幸せな家族とは? 男性が家庭における平等を支持するかどうかが将来を決定し得る

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著:Agnese Vitali(サウサンプトン大学 Lecturer in Social Statistics and Demography)、Ann Berrington(サウサンプトン大学 Professor of Demography)

 国連の国際家族デーが近づいてくると、家族という集団の将来を予想しようとする無謀な試みがみられる。過去のこのような試みは失敗に終わっている。ウィリアム・J・グード氏は1960年代初旬の「結婚の黄金時代」と呼ばれた時代に、産業化の必然的な影響として、西欧によくあるような核家族のような家族形態に収束すると予見した。しかし、彼の著名な本「世界革命と家族形態について」が発行された頃から、離婚率が増え、既婚女性たちが労働力人口とみなされるようになってきた。

 しかし、危険を冒さなければ何物も得ることはできないのである。長期に亘ってヨーロッパにおいて、どのように家族生活が変化するかを推測するための明確な手がかりを見つけることができる。

 1970年代初旬より、結婚や出産は人生において後回しにされるようになり、同棲や、婚外出産が増加しはじめた。このような傾向は以下の表でも明確である。

Office for National Statistics

 人口統計学者であるダーク・ヴァンデカー氏やロン・レスタギ氏は、このような変化を自己実現や個人主義に重きを置くような価値観の変化の結果であると解釈する。彼らは、すべての欧州諸国が「第二次人口転換期」を迎えるであろうと主張した。結婚すること・性交渉をもつこと・親になることが、別々の事象として考えられるようになり、出生率が低く、婚外出産や、片親の子育て、同棲家族などの新しい家族体系の状態に落ち着くであろう。

 多くの国々で、結婚はしていないが同棲するカップルや、結婚はしていないが出産するような新しい家族体系が増える傾向にある。一般的に、より信心深いとされている南ヨーロッパの国々でさえもこの傾向は当てはまる。スペインでは、婚外出産が1972年には2%であったが、2012年には39%にも増加している。

 しかし、同棲、結婚、出産の関わり方についての考えは、国によって異なる。国によっては政府が未婚者の同棲や、同姓カップルを許可や規制をしており、新しい家族形態の容認は今後も国に寄り大きく異なると考えられる。

◆貧困への影響
 家族の伝記が標準化できない中で、多様化という言葉で収束してきた。つまり、今日の人々は彼らの家族生活を組織するための幅広い選択肢を持つのだ。そして、このような多様性は将来の家族像をも特徴づけると想定する。しかしながら、アメリカの学者、サラ・マクラナハン氏は、育児を担う親の構成や態度には、明らかな社会経済状況の違いがあり、この違いが子どもの「運命の二極化」とその格差の拡大を支持しているのではないかと考える。

 あまり高学歴でない人々は、経済的不安定さや、結婚することにより得るものが少ないことなどが理由の一部なのであろうが、より若い年齢でパートナーを持ち、婚外出産をする傾向が高い。そして米国や、おそらく英国でも、これらの人々は、高学歴な人々と比較して、より高い可能性で、パートナーとの関係が破たんしたり、複数のパートナーとの間で妊娠関係になる。

 出産に関しても国家間には根強い多様性があることがわかる。下の表で見られるように、南ヨーロッパとドイツ語圏諸国においては持続的に低い出生率(1.3〜1.4人/女性一人当たり)を記録しており、その反面、北欧諸国や西ヨーロッパではより高い出生率(1.8〜2人/女性一人当たり)を持つ。

 女性が労働力人口として参加するレベルが高く、経済が発展し、女性や男性に対する寛容な有給育児休暇制度がある国のほど、女性一人当たりの出生率が高い。

2014 European Data Sheet

◆変化への要因
 どのように家族が構成され組織されるかということには、いくつかの要因が影響し得る。そしてこれらの要因は将来の家族像にも影響をもたらす。これらの要因の中には、寿命が延びたことも含まれ、これは私達がどのように人生を計画するか、老後のケアの必要性や、年代間の関係などに重要な変化をもたらす。

 国際的に移住する人々が増加することにより、より国境を越えた家族関係が作られる。特に、歴史上初めて女性が国際的移住に占める50%を超えたことを明記したい。テクノロジーは将来の家族像にも影響をもたらすだろう。人間の移動度が増したことにより、家族の構成員はより地理的には離れるが、モバイル技術により緊密に繋がっていられる。よりフレキシブルな時間帯の勤務も可能になり、男性も女性も仕事でと家庭での役割を兼ねることが出来やすくなる。

◆家庭生活
 もう一つの、将来の家族像の変化への要因は、ジェンダーの平等である。国連の持続可能な開発のための2030アジェンダは、その一つの目標をジェンダーの平等と女性・女児の能力強化を進めることとしている。さて、どのようなジェンダー平等が将来の家族像に影響するのだろうか。

 女性が、伝統的には男性の活動であった公的領域で働くという新しい役割に適応し、彼女たちが男性と対等もしくは家庭の第一の働き手となることを受け入れることは、逆に男性が伝統的に女性の役割であった保育者や介添え人としての役割に適応するよりも早かった。

 男性の家事や子育ての分担率は、スカンジナビア諸国などのジェンダー平等主義の国において最も高く、ジェンダー平等率の低い南や東ヨーロッパにおいて最も低い。

GESIS 2012, own analyses, Author provided

 しかしながら、上の表を見てもらいたい。全ての国において、女性は男性よりも家事に費やす時間が長いことが分かる。ジェンダー平等主義のスカンジナビア諸国においても、ジェンダー改革はまだ完全に達成されたとは言えない。

◆負担を分担する
 ジェンダー改革理論の提案者は将来の家族へ幸せな結末を予想する。一旦、人生のすべての領域においてのジェンダー平等が達成されたら、より出生率が高く、安定した結びつきを持つ新しい家族モデルが広がるだろう。

 一方で、現在のデータは社会階層にまたがる著しい違いを指摘する。ジェンダー平等という思想や離婚のリスク低下は、高学歴な人々のみが持つ特権である。ジェンダー改革が将来の家族像に肯定的な結果を生むかどうかは、男性、特に社会階層の低い男性、がジェンダー平等を家庭にいかに早く受け入れられるかどうかにかかっている。

 これが、安定した家族や高い出生率を推進するために最も大切な平等であると考えられる。期待をすべくは、家庭で、また家庭外でも平等な作業の分配をする態度が継続的に広がっていくことで、パートナーが仕事や子育て、介護等の責任においてますます同等になるような、新しい家庭モデルが出来ることである。

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by Conyac