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米労働省が7月7日に発表した6月雇用統計の主な結果は、(1) 非農業部門雇用者数22.2万人増、(2) 失業率4.4%、(3) 平均時給26.25ドル(前月比0.2%増、前年比2.5%増)という内容であった。

(1) 6月非農業部門雇用者数は市場予想(17.8万人増)を上回る22.2万人増となり、前月の15.2万人増から加速。前月分と前々月分が合計で4.7万人分上方修正された結果、3カ月平均の増加幅も19.4万人に急加速した。今年に入りペースダウンしていた米国の雇用拡大基調が、再び上向き始めた可能性を感じる結果となった。

(2) 6月失業率は市場予想(4.3%)を上回る4.4%となり、1月以来5カ月ぶりの上昇となった。ただ、労働参加率が62.8%に上昇しており、労働力人口が増加した(職探しを再開した人が増えた)ためと見られる。前月の4.3%が約16年ぶりの低水準であった事もあって、6月失業率が悪化したとの印象は薄い。

(3) 6月平均時給は26.25ドルとなり、前月の26.21ドルから0.2%増加。前年比では2.5%増であったが、いずれも伸び率は市場予想(0.3%増、2.6%増)に届かなかった。米労働市場では緩やかな賃金上昇が続いているものの、米連邦準備制度理事会(FRB)が注視するインフレ動向に大きな影響を及ぼすほどの力強さはまだ見られない。

このように、米6月雇用統計は項目ごとにマチマチの結果であった。米労働市場は、すでに完全雇用を達成しており、もはや大幅な雇用の増加を期待すべきではないとの見方もあったが、これを覆すように非農業部門雇用者数は大幅な伸びを示した。一方、失業率は0.1%ポイント上昇したとはいえ、可もなく不可もない妥当な結果であった。他方、平均時給の伸びは予想を下回っており、冴えない結果だったと言わざるを得ない。

ただ、市場はこの米6月雇用統計を比較的前向きに捉えた模様だ。発表直後こそ、平均時給の伸び率鈍化を意識して米長期金利の低下とともにドルが売られたが、次第に「米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げやバランスシート縮小開始のシナリオに修正を迫る内容ではない」との評価に傾き、金利もドルも持ち直した。なお、この日は米国株も上昇して取引を終えている。強すぎず弱すぎない米雇用統計は、金融市場にとって「適温」だったという事かもしれない。

○執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya