10日、韓国メディアによると、2015年末の日韓慰安婦合意に基づいて設立された「和解・癒し財団」が元慰安婦との面談の録音記録を公開しないことを決めた根拠に「性暴力犯罪処罰等に関する特例法」を挙げていたことが分かり、物議を醸している。資料写真。

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2017年7月10日、韓国日報によると、2015年末の日韓慰安婦合意に基づいて設立された「和解・癒し財団」が元慰安婦との面談の録音記録を公開しないことを決めた根拠に「性暴力犯罪処罰等に関する特例法(性暴力処罰法)」を挙げていたことが分かり、物議を醸している。韓国の立法調査処は「慰安婦被害者に性暴力処罰法を適用するのは不適切」と指摘している。

韓国与党「共に民主党」のパク・ジュミン議員室が女性家族部から提出を受けた「和解・癒し財団」関連資料によると、財団の理事らは昨年10月14日の第6回理事会で「録音記録の公開不可」を決定した。理事会はその根拠として「非公開を前提に録音したため被害者との信頼が失われる可能性があること」と「性暴力処罰法24条1項に被害者を特定し把握できる情報を公開または他人に漏らしてはならず、違反した際には処罰すると定められていること」を挙げた。

「和解・癒し財団」は、合意日である15年12月28日基準の生存被害者46人に1人当たり1億ウォン(約1000万円)の日本からの慰労金を支給する事業を行い、34人の支給が完了、2人が支給手続き中だが、日韓慰安婦合意の過程についての説明もなく慰労金の受領を強要したり、認知症や中風を患う被害者の代わりに家族や知人を介して支給したとの疑惑が浮上していた。

財団の録音記録の公開不可決定は昨年、国会の国定監査の4日前に決定した。財団設立後、慰労金の支給事業が本格化した時期であり、国定監査を前に当時の野党議員らが慰労金支給過程の透明性を確保するために録音記録の公開や閲覧を要求したところだった。

財団が公開を拒否し続けたため、パク・ジュミン議員室は最近、「慰安婦被害者に対する性暴力処罰法規定適用の可否」について国会立法調査処の法制司法チームに問い合わせた。立法調査処は3月の回答文で「性暴力処罰法24条は捜査および裁判時に性暴力被害者の身元が公開されることによって発生する2次被害を防止する目的で制定された条項」とし、「財団の支援が必要な元慰安婦は自身の被害をすでに公開し、当時の暴挙を証言した。また、非公開対象である録音記録が元慰安婦の性暴力の被害事実を調査する内容でないことを考慮すると、同法が保護しようとする法益と一致するとみることは難しい」と指摘した。

また、立法調査処は録音記録に元慰安婦の性暴力の被害事実が含まれていたとしても同法の適用は難しいという点も指摘した。同法は刑事法であり、遡及(そきゅう)が禁止されている。同法が10年に制定されたことを考えると、日本植民地時代に発生した元慰安婦の被害事実に適用することは不可能ということになる。さらに、国会議員室での情報公開を要求する行為の目的性を照らし合わせて考えると、同法条項は関連性を見つけることが難しいと判断した。パク・ジュミン議員室関係者は「財団に何度も資料を要請したが協力を得られず苦労した」と述べ、透明性に欠ける財団の運営を批判した。

しかし、立法調査処の有権解釈は強制力がなく、財団は公開不可の立場を貫いている。財団のホ・グァンム事務処長は「被害者は合意金の受領内容を慎重に検討しており、性暴力被害の事実が漏れる恐れがあるため公開は難しい」と明らかにした。その上で「何度も面談をした被害者の場合は記録を残すべき時だけ録音し、被害者が拒否したり、被害者の受領意思が確実で必要がないと判断した場合は財団の人手不足などを理由に録音しない場合もある」と説明した。

一方、新しく就任したチョン・ヒョンベク女性家族部長官は「財団の運営と慰労金の支給方式などについて点検が必要」との考えを明らかにしており、女性家族部による点検の過程で突破口が開く可能性が高いとみられている。

これについて、韓国のネットユーザーからは「本当に腹が立つ。和解・癒し財団は親日派よりひどいことをしている。すぐに解散させるべき」「何か問題があるから公開できないのだろう」「日本が朴槿恵(パク・クネ前大統領)にした指示に忠実に従うことが和解・癒し財団の仕事なの?理事長を選んだ人、どんな役割をしてきたのか公開してほしい」「本当に韓国国民?被害者のことを本当に考えたことがある?」「被害者や弱者よりも加害者や強者を優先に考えるんだね」など財団に対する批判的な声が寄せられている。

そのほか「被害者が亡くなってしまう前に早く支給を終えるべき」「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は何をしている?。早く日本に合意破棄の考えを伝えて」などと指摘する声もみられた。(翻訳・編集/堂本)