夏の旅を2倍楽しむための、旅先ランニングのススメ

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旅に出かけて、景観と心地よい風を感じながら走る「旅先ランニング」。

わざわざ旅先で? と思うかもしれませんが、訪れた観光地の名所をぐるっと走り続けるわけではありません。少し早起きしたときや宿に帰ってきて温泉に入る前のちょっとした空き時間に、近くの町並みや自然のなかに見え隠れしている素顔を眺めながら、走って巡るのが「旅先ランニング」です。

年間200日以上、国内外の旅取材に出かけていますが、5年ほど前から「旅先ランニング」をはじめました。初めて走るランニングコースから広がる眺めは、単なる観光では気づかない発見がいっぱいあります。皆さんも、この夏の旅行プランに加えて、走ってみませんか? ここでは、私が実際に走った旅先の中から、気軽に楽しめる 「海と山の温泉コース(初心者編)」を2つをご紹介します。

のかたあきこ/旅ジャーナリスト

旅行読売出版社編集部を経て2002年独立。旅と温泉と地域活性をテーマに、全国各地を年間200日取材。これまでに、『大人の隠れ宿』『部屋つき露天』『日本の名宿』『和の隠れ宿』『日本の楽園旅館』などの本を制作。現在、旅美人SPECIAL編集長、温泉ソムリエアンバサダー、テレビ東京「厳選いい宿」推進メンバーなどを務めている。公式サイト

朝日が昇る海とイルカスポットをめぐる、静岡県伊東温泉

海のコースとしておすすめなのは、 静岡県東伊豆にある伊東温泉 です。

温泉街の中心に位置する「ラフォーレ倶楽部 伊東温泉 湯の庭」に宿泊した時に、スタッフ方におすすめのラニングコース「初島に昇る朝日とイルカスポット」を教えてもらったので、「イルカ〜!」と興奮覚めやらぬまま、さっそく翌朝に出かけてみました。

松川沿いに軒を連ねる、趣のある温泉旅館(左は伊東市の観光施設)

宿から「猪戸通り」と呼ばれる商店街を抜けて、木造3階建ての旅館群が残る松川沿いの遊歩道へ。川面に柳並木と旅館の姿が映り込み美しかったので足をとめて写真を1枚。また、橋の欄干に施されたガラスの工芸細工を見つけて「何度も訪れている町だけど、気づかなかったな」と旅先ランニングの魅力を再発見しました。

川沿いをさらに進むと、相模湾に面して広がる「なぎさ公園」に到着。待っていてくれたかのように、正面には朝日に染まる初島と黄金色の海が広がり、大自然のパワーを全身で感じることができました。

そして、海に面して続く国道135号を南下していくと、今度は「いとう漁協」で朝競りがはじまる様子が目に映りました。見学できるかたずねると、「どうぞ」と言ってもらえ、その時の写真がこちら。

伊豆の魚がおいしい理由は、伊豆半島が湾として日本一深い駿河湾と二番目に深い相模湾に挟まれ、深海から上がってくる養分を餌にしているため、旨い魚が育つとのこと。 「伊豆半島ジオパーク」のガイドツアーに参加して学んだばかりだったので、そんなことを思い出しつつ朝競りを後にして走っていくと、お目当てのイルカスポットを見つけました。

保護されたイルカの歓迎? 旅ランはさまざまな出会いと発見がありました

ここは保護を目的とした施設で観光スポットではないそうですが、散歩ついでに見学する程度なら大丈夫と地元の人に教えてもらいました。「おはよう、イルカさん」。早起きのご褒美のようにイルカが飛び跳ねてくれ、思いがけない旅の1ページとなりました。

復路は、走った道をそのまま折り返して全長約5kmのコースでした。宿に戻り、客室内の温泉で汗を流して、リニューアルしたダイニングで朝食。爽やかな気分で当日の取材をスタートすることができました。

「ラフォーレ倶楽部 伊東温泉 湯の庭」の自家源泉が楽しめる温泉付きプレミアルーム

伊東温泉の「旅先ランニング」で見つけたお気に入りをもうひとつご紹介します。伊東駅の老舗駅弁店「祇園」のいなり寿しです。現在、いなり寿しは、私のマイブーム。アミノ酸とクエン酸が含まれているいなり寿しは、アスリートも注目する疲労回復のスーパーフードでもあるんですよ。

由布岳が見守る、水清き田園の里、大分県由布院温泉

豊後富士の名で親しまれている由布岳から広がる、四季折々の表情は、ランニングポイント

続いては山の温泉地として、おすすめなのが大分県由布院温泉。温泉街を流れる川沿いの道を走り、田園風景が広がる山の手から、さらに金鱗湖をめぐる約5kmのコースです。

のどかに流れる川でのほとりで、鳥と一緒にくつろいでみる

スタートは由布院御三家の宿の1つ「玉の湯」。朝食の2時間ほど前、地図を片手に出発しました。まずは、大分川に沿って由布院駅方面へ。水草が揺れる透き通った川面を眺めていると「キレイな水があるからこそ、蛍が温泉街を乱舞するんだ」と納得。昨シーズン訪れたときの感動が蘇りました。

走り続けてほどなくすると、田園風景が広がり、振り返ると由布岳の絶景。以前、「玉の湯」の社長を取材したときに、「由布岳がどこからでも見える町並みにしようと、父の世代が1970年代から町づくりをはじめた」と語っていたことを思い出しながら、建物や電線の高さを配慮して住民がつくり上げた素敵な景観を走りました。

そして、山の手へ向かうと、平坦だと思っていた町が意外にも起伏に富んでいることに気づきました。大地を踏みしめながら、自然をカラダで感じることができる、これが旅先ランニングならではの魅力です。途中には、食事処やカフェが点在していて、開店前でも店の雰囲気をチェックできました。

由布岳信仰の拠点となっていた佛山寺

金鱗湖を目指して「津江の中道」へ。立派な山門だったの立ち止まると、そこは「佛山寺」という古刹。元禄時代建築の山門は、熊本地震の影響で補強されていました(2016年6月当時)。入口に「坐禅会、写経会、丹田呼吸実践」の案内がありました。次回の訪問時にはぜひ参加したいと、記録として写真に残しました。そして、金鱗湖に到着。湖面から朝霧がたつことで知られる幻想的な場所です。すぐそばにある温泉宿「亀の井別荘」は、以前に宿泊したことがあり、とても好きな旅館の1つです。

玉の湯の雑木林に囲まれた露天風呂。内湯は天井が高く開放的

温泉街をぐるりと一周約5km走り、「玉の湯」に戻るとすぐに大浴場へ。 宿泊の皆さんは朝食の時間だったのか、貸し切り状態でした。露天風呂にはキレイな色のトンボがいました。羽黒トンボかな。玉の湯の会長さんは虫博士として知られるので、いつか尋ねてみようと、こちらも写真に収めました。そして少し遅めの朝食は、洋食を選んでのんびりと。爽やかで優雅な朝のはじまりとなりました 。

健全な肉体と精神。心もカラダもタフになりたい!

三重県の伊勢市でも取材の合間に旅先ランニングを楽しみました

走りはじめたきっかけはダイエットでしたが、脳科学者・久保田競先生の著書『ランニングと脳』『超「朝活」法』の影響で“脳と心とカラダ”の関係をうまく保つためにもランニングが効果的であることを知り、最近は健康のために走っています。

「健全なる精神は、健全なる身体に宿る」とはよく言ったものです。日常的なランニングとはひと味違う、非日常の旅先ランニングは、旅の新しい楽しみ方としてもおすすめです。皆さんもぜひ1度試してください。やみつきになるかもしれませんよ!