亜鉛がたっぷりの食材は岩がき

写真拡大

【健康カプセル!ゲンキの時間】(TBS系)2017年7月2日放送
「この夏を乗り切るために!発見!スーパーミネラル」

いよいよ暑い夏がやってきた。この季節、水分やビタミンはもちろん、ミネラルも積極的に摂(と)りたいところだ。

中でも、スーパーミネラルともいわれる「亜鉛」は、全身のあらゆる機能にかかわるが、実は日本人の30〜40%が亜鉛不足に陥っているといわれる。不足状態が長引けば、免疫力の低下やうつ症状、味覚障害を引き起こすおそれがある。

番組では、亜鉛を多く含む今が旬の食材と効率よく摂るコツ、そして不足に陥る意外な原因を紹介した。

定番の食べ方で栄養吸収率アップ

そもそもミネラルとは、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミンと並ぶ五大栄養素だ。ビタミンとともに、エネルギー源となる炭水化物、脂質、タンパク質の代謝を助け、生命維持には欠かせない。体内で合成できないため、食べ物などから摂取しなければならない。

体内には2000種類以上の酵素があり、取り入れた栄養素を消化吸収し、各所で必要な役割をするよう働きかけている。亜鉛はそのうち300種類の酵素の材料となり、主に細胞の新陳代謝を助ける。肌や毛髪、内臓、筋肉、脳にいたるまで全身の健康を保ち、さらに性ホルモンにも働きかける、非常に重要なミネラルなのだ。

亜鉛は肉類や海産物、チーズ、卵に多く含まれるが、ダントツの含有量を誇るのが貝のカキだ。カキというと冬のイメージがあるが、岩ガキは夏に旬を迎える。

ただ、カキを毎日たくさん食べていれば十分というわけではない。三重大学大学院 生物資源学研究科の柴田敏行准教授によると、腸管で吸収される亜鉛は約30%で、多くは体外に排出される。水溶性のため汗で流れ出すほか、ストレスでも大量消費されてしまう。

カキの名産地である三重県鳥羽市畔蛸(あだこ)町でよく食べられる料理に、亜鉛を効率よく摂るヒントがあった。

まずは「焼きガキのレモンがけ」。定番の食べ方だが、実はレモンに含まれるクエン酸、ビタミンCが、亜鉛の吸収率をアップさせる。

次に「カキのみそ炒め(ニンニク入り)」。ニンニクに豊富に含まれるビタミンB6は亜鉛の大敵であるストレスを軽減させるほか、吸収した亜鉛が正常に働くようサポートする。

アオサを衣にした「カキの磯辺揚げ」は、免疫力アップや生活習慣病予防につながる。アオサに含まれる必須ミネラルのマンガンと、カキに含まれる亜鉛と銅が、抗酸化能力を持つ酵素の材料となるのだ。

最後に「カキ飯」。亜鉛は水溶性なので煮ると水に溶けだしてしまうが、米と一緒に炊けば米に吸収され、余すことなく摂取できる。

インスタント食品の食べすぎは危険

亜鉛が不足すると「低亜鉛血症」になるが、自分では深刻化するまでなかなか気付くことができない。

どんな症状が出るのか、順天堂大学医学部総合診療科の内藤俊夫主任教授が診察した患者のケースが紹介された。

63歳の主婦・後藤さん(仮名)は、3年前、体重が3か月で5キロも落ちた。夏バテのせいだと思い気にしていなかったが、体重減少は止まらない。ガンなどの病気かと思い病院へ行ったが、検査結果は異常なし。病院を転々とし、内藤先生のもとにたどり着いた。

後藤さんが診察で「食事が楽しくない」と話したことから、内藤先生は亜鉛欠乏による味覚障害を疑った。

舌の表面には味を感じるセンサーの役割をする「味蕾(みらい)」があるが、細胞を代謝する周期が短いため、多くの亜鉛を必要とする。亜鉛が不足すると細胞が生まれ変わらず、味覚障害に陥る。後藤さんは食事がおいしくなくなり、知らず知らずのうちに食事の量が減っていたのだ。さらに重症化すると、何を食べても味がしなかったり、砂や粘土を食べているような感覚になったりする。

後藤さんの低亜鉛血症は年齢が影響したとみられる。歳を重ねると相対的に食事量が減り、腸管からの亜鉛の吸収率も落ちるため、血中の亜鉛量が低下してしまう。

後藤さんは味覚障害のため料理がおっくうになり、インスタント食品をよく食べるようになっていたが、これも悪影響を及ぼしていた。インスタント食品には亜鉛の吸収を阻害する添加物「ポリリン酸」などを含むものがあり、摂りすぎると亜鉛不足の原因になる。

ミネラル不足のサインとは

50歳の会社員男性・竹下さん(仮名)は、5年前に手のしびれやうつのような症状に悩まされ、内藤先生に低亜鉛血症と診断された。

亜鉛は神経細胞の再生やホルモンの生成にもかかわっている。不足すると末梢の神経に影響が出て、しびれる場合があるほか、ホルモンの分泌が悪くなり、精神症状にも悪影響を及ぼすおそれがある。

竹下さんの場合、健康診断でコレステロール値が高かったため、動物性の食品を控えていたのが原因だった。動物性食品は亜鉛を多く含み、タンパク質は亜鉛の吸収を高める。極端な食事制限は亜鉛不足を招いてしまうのだ。

ミネラルが不足すると体にあらわれる不調は、

(1) 貧血気味(鉄分や銅の不足)
(2) 脱毛(亜鉛などの不足)
(3) 肌荒れ(亜鉛などの不足)
(4) 足がつりやすい(カルシウムやマグネシウムの不足)
(5) 疲れやすい(様々なミネラルの不足)

がある。一つでも当てはまるとミネラル不足の可能性があるので、まずは食生活を見直してみよう。