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平井堅が7月7日・8日の2日間にわたり、七夕の恒例行事となっているアコースティック型式のコンセプトライブ「Ken’s Bar」を山梨・河口湖ステラシアターで開催した。

この会場は開閉式の古代ローマ劇場に似た半円形の野外音楽堂。豊かな緑に囲まれているということに加え、ステージ背後の富士山を望むことができる抜群のロケーションで、屋外での「Ken’s Bar」は2013年7月6日・7日の沖縄・宜野湾海浜公園屋外劇場公演以来4年ぶり、そして河口湖ステラシアターでは2009年7月7日以来8年ぶりの開催となった。

今回のセットは七夕開催ということで、ステージの上はもちろんのこと、その両側と後方に笹の木や竹を装飾した七夕仕様。そこへ、夏仕様の浴衣姿で登場した平井堅が最初に披露したのは「およげ!たいやきくん」。450万枚超という、日本でもっとも売れたシングルとして知られる子門真人の作品をウッドベースだけをバックに歌うという斬新なアレンジでいきなり観客を驚かせた。

続いて自身の名バラード「LIFE is...」をしっとりと歌い上げると、「今日は七夕ということで、私、歌う彦麻呂が彦星としてこの七夕に負けないぐらいロマンティックな夜にしようと、これからどんどん暮れていい感じになっていくと思うんですけど、最後までよろしく! 河口湖Boys&Girls !!」と挨拶。

また、「音楽と風を楽しんでいただけたらと思います」というMCは屋外公演ならではのもので、事実、最後まで心地よい風を肌で感じながら平井堅の歌声を堪能することができたライブであった。



3曲目は「僕も大好きな3人組の歌です」といって始まったPerfumeの「ナチュラルに恋して」。エレクトロなダンスナンバーを、今度はアコースティックギターだけをバックに歌うというアレンジだった。「Ken’s Bar」では邦楽、洋楽問わず、平井お気に入りの楽曲のカバーが必ず披露されるが、その選曲とアレンジはいつだってユニークさと意外性を兼ね備えたものだったりする。

また、最近の平井のライブで完全に定着した「リクエストコーナー」もユニークさと意外性を兼ね備えたものとなっている。選ばれたラッキーな観客が自分の歌ってほしい平井堅のナンバーをリクエストすることができるという趣旨の企画で、だから、なにが歌われるのか、なにを歌うのかが始まるまでは誰にもわからないスリリングさが「リクエストコーナー」にはあるのだ。ちなみに、初日の公演では「キャッチボール」と「バイマイメロディー」、2日目は「style」と「美しい人」が披露された。

そして「TABOO」「even if」「思いがかさなるその前に・・・」と、平井のオリジナル3曲が立て続けに歌われると、2部構成の「Ken’s Bar」前半が終了。その1st STAGEは、夏目前ということで空はまだ明るかったが、2nd STAGE開始までの休憩時間のあいだに陽が落ち始め、後半スタートの西野カナの「君が好き」とJustin Bieberの「Love Yourself」のカバーでは、照明が演出効果を発揮し始めていた。



そして、夜だからこその演出はそのあとも続く。いや、それはサプライズといっていいものだった。「魔法って言ってもいいかな?」の途中で歌が突然終わってしまい、これはどうしたのか、新しいアレンジなのかと思っていたところ、ステージ後方からいきなり花火が打ち上げられたのである。始めは一発ずつ、間隔を空けてゆったりとしたものだったが、それが次第に短くなり、さらにはサイズも巨大化していき、気づけば、会場全体を明るく照らすほどに花火は連続的かつ大量に打ち上げられていた。いうまでもなく観客は大喜び。平井からのビッグなプレゼントだった。

その後は、打ち上げ花火でヒートアップしたテンションそのままに「片方ずつのイヤフォン」「キミはともだち」「ソレデモシタイ」「POP STAR」が披露された。「Ken’s Bar」はいつも静かに始まり、観客はずっと座ってライブを楽しんでいるのだが、終盤に総立ちとなる光景もいつもの「Ken’s Bar」なのである。

平井は「みなさんがとってもあったかくて、今日はとっても楽しかったです。ありがとうございます」とお礼をしたあとに、これからの自分についてこう述べた。「音楽の勉強もしたいですし、本を読んだり、映画を観たり、自分の素養を伸ばしていくことも大事。ただ、それと同じくらい一生懸命悩んで、一生懸命遊んで、一生懸命人と向き合って、一生懸命自分と向き合って、そういう日々の積み重ねがこれからの平井堅の顔を作り、声を作り、歌手としてのいちばん大事な部分を作っていくと思いますので、一生懸命生きていきます」。



2nd STAGEを「Love Love Love」で締め括ると、アンコールでは黒のスーツに身を包み、右手に花束を持って平井はステージに現れた。「Ken’s Bar」のラストナンバーは、iTunesやレコチョクといった合計5つの配信サイトでランキング1位を記録した最新シングル「ノンフィクション」。

死と向き合うことで生の尊さを力強く歌い上げたこの作品は、「一生懸命生きていきます」とあえて宣誓した今の平井堅を生々しく映し出した歌といっていいだろう。そして最後はいつものようにマイクを通さずに生声で「今日はどうもありがとうございました」と叫び、笑顔で何度も手を振りながらステージを後にした。

Photo by 古渓一道