長期間の夏休みに、良かれと思って子どもを海やキャンプなど各種イベントに連れて行くのに疲弊する親は多いものです。しかし、複数の心理学者が、「子どもは夏休みに退屈であるべき、その方が健全に成長できる」と、夏休み疲れに悩む世のお父さん・お母さんに最大限のエクスキューズを与えています。

Psychologists recommend children be bored in the summer - Quartz

https://qz.com/704723/to-be-more-self-reliant-children-need-boring-summers/

複数の心理学者・教育学者が、子どもに対して「退屈の勧め」を説いています。夏休みをもてあそばないように、いろんな体験をさせたい、いろんなことを学ばせたいと思って、ついつい欲張ってしまう親たちの過剰なサポートは、かえって子どものためにならないということを主張してます。

子どもの教育について研究する心理学者のリン・フライ博士は、「親としての役目とは、子どもたちが社会の中で自分の居場所を見つけられるような準備をさせることです。『大人になる』ということは、『自分自身のスケジュールをコントロールして、幸せに感じられるような余暇の時間で埋め尽くせるようになる』、ということなのです」と述べています。フライ博士は、もしも親たちが子どもの休暇をすべて埋めてしまうならば、子どもたちは自分でこの術を学ぶことがなくなってしまうと、子どもの機会損失を訴えています。これでは子どもの成長の芽を親たちが刈り取ってしまうというわけです。



また、イーストアングリア大学のテレサ・ベルトン博士は、「退屈は、真の創造性をもたらし得る『内在的な刺激』を発達させるのに不可欠なものである」と述べています。同じく、退屈で何もすることのない時間の大切さを説く人に、精神分析学者のアダム・フィリップス氏がいます。フィリップス氏は著書「On Kissing, Tickling, and Being Bored: Psychoanalytic Essays on the Unexamined Life」の中で、「退屈する能力は、子どもの成長の成果である」と述べています。フィリップス氏によると、大人は子どもにさまざまなことに興味を持ってもらいたいと考えるあまり、興味があるものを探すための時間を軽視する傾向にありがちですが、興味のあることを自分で探すために、退屈の過程に時間を費やすことが不可欠だとのこと。

そして、哲学者のバートランド・ラッセル氏は1930年に書かれた名著「The Conquest of Happiness」で、「子どもたちは若い植物のようなもの。誰にも邪魔されない土壌に一人残されたときこそが最も成長する時である。過度に旅行に連れ出したり、印象深い体験を過剰に与えたりするのは、子どもにとっては良くないことだ。むしろ、『実りある』単調さに耐えられない人間に成長してしまうだろう」と述べ、親の過剰なサポートの弊害を説いています。



退屈する時間は、ある意味では苦痛の時間です。しかし、この心理的な負担は子どもたちの成長に大切なものだとのこと。フライ博士は、「退屈はいけないことだと思っているかもしれませんが、退屈しても問題はありません。子どもたちが、何かを成し遂げるための動機付けをできるようになるためには、退屈する方法を学ぶ必要があります。退屈することは子どもを自立させる術なのです」と述べています。フライ博士は、退屈を学ばせる良い機会である夏休みに、子どもたち自身に「やりたいことリスト」を最初に作らせることを推奨しています。もしも子どもたちが「退屈だ」と訴えた場合、親はリストを見せて「これが私のしたいことです」と声を出して読み上げるのが良いそうです。