本誌のドキュメンタリーページ『シリーズ人間』に登場し、「あのキレイだけど押しの強い弁護士はナニモノ?」と、巷をにぎわせた仲岡しゅん弁護士。その正体は、男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士!大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士は、悪を許さぬ正義感と、美貌に似つかぬ義理人情を盾にして、法律を武器に日々奮闘中。そんなハイブリッド弁護士がトラブルをシュッと解決!
 
【今回の相談】「昨日、年がいもなくブログを始め、旅先で撮った写真などをアップしていました。ところが先日、ある葬儀社のサイトに、ブログに載せた私たち夫婦の写真が、勝手に使われていたことが判明したのです!削除依頼には応じてくれましたが、どうにも腹の虫が治まりません。損害賠償を請求できますか?」(70代男性・無職)
 
【回答】「肖像権侵害は認められそうです。気がかりなのは慰謝料の金額、ですわよね」(仲岡しゅん)
 
今回はネットで自分の画像が勝手に使われた、というご相談です。どうもネットの世界って、人の写真の権利に無頓着なようで、平気でホイホイ使いますわね。そういうことをする方って、自分が晒されたらどう思うんでしょうね。
 
さて、今回の争点は肖像権の侵害です。そもそも「肖像権」とは何かというと……。判例はこう言います。「人は、みだりに自己の容姿を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有し、また、自己の容姿をみだりに公表されない人格的利益も有している」と。そして、肖像権を違法に侵害された者は損害賠償請求ができるわけです。なお、これが芸能人の場合、「パブリシティ権」といって、その容姿自体が経済的価値として保護されます。
 
今回のご相談事案の場合、誰かから勝手に撮影されたというわけではなく、ご自身でブログにアップしてはいますが、誰かが勝手に宣伝に使うことまで承諾したわけではありません。肖像権は、その人自身の人格と結びついているわけですから、どう使うかは、貴方自身の意思に委ねられるべきものです。
 
さらに、葬儀社のサイトで写真を使われていたとなると、まるでご相談者が亡くなったかのような印象も与えますし、一般的に使われたくない形での無断使用です。勝手に遺影扱いしないでいただきたいですわ。したがって、肖像権侵害は認められそうです。
 
肖像権侵害があれば慰謝料は取れますが、気がかりなのは具体的な金額、ですわよね。参考になりそうな裁判例をご紹介しましょう。
 
まず1つ目は、撮影された人の承諾なく、勝手に顔写真を出会い系サイトの広告用の写真として利用されたという事案です。このケースは芸能人ではない一般の方でしたが、100万円以上の慰謝料が認められています。
 
次は、美容外科がタレントとの広告契約が終了した後も、そのタレントの写真をホームページに載せ続けたという事案。これには200万円以上の賠償金が認められています。
 
最後に、かなり大きな事案を1つ。出版社がアイドル複数名の写真を無断で使って写真集を出版したケースでは、合計5,000万円以上という莫大な賠償金が認められました。
 
そして、今回のご相談。貴方が無名の人の場合、タレントやアイドル並みの金額には至らないでしょうが、請求してみる価値はあるのでは?あたくしだったらそうします。