2017-0709
先日から厚生労働省にて発表された年次定点観測的調査「国民生活基礎調査の概況」の最新版となる平成28年版(2016年版)を元に、たばこの喫煙率について複数の視点でその現状を確認している。今回は一部ではあるが、大都市圏における男女別、さらには年齢階層別に区分した上での喫煙率の状況を見ていくことにする。全国ベースの世代区分による喫煙率はいくつかの調査で見受けられるが、地域によるものは滅多にないため、貴重な値であることに違いは無い(【発表ページ:平成28年 国民生活基礎調査の概況】)。
今調査の調査要件及び注意事項は、今調査に関する先行記事の【平均世帯人員と世帯数推移をグラフ化してみる】で解説しているので、必要な場合はそちらを参考のこと。

今調査では喫煙状況に関して20歳以上の人に「毎日吸っている」「時々吸う日がある」「以前は吸っていたが1か月以上吸っていない」「吸わない」「不詳」のいずれかに該当するかを尋ねている。そして「毎日吸っている」「時々吸う日がある」の回答者を喫煙者とし、全体に占める比率を算出したものを喫煙率としている。その喫煙率は全国、都道府県別の他に21大都市でも算出できるよう元値が用意されているが、全部を掲示するのは煩雑にすぎるため、東京都区部、札幌市、仙台市、川崎市、京都市、大阪市、広島市、福岡市に限定して精査する。また他地域と比較がしやすいよう、縦軸の喫煙率区分はすべて統一する。

まずは東京都区部。いわゆる東京23区に限った値。

↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(東京都区部)
↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(東京都区部)

男性の喫煙率は50代前半がピーク。50代後半でいきなり下がり始める。興味深いのは女性の値で、20代後半がやや高め、そして男性よりも早く40代後半でピークを迎えていること。

続いて札幌市。全体喫煙率トップの北海道にある市。

↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(札幌市)
↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(札幌市)

男性の喫煙率は一部の年齢階層で4割を超えている。50代後半ではほぼ二人に一人が喫煙者。喫煙率の減退は60代前半までは生じておらず、後半になってようやく下げを見せ始める。これは男女ともに変わらない。全体値が最高値を見せているのも、現役世代から引退世代の頭ぐらいまで押しなべて喫煙率が高いのが原因であることが分かる。寒い気候も影響しているのだろうか。

続いて仙台市。

↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(仙台市)
↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(仙台市)

寒い気候なら喫煙率が上がるとの仮説に従えば、札幌市同様仙台市も高めの値が出ているのは納得できる。さらに男性における4割超えの階層は札幌市よりも多い。減退は60代前半からは始まっているが、60代までは1/4超えを維持する。

他方、女性は40代後半がピークと思いきや、実は20代後半がピークの17.4%を計上。説明がし難い値動きを示している。

県ベースで公共施設などの禁煙施策を実施している神奈川県に位置する川崎市。

↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(川崎市)
↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(川崎市)

上記に挙げた市と比べると男性の低値が目立つ。実のところ女性は他地域とさほど変わりはない。男性も60代前半までは高値を維持したままで、現役世代は喫煙状態を維持しているようにも見える。

観光都市としても著名な京都市。

↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(京都市)
↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(京都市)

ややばらつきがあるものの男性は他地域とさほど変わりはない。他方、女性は若年層の低さが目立つ一方で、中堅層から初老層までの値が高めで維持されているのも目に留まる。

先行する男女別の記事では「男女の差異があまり無い」との特異現象が確認できた大阪府に位置する大阪市。

↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(大阪市)
↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(大阪市)

元々男性の喫煙率は高めで4割強に達し、さらに高値は70代前半まで続いている。一方で女性の喫煙率も年齢の別なく高いのが目に留まる。男女間で大きな差異が見られるのは60代前半と70代前半ぐらいなもの。

中国・四国地方を代表して広島市。

↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(広島市)
↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(広島市)

意外にも男女ともにピークは30代前半。男性40代前半はイレギュラーだろうが、ピーク以降はじわりと下がり、60代後半で急落する。若年層の喫煙率が高めなのは特異な値動きだが、何か原因でもあるのだろうか。

最後に福岡市。

↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(福岡市)
↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(福岡市)

全体的にも喫煙率は高めだが、男性では特に若年層で高率を示しているのが特徴。ピークも30代後半で、5割に届きそう。他地域で見られる60代での急落も無く、少しずつ落ちていく動きを見せている。年齢階層を問わず、たばこが好かれているようだ。



今件はあくまでも一部の都市における統計的なもの。とはいえ各地域の特性が非常によく出ており、また都市によってはその地域のイメージに合致する値も示し、なるほど感を覚えさせる。特異な動きを見せた場所では、何らかの理由があり、その結果に至った可能性もあるだけに、その関連性を見出したいものではあるが……。残念ながら国民生活基礎調査の結果単独では、それはかないそうにもない。