国籍や民族、そして宗教を越え、多種多様な生き方ができる社会を目指したい――そう考える人たちが声を上げる中、アメリカであるムスリム女性が注目を浴びることに。

2016年11月に開催された「ミスUSA」のミネソタ州代表を決めるコンテストに "ヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭を覆う布)"を着用して出場したことで話題になり、現在モデルとして活躍するハリマ・アデンさん(19歳)がその人。入賞は逃したものの彼女の存在は国内外のメディアに取り上げられ、ファッション誌の表紙を飾るなど着実にスターへの道を歩んでいる現在。

モデルとして、ムスリム女性として、人生を切り拓いていこうとする彼女のインタビューを、コスモポリタン アメリカ版からお届けします。

#selfie 🙈

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――昨年の「ミス・ミネソタ」大会への参加が話題となって以降、さまざまなメディアに引っ張りだこのあなたですが、そもそもコンテストへ出場しようとしたきっかけは?

子ども時代から今に至るまで、テレビや雑誌に登場する(ムスリム)女性たちを見ても「こんな女性になりたい」とか「私と考え方が似てるな」と思えなかったんです。だから私自身がそんな女性になりたいといつも思っていました。現在の社会情勢はムスリムに厳しいのが現状です。だからこそムスリム女性にポジティブなイメージを感じてもらいたいですし、そんな思いからミスコンテストに出場しようと決意しました。多くの人に注目される大会ですから、トライしない手はないと。

――モデルになることやコンテストに出場するというあなたの決意に対して、家族や友人の反応は? お母様はコンテスト出場に反対だったと聞きましたが。

私の家族は移民一世なんです。ですから現代のアメリカ文化は母にとっては今でも"異文化"そのもの。内戦中のソマリアから命からがら脱出し、ケニアの難民キャンプを経てアメリカに来ました。母の夢は私に教育を授け、立派に育て上げること。ですから私が「モデルになりたい」と言ったとき、賛成してはくれませんでした。

そんな母に私は根気強く説明しました。「教育は私にとっても重要なことよ。でも私はアメリカで育ち、この国でのムスリム女性の存在に疑問があるの。なぜムスリム女性があまり表舞台に登場しないのか。私はそういう存在になりたいの」――そう少しずつ話し、理解してもらったんです。

one of my favorite looks !🌞

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お気に入りの写真!

――ヒジャブを被ったあなたの姿は大きな話題になりましたね。多くの人たちがヒジャブについて考えるきっかけになったのでは?

"Modesty( 慎【つつし】み深さ、貞淑さ)"という言葉について考えるとき、その定義は人によってさまざまです。きっと誰ひとり同じ(定義の)人はいないでしょう。私にとってヒジャブを身につけること="貞淑な人"ではないんです。ヒジャブはただの布でしかないし、着用しているから"善人"だとか、身に着けていないから"悪人"だとか、そういうことではありません。私は信仰の表れの1つとして着用しています。「慎み深くありたい」と心の底から思うからこそ、ヒジャブを身に着けているんです。

CR誌10号の表紙はハリマ・アデン!

――コンテストの後一躍有名人になりましたが、これは予想していたことでしたか?

一部メディアがコンテスト出場前に私のことを取り上げてくれたんですが、こんなに大きな注目を集めるなんて思っていませんでした。地元のメディアだけでなく、海外からも取材が来るなんて、本当に驚きでした。また、メディアだけでなく一般の人びとが私に注目してくれたことも、私にとって意味のあることでした。(ムスリムであることについて)中傷され、自分の存在そのものに疑問を持ったこともありましたが、反対にまったく知らない、会ったこともない人たちから励ましの言葉を送られたり、「あなたの意見に賛同するわ」と言ってもらえたことで、モデル活動やコンテスト出場など、私が行動したことは間違いじゃなかったんだ!と思えました。

(有名になったことで)たくさんの人たちが私に本音を語ってくれるようになったのも嬉しいことでした。ヒジャブを着用することについての葛藤を話してくれた人もいれば、「私はヒジャブを着ないの」と言う人もいました。またアフリカ系アメリカ人が直面する差別について吐露してくれた人、男性社会についての意見を語ってくれた人もいました。ムスリムについてだけでなく社会が抱えるさまざまな問題について、多くの人と語り合う機会が与えられたことを、本当に嬉しく感じています。

――コンテストに出たことで人生が変わりましたよね。今人気モデルの道を歩んでいますが、もしコンテストに出ていなかったら…と思うことはありますか?

同じような道を歩んでいたかは分からないけど、何かしら自分で人生を切り拓こうとしたとは思います。例えば高校時代、よく卒業生の講演会がありましたが、ムスリムの先輩が来たことはありませんでした。ムスリムの子どもたちのことを考えた行事もなかったと記憶しています。これは私たち世代が変えていかなきゃいけないことだと思うんです。

私は母校で講演会をした初のムスリム女性になりました。講演後入学したての生徒たちが寄ってきて「私もコンテストに出てみたい!」「どうやって両親を説得したの?」と聞かれましたが、こういった会話から何かが生まれるんだと思います。こうしたことは小さなことかもしれないけど、誰かに考えるきっかけを与える意味のあることだと思います。

This is for you ❤️😉 #MuslimGirlsCan

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――あなたの次なるプランは?

やりたいことがたくさんあるんです。今の時代"モデル"という仕事はただモデルをするだけではなく、影響力を持つ活動家としての意味もあると思います。社会に対して正義を訴えること、多くの人たちと繋がることがこの仕事を通じて可能になるからです。

学校での講演活動は今後も続けていきたいことの1つですね。高校生だったとき、エンジニアや数学について語ってくれる先輩はたくさん来たけれど、ムスリム女性としての生き方を語ってくれる人はいませんでした。そんな話を聞きたいと思っている少女たちに語りたいことがたくさんあるんです! ヒジャブを身に着けていること、ムスリム女性であることが、私の人生の妨げになることは今までもこれからもないと信じています。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

COSMOPOLITAN US