by Dave Brookes

たくさんの人が働くオフィスで作業する時に問題になるのが、「人の話し声で作業に集中できない」という問題。面と向かってその都度「集中できないから静かにして欲しい」と言うのも波風が立ってしまう可能性があり難しいため、どうにかして問題を解決できないか?とソフトウェアエンジニアのRaimo Radczewskiさんが試行錯誤の過程を公開しています。

Where we're going, we don't need headphones!

https://rradczewski.github.io/ymmv/2017/06/Where-we-are-going-we-dont-need-headphones



Radczewskiさんが「ヘッドフォンなしでもオフィスで仕事に集中する」ために提案している内容は以下の通り。

◆01:そもそも人がいない場所で作業できるようにする

そもそも論として、まずRadczewskiさんが提案しているのは「人が回りにいない作業環境を作り出す」ということ。そのため、出世しても個室を用意してもらえない企業の時は、リモートワークで働くという可能性を考えることを提案しています。例えば、Radczewskiさんはかつて金融サービスを提供するvaamoで働いていたのですが、vaamoの「働く場所」に関する考えは以下のようなものでした。

「あなたの働く場所は、vaamoのそのほかのものと同じく、『最低なもの』であってはいけません。あなたはどこででも働けます!もしオフィスが必要なら、フランクフルト内の公共交通機関の近くに美しいオフィススペースを用意していますし、自宅や、コワーキングスペースでも働くことが可能です。GitHub、Slack、Screenhero、Hangoutなどを通じて常に連絡を取り合い、情報を逃すことはありません。ただし、テーブルサッカーの試合には参加できないかもしれません」

このような職場であれば、仕事に集中するのに最適な職場をリモート環境で実現することが可能です。しかし、もちろん「リモートワークなんて問題外」という職場も存在します。その場合は、現在のオフィスで、作業する場所と会話する場所を分けるなどしてノイズを消すことを提案してもいいかもしれません。

例えば、ソフトウェア開発者のMarkus Tackerさんは、「オフィス嫌いな人がデザインするオフィス」というコンセプトで作られたオフィスのデザインを作成・公開しています。

Office design by an office hater · Markus Tacker · Software Craftsman

https://coderbyheart.com/office-design-by-an-office-hater/

コンセプトでは1チーム3人ほどで作業が進められる想定の様子。最低限の会話しか必要なく、作業に集中する時のためのオフィスが用意されています。



ガラスで仕切られていますが、目隠しをすることが可能なので、外界の動きによって集中力が途切れさせられてしまうことはありません。



より大人数での作業が必要な場合は6人用のオフィスもあります。



静かな空間で1対1で会話を行う必要があるときは、このような小部屋を使い……



会話中心でアイデアをまとめる時などは大きなオープンスペースを使えばOK。



誰でも会話に参加できるようにするため、ミーティング室は以下のような形になっています。



また、RadczewskiさんはZweitagという会社のオフィスにも感銘を受けたとのこと。Zweitagでは職員が集中して作業するための部屋と、話をしながら作業を進めるための部屋が分けられており、複数チームによるコラボレーションは廊下で行えれるようになっているそうです。オフィスは巨大で、4人のチームごとに区切られています。チームごとの小部屋は直接つながっていないのですが、壁に沿って設置されており、仕切りがガラスなので他の小部屋に人がいるのかどうかは一目でわかります。廊下にはコーヒーバーや喫煙室、座る場所などがあり、人々が自由に話し合って作業できるいようになっていたとのこと。

◆02:声が大きな人々に「気づき」を与える

とは言っても、今すぐにオフィスを改造するのも難しいもの。そこで、次は人に対するアプローチを検討していみます。オフィスでの騒音問題は、つまるところ人間の問題です。大きな声で会話して人の作業の邪魔をしている人は、多くの場合、自分が部屋中に聞こえるほど大声で話している自覚がありません。そのため「話し声によって作業が邪魔されている」ということを示すことは、彼らに気づきをあたえるためのよいスタートになります、この方法によって、声が大きくなりすぎる前に人々を会議室などに移動させることができるかもしれません。

ただ、この時、直接本人に「静かにして欲しい」というのも、衝突が生まれる可能性もあり、なかなか難しいもの。なので、コミュニケーションツールのSlackbotなどを使って匿名で問題を指摘してもOKです。この場合、会話中の人がアプリをチェックしておらず、即座に効果が得られないかもしれませんが、本人は後で自分の行動がオフィスの人の作業を邪魔していたのだと知ることができます。

Radczewskiさんは「/Noisy」というコマンドを打つとSlack上に自動で「@ここにいるみんなへ、もうちょっと会話を行う声のボリュームに気を使ってください」というあらかじめ設定されているメッセージが配信されるようにしていました。このような仕組みは、なかなか指摘しにくい騒音問題を気楽に指摘することができ、かつ特定の個人を攻撃することがないという点が優れています。



Radczewskiさんが上記の仕組みをオフィスで採用したところ、日によっては1日に数回もNoisyコマンドが送られることがあったとのこと。

◆03:声を上げなくても本人が声のボリュームに気づく仕組みを作る

「静かにして欲しいな」と思った時にNoisyコマンドを送って問題を解決するよりいいのは、Noisyコマンドが必要なほど人々の声が大きくなる前に、当人らを会議室に移動させることです。そこで、Radczewskiさんは USBタイプの信号と、Raspberry Pi、マイクを使って、常にオフィスの騒音レベルを測って色を変化させる信号を作成。



もしライトが緑なら、オフィスに騒音問題は無く、少しノイズが増えてきたらライトは黄色に変化し、誰かがNoisyコマンドを送るほどの騒音問題が起こったら赤色に変化するというわけです。人々がオフィスで会話している最中に黄色い信号が目に入れば、人から指摘されなくても「自分はノイズを生み出している」ということを自覚できるというわけです。なお、この信号の効果は、これから確かめられるところだそうです。

オフィスの騒音問題はこれが正解というものがなく、そのオフィスにあった解決策を見つけ出す必要があります。1つの部屋で複数人が作業しているのだからノイズが生まれるのは仕方がないかもしれませんが、リモート環境を用意するなどして完全に静かな部屋を用意することができなければ、少なくとも作業音楽に値するような、心地よい音量のオフィスを作り出す必要があります。ただし、BGMとしてのノイズが好きな人がいれば、少しの音も気になって作業できない人もいます。まず、各人にあった働き方を提供できるかどうかを考え、その後に、ノイズを生み出す人々に「気づき」を与えることが大切だとRadczewskiさんは語っています。