トヨタ自動車(以下トヨタ)の北米事業体である「TMNA」(Toyota Motor North America)が7月6日、米テキサス州ダラス北部のプレイノに建設していた北米新本社を公開しました。

トヨタは今回の新社屋建設に約10億ドル(1,130億円)を投じており、販売や金融サービス、研究開発といった部門を1カ所に集約。相互の連携を深め、経営判断を迅速化させる考えで、2017年末には約4,000人が働く一大拠点になる模様。

TMNAのジム・レンツCEOは「北米新本社設立はトヨタの60年にわたる米国事業において大変重要な一歩であり、4つの米国事業体の従業員が一つの拠点で共に働くことで、これまで以上に意思決定を加速できる」「トヨタの米国投資や雇用確保の継続的な取り組みに対する、トランプ大統領の支援に感謝する」としています。

日経新聞によると、米トランプ大統領からもトヨタに対して、ケンタッキー州の工場への13億ドルを含む今後5年間の1.1兆円規模の対米投資計画について同社を称賛する声明を出しており、「米国事業の成長を支援する」との祝辞を贈ったそうです。

また、トランプ氏は「規制緩和、減税、海外企業との競争条件の統一により経済を再活性化させる」と祝辞で強調。

振り返れば今年の1月5日、トヨタが約1,200億円を投じて2019年にメキシコに開設予定の新工場で「カローラ」を生産、米国への輸出を予定していることを受け、「有り得ない!」「米国で生産するか、高関税を払え!」とSNS上で批判していたトランプ氏。

これに対してトヨタはその直後の1月9日、米国で開幕したデトロイトショー17で同社の「カムリ」と、レクサス「LS」のニューモデルを公開するとともに、前述の約1.1兆円に上る投資計画を発表。

同社による米国への直接投資額は、既に約2.6兆円規模に達しており、米国内に10か所の工場や、約1,500箇所に上る販売店を設けているほか、約13万6,000名もの雇用を創出しています。

また、今回の新社屋設立においても、各拠点から異動してくる従業員に加え、テキサス州北部などで新たに1,000名以上を採用するなど、雇用の拡大についても着実に実行していることから、トランプ氏の同社への対応も今後は柔軟化するものと予想されます。

新社屋では「北米ワントヨタ」実現に向け、従業員が日々連携を深める場を提供すべく、カフェテリアやジム、会議室を備えているほか、中央の広大な中庭スペースを囲むように7棟のビルを配置。

2万枚を超えるソーラーパネルにより、電力の約3割を太陽光で発電、残りの約7割を風力発電でそれぞれ賄うそうで、環境保護にも配慮し、雨水を活用した灌漑設備なども設置しているそうです。

今回の新社屋のオープニング式典では、女性アクロバットチームによる演技が披露されるなど、トヨタがこの新社屋にかける意気込みが伝わって来ます。

(Avanti Yasunori・画像:TOYOTA)

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