジンヒョンをはじめ、全体が最後まで粘り強く身体を寄せ、柏にゴールを許さない。
 
「相手がロングボールを放り込んできた時も、しっかりと一人ひとりが責任をもって対応できている」と山村。約5分にもわたるアディショナルタイムでも、集中を切らさずに守り切り、逆転勝利を収めたC大阪だが、タイムアップの時に何人もの選手がピッチに倒れ込んだのは、持てるすべてを出し切った証だろう。
 技術、戦術だけでなく、「あきらめない、最後まで戦う、そういうメンタル的な面もすごく変わってきている」とユン・ジョンファン監督も選手たちを讃える。試合を重ねて精神面でもタフさを身につけている。
 
 12年ぶりの首位に立った現状に関して、水沼は「とにかく、今は勢いだけじゃない」と語る。この結果は、決してフロックではないという自信があるのだ。
 
「1点取られても、逆転できるという自信が、今はある。ただし、そこを過信に変えないように、もう一回、地に足付けて、一歩一歩、みんなで前進していきたい」と、ユン・ジョンファン監督のサッカーをよく知る水沼も気を引き締める。そして、この暑い真夏にやってくるタフな戦いを今後も制していくため、柏戦後半で見せたような力強さを継続し、かつ1試合を通して発揮できるかが、チームの課題だ。
 
 今月は前半戦で勝てなかった浦和、G大阪と、強豪との対戦が続く。それだけに、首位に立ったとはいえ、C大阪にとって、その力が「試される」試合は、まだまだ続いていく。
 
取材・文:前田敏勝(フリーライター)