「日曜劇場『ごめん、愛してる』|TBSテレビ」より

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『ごめん、愛してる』。このタイトル、正直言って寒い。「この夏、一番切ない愛の物語」のキャッチコピーも、どこか古くさい。それも同作が韓流ドラマのリメイクと聞いて、どこか納得。

 かの地では2004年に放送され、「あの『冬のソナタ』を超える最高視聴率29.2%を記録して社会現象になった」というが、その内容はやはり韓流らしいものだった。

 主なあらすじは、以下のようなもの。

 幼いころ、貧しさが原因で母親に捨てられた岡崎律(長瀬智也)は、裏社会での荒んだ日々を送っていたが、ひょんなきっかけで三田凛華(吉岡里帆)と出会う。その後、律はマフィアの抗争に巻き込まれて頭を撃たれ、いつ命が尽きるかわからない状態に……。「せめて最後に親孝行を」と母親を探し始めた律は、凛華と再会。しかし、実母・日向麗子(大竹しのぶ)は裕福な家庭で息子・サトル(坂口健太郎)に愛情を注ぎ、凛華もサトルに思いを寄せていた……。

●「主人公が頭を撃たれる」韓流的な展開

 つまり、「律と凛華とサトルの恋愛三角関係と、律とサトルと麗子の母子三角関係を見せるドラマ」ということ。いわば、ベタな人間関係が、恋愛で3つ、母子で3つあり、“ベタベタベタベタベタベタ”な展開を楽しむ物語とも考えられる。

 気になるのは、「裏社会」「マフィア」「暴力」「ボディーガード」「銃弾が頭に残る」「心臓の病」「脳障害」などの物騒なキーワード。初回の予告映像を見ても、主人公が頭を銃で撃たれるシーンがあり、ダークサイドな世界観が軸になるのは間違いない。

 このあたりがいかにも往時の韓流っぽいのだが、同じ韓流ドラマ原作の『銭の戦争』(フジテレビ系)、「韓流が原作?」と勘違いする人の多かった『奪い愛、冬』(テレビ朝日系)が人気を集めたのも事実。韓流テイストのドラマを望んでいる視聴者は意外に多い。

 ただ、同作を放送するTBSの「日曜劇場」(日曜21時)は、『半沢直樹』『下町ロケット』、そして直近では『小さな巨人』がヒットした、男性視聴者層が多い放送枠。ラブストーリーのヒット作はほとんどないだけに、ミスマッチの感はある。

●満を持して「日曜劇場」主演を務める長瀬智也

 やはり、最大の注目は主演の長瀬智也だろう。ストレートなラブストーリーに挑むのは、19歳のときに出演した『ラブとエロス』(TBS系)以来で、実に約20年ぶりという。「『ラブストーリーなんか』とちょっと否定していた自分がいたかもしれない」と話す長瀬が38歳の今、どんな演技を見せるのか。しかも、「生まれて初めて人を愛すること、愛されることを知る」という感情表現の難しい役なのだ。

 長瀬は『タイガー&ドラゴン』『歌姫』『うぬぼれ刑事』『クロコーチ』で主演を務めた「『金曜ドラマ』(金曜22時)の顔」だったが、満を持してTBS最大のドラマ枠である「日曜劇場」の主演に挑むことになる。

 今作でも、顔面の迫力を押し出したコワモテのムードと、純粋さや温かみを感じさせるギャップで、感動を誘っていくのではないか。ドラマフリークの間では、「長瀬のドラマは鉄板」という声もあり、注目度は高い。

 相手役は、連ドラ初ヒロインとなる吉岡里帆。今年冬に出演した『カルテット』(TBS系)では突き抜けた悪女役に挑戦し、主演の4人を食うほどの存在感を見せていた。まさに今が旬の女優だが、今作では「自己犠牲をいとわない純粋で愛情深いヒロイン」をどう演じるのか。前作とは真逆の役柄だけに、それだけで話題になることは必至だ。

●韓国人は熱狂したが、日本人はツッコミ?

 そのほかのキャストも、坂口健太郎が「卓越した演奏技術とルックスで、絶大な人気を誇るアイドルピアニスト」、大竹しのぶが「プライドが高く周囲を振り回すが、息子・サトルを溺愛する元一流ピアニスト」、池脇千鶴が「児童養護施設で育ち、交通事故で脳障害を負い、7歳の知能しかない一児の母」、中村梅雀が「麗子を崇拝し、守るためなら手を汚すこともいとわないマネージャー」、六角精児が「麗子を恨み、スキャンダルを狙うフリージャーナリスト」など、クセのあるキャラクターぞろい。

 韓国人は「熱狂して仕事が手につかない人が続出した」らしいが、日本人は「ツッコミを入れながら笑って見る」のかもしれない。

 初回の放送では、長瀬演じる主人公・律の口から「ボケチン」というフレーズが何度も使われるという。古く気恥ずかしいフレーズだけに、もし流行ったら、「やっぱり長瀬のドラマは鉄板」ということだろう。
(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)