「Thinkstock」より

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 TBS系日曜夜9時台の連続テレビドラマ枠「日曜劇場」、その今クール(7〜9月期)作である『ごめん、愛してる』(TBS系)の第1話が9日、放送された。

 生まれて間もなく実の親に捨てられた岡崎律(長瀬智也)は、韓国の裏社会で生きていたが、兄妹同然の付き合いをする若頭を銃撃から守った際に、頭部に銃弾が残ってしまう。その後遺症で余命が長くないと医師から告げられた律は、実の母親を探し出すために日本に帰国する。そして自分を尾行する加賀美修平(六角精児)から母親・日向麗子(大竹しのぶ)の居場所を聞き出し、その家に行くと、韓国で盗難被害に遭っていたところを助けた三田凜華(吉岡里帆)が出迎え、偶然の再会を果たす。凜華は麗子の息子で人気ピアニスト・日向サトル(坂口健太郎)のマネージャーだったのだ。

 そして凜華の制止を振り切って家に上がり込んだ律は、ついに麗子と対面する。しかしそこには、貧乏が理由で自分を捨てたと思っていた麗子が裕福な姿で立ち、さらに麗子は律を自身が捨てた子どもだと気が付かないばかりか、「出ていきなさい」と叫び律を不審者扱いする。律は麗子を凝視しながら涙を流し、家を立ち去る。次回予告では、そんな麗子に律が復讐を開始することが示唆されていた。

 第1話を見た第一印象としては、あり得ないご都合主義的なストーリー満載で、まったく感情移入できない。律が麗子の家に行くと、韓国で出会った凜華がそこにおり、しかも麗子の息子のマネージャーで、かつその息子とは幼馴染という「偶然」。頭に銃弾が残り余命が短い律は、自身が育った児童養護施設に行くと、そこで再会した幼馴染の河合若菜(池脇千鶴)も交通事故で脳に障害が残っているという「偶然」。

 そして、麗子を探す手がかりは麗子が律を捨てる際に一緒に置いていった指輪とお守りしかないのに、「偶然」にも帰国した途端に麗子の居場所がわかってしまうという「あり得なさ」――。などなど、もう「オイオイ」のオンパレードで、それだけ物語が「偶然」頼みにされては、さすがに視聴者も冷めてしまわないかが心配である。

 次に、「日曜劇場」といえば前クールは『小さな巨人』、前々クールは『A LIFE〜愛しき人〜』と大作が続いていただけに、豪華で見ごたえのある作風を期待していた視聴者にとっては、ここにきていきなり“B級感”満載のドラマを見させられ、落胆しているのではないか。「前の2作でお金を使い過ぎてしまったので、今回はちょっとお休み」的なムードがハンパなく、残念な印象が否めない。

●吉岡里帆の良さを生かせず

 そして、個人的にはもっとも不満な点なのだが、凜華演じる吉岡里帆の良さが全然出ていないのだ。吉岡といえば、前々クールの『カルテット』(TBS系)で悪女役を怪演し一気に知名度を上げたため、今回もその“キレっぷり”を期待していたのだが、全然フツーの“かわいい健気な女の子”という感じで、「え? こんな役、里帆サマである必要全然ないじゃん」という状態だ。

 凜華は幼馴染でもあるサトルに想いを寄せているという設定だが、サトルはそんな凜華の想いを知らずに古沢塔子(大西礼芳)に想いを寄せ、その想いを塔子は振り回すのだが、凜華が今後嫉妬に狂って“ヤバい女”化していったりしてくれれば、盛り上がるのだろうが、そんな雰囲気はみじんもないしな……。吉岡演じるありすが『カルテット』で発した「人生、チョロかったー」に匹敵する名言が飛び出すのか、ささやかながら期待したい。

 もっとも、“普通の吉岡里帆サマ”もそれはそれでキュートなわけで、ずっと眺めていたい気になってしまうのだが、暑っ苦しい長瀬の顔のアップシーン連発は、このクソ暑い夏の夜には辟易としてしまう。せっかく吉岡のおかげで涼しげな空気が漂った画面が、連発される“長瀬の顔アップ”でぶち壊しにされてしまうのは、とても悲しい。ちなみに、どうでもよい話なのだが、長瀬の顔といえば、長瀬が演じる律は裏社会の人間という設定なのだが、やたらとスマホで自撮りするのも違和感ありありで気になった。

 加えて、「母への復讐」というテーマが軸になるため、今後も重々しく息苦しいトーンが続くであろう『ごめん、愛してる』は、見る側からすれば「ごめん、夏にはちょっと」ということで、視聴者が離れてしまわないかが危惧されるのである。
(文=米倉奈津子/ライター)