「ポドルスキはJリーグの衰退を覆せるのか?」 海外メディアがビッグネーム加入の効果を分析

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神戸に加入したポドルスキが来日

 ヴィッセル神戸に加入した元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキが6日に来日し、7日には初練習に臨んだ。

 近年のJリーグでは指折りのビッグネーム加入は大きな話題を呼んでいるが、米スポーツ専門テレビ局「FOXスポーツ」のアジア版は、「ポドルスキはJリーグの衰退を覆すことができるのか?」と見出しを打って、今後のJリーグを展望している。

 記事では32歳となったポドルスキがキャリアの全盛期にないことは確かだとした上で、それでも2シーズンを過ごしたトルコでゴールを量産し、わずか3カ月前に行われたイングランドとのドイツ代表引退試合では鮮烈な決勝ゴールをマーク。それほどの能力を発揮しながらも日本行きを決断したことに注目している。

 2014年ブラジル・ワールドカップ(W杯)優勝メンバーの一員であるポドルスキだが、“現役W杯王者”としてJリーグに参戦した例として、95〜98年にジュビロ磐田に在籍した元ブラジル代表MFドゥンガを紹介。94年アメリカW杯をセレソン主将として掲げた名ボランチは、闘志あふれるプレーと圧倒的なキャプテンシーで、その後黄金期を迎える磐田の基盤を作り、Jリーグ全体にも大きな刺激を与える選手となった。

 Jリーグは93年の開幕から、元ブラジル代表MFジーコ、元アルゼンチン代表FWラモン・ディアスなどキャリアの晩年を過ごす大物助っ人が加入。その後はドゥンガのほかにも、ガンバ大阪でプレーした元カメルーン代表FWパトリック・エムボマのように、現役代表選手が参戦する機会も増えたが、次第にスター選手を引きつける力は失われていったと指摘している。

凋落の一途を辿ったJリーグの希望の星に?

 代わりにJリーグには、若き才能が助っ人として参戦してくるようになった。ブラジル代表FWフッキやコートジボワール代表FWセイドゥ・ドゥンビアは、今ではそれぞれの国を代表する選手として輝かしいキャリアを歩んでいるが、両者とも世界にその名を轟かせたのは日本を出た後であることも強調している。

 それ以降は、失敗の事例が大半を占めるようになったと指摘。元コスタリカ代表FWパウロ・ワンチョペは大活躍した2006年ドイツW杯直後にFC東京へ加入したが、ほとんど活躍できずにクラブを去ることになった。アーセナルの英雄である元スウェーデン代表MFフレドリック・リュングベリは、11年に清水エスパルスに移籍したが、期待を大きく裏切る結果に。そして、直近の大物では14年にセレッソ大阪に加入した元ウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランが大きな注目を集めたが、ほとんど輝きを放つことはなかったと紹介している。

 Jリーグは現在、海外選手の獲得において中国に打ち負かされている状態であり、さらにはUAEやカタール、場合によってはオーストラリアに対しても劣勢を余儀なくされていると指摘した上で、それでもポドルスキにはリーグを変える本物の革命家の可能性が宿っていると強調している。

Jリーグは今季から「DAZN」と10年間で約2000億円の契約を結んだことから、クラブには例年以上に多くの資金が供給されることになる。ポドルスキが神戸で活躍した際には、他クラブがその資金をもってビッグネーム獲得に動き始める可能性は高いという。ポドルスキの挑戦は、Jリーグの将来を大きく左右するものになると、海外メディアも注目しているようだ。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images