橋下徹は政治家をやめたけどまだ政治やる気マンマンだ、と言われる。でも『橋下×羽鳥』を見てると「そうでもないんじゃね?」と思う。気楽に嬉しそうにやってるから。

 テレビ朝日が月曜深夜とはいえなんで一時間も橋下徹MCで政治バラエティやってるのかさっぱりわからず、相方に羽鳥慎一までつけてやってるのは、やはり「週刊朝日」の『ハシシタ』の時の借りが莫大で、今もそれを返し続け……いや、あれはテレ朝は無関係だった。でもそんなことを思っちゃうぐらい、橋下さん居心地良さそう。

 茶髪弁護士時代は、ケンケンした目つき顔つきでちょっとでもウケること言ってやろうという姿勢だったのが、いったん政治家になってしまうとそうもいかない。いや橋下は好き放題やってたろうと皆さんおっしゃるでしょうが、まず髪型や服装だって変わったわけだし、大阪市長時代、御堂筋のお祭りとかで野天の来賓席に座ってるのをよく目撃したが、つたないシロートの出し物やグダグダの進行にも、笑顔を絶やさず的確に拍手。他の来賓は目が死んでるのに、橋下さんだけは心から楽しんでるテイを崩さずというプロの仕事ぶり。だけどどう考えたってそんなことを心から楽しんでやってたとは思えず、きっといろいろたまってたと思うよ。確実にコタエルよその手の負荷は。


制作発表時の橋下×羽鳥

『橋下×羽鳥』では、警察の話や官僚の話が、今どきないだろうという初心者向けで展開されているが、そういう話を楽しげにやってる。来賓席の顔じゃない。ゲストの太田房江をイヤミったらしく嘲笑してた時は往年の“イヤなヤツ”感がビンビン出てたが、まあ全体に余裕綽々。それほどトガったことを言う必要もなさそうで、何より、つまんなそうな顔ややる気のない表情を(見せるためじゃなく)ふと見せる。これは市長時代にはないゆるんだ姿だ! 市長じゃなくて社長だ!

 そんな調子だから、羽鳥はいつものように濡れた瞳で口を突き出し(可愛い)、橋下に味方もしないが逆らいもしない。パネラーはなんでもかんでも大げさにウケてくれる。こんなにゆるい気分で冠番組のMCやれるなら、政治の世界なんかもういいじゃないの。……と、これは私の願望でもあるけど。でも「どっかで見たことある政治バラエティ」なので「別にこの番組、なくてもいいか?」で打ち切られてしまうかもしれない。それが心配だ。

▼『橋下×羽鳥の番組』
テレビ朝日 月 23:15〜24:15

(青木 るえか)