シーズン序盤に比べ、攻撃に手詰まり感が出てきた。そんなチームをどう立て直し、進化させるのか。ロティ―ナ監督のお手並み拝見だ。(C)TOKYO VERDY

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[J2リーグ22節]東京V 1-1 岡山/7月9日/味スタ

 完全な負け試合で、なんとか勝点1を拾った。
 
 前節のロアッソ熊本戦で0-4というショッキングな大敗を喫し、メンタル面でのダメージが危惧された東京ヴェルディ。7月9日のホーム、ファジアーノ岡山戦では先行逃げ切りを図らんと序盤から猛攻を仕掛けた。だが、15分にMF橋本英郎のハーフボレーがバーを叩き、17分にFWアラン・ピニェイロの一撃がポストをかすめると、流れは緩やかにアウェーチームへ。そして40分、CKからあっさり被弾。ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が「自分たちでゲームを難しくした。岡山のような相手には先行して前がかりにさせなければいけないのに」と悔やんだシーンだ。
 
 後半になってもバーやポストに嫌われるなど不運に見舞われたヴェルディだが、攻撃は行き当たりばったりで、遅攻に落ち着くとまるで脅威となり得なかった。引いてスペースさえ埋めればいい、裏へ走るドウグラス・ヴィエイラやアランへの一発のパスさえ封じて時間をかけさせれば、攻撃はなんら怖くない──。もはや対ヴェルディ戦の常套手段で、対戦相手の申し送り事項となっている。
 
 それでも状況を打破して、なんとか同点に追いつけたのは、ロティーナ監督の剛腕によるところが大きい。賭けに勝ったのだ。71分にCB永田充に代えてFW高木大輔を投入。3-4-2-1を4-4-2にシステムチェンジしたように見えたが、両ウイングバックは高い位置を維持していたため、実際は2バックに近かった。たちまち岡山を土俵際に追い込み、勢いのままに75分、CKから同点弾を奪い切った。
 
 ゲームが面白くなったのは、その同点弾の直後、岡山の長澤徹監督が積極策に打って出たからだ。79分、80分と立て続けに3つのカードを切る。布陣は3-4-2-1のまま変えず、疲労の濃いサイドの選手を一気に3人入れ替え、堅守速攻の強度と精度を高めたのだ。退屈だった攻防戦は瞬く間にノーガードの撃ち合いとなり、観ているほうが多少の高揚感を覚える、どちらに転んでもおかしくない展開となった。
 
 とはいえ試合は、そのまま痛み分けのドローで終了。ロティーナ監督が「0-1だろうが0-2だろうが負けたら同じ。リスクを掛けて点を取れたのは収穫」と言えば、連続無敗記録を8試合(4勝4分け)に伸ばした長澤監督は「また先に繋がる試合ができた」と語り、前を向いた。
 シーズン後半戦のファーストゲームを引き分けたヴェルディは、22節を終えて5位に付けた。首位・湘南ベルマーレとは9ポイント、2位・アビスパ福岡とは8ポイントの差が付いており、自動昇格に向けて正念場に立たされている。しかも3位以下は空前のダンゴ状態で、3位・徳島ヴォルティスと14位・岡山の差は8ポイントしかない。
 
 序盤戦で5連勝を飾った時期に比べれば、勢いは終息し、いまのヴェルディには停滞気味の印象さえ受ける。スペイン出身の新助っ人、FWカルロス・マルティネスはすでにチーム練習に合流しており、24節のカマタマーレ讃岐戦でデビューする予定だ。得点力不足を解消する一手となりそうだが、こればかりは蓋を開けてみなければ分からない。
 
 そこで、ロティーナ監督に訊いた。後半戦を戦ううえで、なにがキーポイントになってくるのか。J1昇格のための「3か条」を教えてほしいと。
 
 すると、意外にもすんなり答えてくれた。いかにも歴戦のリアリストらしい回答だ。
 
「三つを挙げろと言われたら、こうなる。まず一つ目は、チームの誰もが現状をよく理解すること。我々は14、15チームが昇格を争うリーグで戦っている。とても実力が拮抗しているリーグだ。そこで勝ち抜くんだ、生き残るんだという気概を一人ひとりが持たなければいけない。二つ目のキーワードは『成長』だ。1日1日、1週間1週間、1試合1試合、実力を維持するのではない。少しずつでもチームとして成長していかなければ、目標は達成できないだろう。最後は、チームの総合力。いま出ているメンバーだけで戦い抜けるものではない。怪我人を出さないように注意しなければならないが、大事なのは、いま試合に出ていないメンバーたちの取り組みだ。彼らの奮起がさらにチームを逞しくし、大きな力となる。この三つは絶対条件と言っていいだろう」
 
 いつになく熱く語ってくれた指揮官は、閉塞感を打ち破り、ふたたびヴェルディを上昇気流に乗せることができるのか。次節は首位・湘南ベルマーレの敵地に乗り込み、大一番を戦う。
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWEB編集部)