橋本環奈、“天使すぎる”を封印? 『警視庁いきもの係』動物オタク女子役で新境地

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 昨年の4月期にドラマ枠として復活し、野島伸司脚本の『OUR HOUSE』などの話題作を送り出したフジテレビ系日曜21時枠。しかし、同じ時間帯のTBS系列「日曜劇場」の好調さを前に視聴率では軒並み完敗。9日から放送がスタートした『警視庁いきもの係』を最後に、わずか1年半での廃枠が決まっている。

参考:http://www.realsound.jp/movie/2017/03/post-4334.html

 この枠のフィナーレを飾る本作は、今年の『名探偵コナン から紅の恋歌』で脚本を務めたミステリー作家・大倉崇裕の人気シリーズを実写化したもの。事件の容疑者が飼っていたペットを保護し、貰い手が見つかるまで世話をする“警視庁いきもの係”こと、総務部総務課・動植物管理係を舞台に、そこに配属された元捜査一課の警部補と、動物飼育の専門家である新米巡査がコンビを組むミステリードラマだ。

 やはり本作の注目は、連続ドラマで初ヒロインを務める橋本環奈だろう。きちんとした役柄で連続ドラマにレギュラー出演すること自体が初めての彼女は、いまだに“1000年に1人の逸材”というデビュー当時のブランド力を保ち続けている。本作で彼女が演じる薄圭子は、動物に関して博識でありながら、人間に全く興味のない動物オタク女子なのだ。

 冒頭の初登場シーンではガスマスクをつけたトリッキーな姿で登場すると、水道管に閉じ込められたネコを助ける。動物の言葉を「何となくわかる」と豪語し、楽しそうな表情を浮かべながら早口で動物知識を語り出す根っからのオタク気質に加え、上司にも臆さずに反論したり、刃物を持った犯人に堂々と近付いて行ったりと、肝の座ったキャラクターが予想外なほどに似合っているではないか。

 今年3月に公開された主演映画『ハルチカ』の際に、まだまだアイドルとしてもてはやされるばかりで、女優としてのポテンシャルが見過ごされていることを危惧したが(参考:橋本環奈は女優として真価を発揮できるか? 『銀魂』神楽役への期待)、本作の彼女は“天使すぎる”印象とのギャップが巧く引き出されたキャラクター造形で、実に魅力的に映し出される。劇中で警官の制服が「コスプレにしか見えない」と言われたり、捜査の合間にアイスを頬張ったりと、まだあどけなくて愛らしい姿(現場に向かう際にリュックを背負っているのも、一見すると高校生にしか見えない)と、前述したような人間に対するドライな素振り。そのアンバランスさで、ドラマ全体に笑いを誘うのだ。

 ちょうど今月14日から公開となる映画『銀魂』に加え、10月から公開される『斉木楠雄のψ難』でもヒロインを務める彼女は、すっかりコメディエンヌとしてのベクトルへひた走っている印象を受ける。本作を契機に新たな可能性を見つけることができれば、なかなか開花できずにいた演技面のキャリアをさらに華々しいものにできるだろう。

 さて、このドラマの本筋はミステリーなので、第1話からテンポ良く事件を解決に導く。渡部篤郎演じる刑事の勘と、橋本環奈の持つ豊富すぎる動物知識によって事件の真相を紐解いていくスタイルだ。いわゆる窓際部署を舞台にして、風変わりな女性警官と渡部篤郎のコミカルなやり取りで難事件を解決していくあたり、2000年の大ヒットドラマ『ケイゾク』を彷彿とさせる。果たして本作も同様に人気作となるのか、期待を持って3ヶ月楽しんでいきたい。

■久保田和馬映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。