【原ゆみこのマドリッド】まだまだ試合はないけれど…

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▽「男子ならではできる技ね」そんな風に私が頷いていたのは土曜日、アスレティックの選手全員が高校球児のように頭を丸め、リハビリトレーニングに来たジェライを迎える映像を見た時のことでした(https://www.youtube.com/watch?v=4sgRFoFBa5E)。いやあ、彼は6月のU21ユーロのスペイン代表に選ばれながら、ポーランドに経つ直前、2月に完治していた精巣ガンの再発が発覚し、無念のリタイアをすることに。その後は抗がん剤や放射線療法を受けていたため、坊主頭になっていたんですが、リーガ1部20チーム一番乗りの早さで先週からプレシーズンを開始していたチームメーートたちが当人を励ますため、ロッカールームで互いにバリカンで刈り合って、連帯感を示すことにしたのだとか。

▽これには1人として例外はなく、U21ユーロに参加していたため、まだ休暇中のウィリアムスとケパ・アリサバラガも日付を合わせてスキンヘッドにしていましたけどね。ああも皆さん、同じ容貌になってしまうと試合の時、ファンには誰が誰なのか、なかなか区別がつかないかも。ジガンダ新監督の下で臨むアスレティックの新シーズン、最初の公式戦は7月27日のヨーロッパリーグ予選3回戦1stレグ。どこのスペインのクラブより早いんですが、その頃にはそれぞれ、特徴のある髪型ができるぐらいまで毛が伸びていてくれる?とりあえず、8月末に復帰するジェライのため、少なくともELプレーオフまでは勝ち抜いて、グループリーグ出場権をプレゼントできるといいですよね。

▽まあ、そんなことはともかく、このところ何かと話題が多いのはそのU21ユーロに出場していた選手たちで、いえ、スペインは決勝でドイツに1-0で負け、惜しくも準優勝に終わったんですけどね。それにも関わらず、大会MVPに選ばれたベティスのセバジョスをレアル・マドリーとバルサが獲り合っているというニュースが日々、マスコミを賑わせていたんですが、とうとうこの土曜には当人が前者のオファーを受けることを決断したという報が。契約破棄金額1500万ユーロ(約19億円)を超える1800万ユーロ(約23億円)の移籍金で、6年契約を月曜に結ぶ予定だそうですが、あれ、その日は先週水曜にマドリー移籍が公式に発表されたテオのプレゼンが組まれてなかった?

▽うーん、アトレティコのカンテラーノ(Bチーム出身の選手)で、昨季はアラベスにレンタル移籍して活躍した19歳の彼は休暇でアメリカに滞在中、先日、契約延長をしたばかりの年子の兄、ルカスの立場も思いやらずに「マドリーでプレーすることが子供の頃からの夢だった」とTVカメラの前で告白。クラブ関係者がこれに気分を害したせいもあってか、オフィシャルウェブでの移籍決定のお知らせ(http://www.atleticodemadrid.com/noticias/theo-hernandez-traspasado-al-real-madrid)でも、当人は「nunca llego a debutar en partido oficial con el primer equipo/ヌンカ・ジェゴ・ア・デブタル・エン・パルティードー・オフィシアル・コン・エル・プリメール・エキポ(トップチームの公式戦でデビューするには至らなかった)」と嫌味に強調されたりしていたんですけどね。

▽ええ、U21ユーロ後はお兄さんのジョナタン(2部Bのアルコジャノ)やアーロン(2部テネリフェから同オビエドに移籍)らと共にニゲス・カンプス(少年少女向け夏のサッカースクール)で指導に当たり、金曜に上京。この夏はFIFA処分で新規選手登録ができず、当然、華々しい入団プレゼンもできないせいか、6月のコケに続いて契約延長プレゼンをビセンテ・カルデロンのVIPルームで開いてもらったカンテラの先輩、サウルも「ウチのユース出身なのに育ててもらったクラブにリスペクトの気持ちを示せないなんて。El que no quiera estar con nosotros no nos importa/エル・ケ・オー・キエラ・エスタル・コン・ノソトロス・ノー・ノス・インポルタ(ボクらといたくない選手のことなんか、どうでもいいよ)」と、テオにはかなり冷たかったですからね。

▽その上、これからプレーするクラブでもお披露目の日を、モドリッチの後継者と目されているセバジョスの移籍契約のタイミングにぶつけられてしまうとなれば、マルセロと競う左SBのポジション争いもこの先、思いやられてしまいますが、まあそれも自身が選んだ道。残念ながら、サンティアゴ・ベルナベウの特設ステージでのプレゼン時、兄のルカスはロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のキャンプに参加しているため、立ち会うことはできないでしょうが、もう翌日には当人もチームと一緒に本場のロサンジェルスへ出発ですからね。意外とこういうちょっとした(?)差に憧れて、リッチなマドリーに行ってしまう選手もいるのかもしれませんよ。

▽え、金曜にサウルを私が見に行ったということは、U21代表の同僚であるバジェホの方はすっぽかしたのかって?その通りで、最初は私もマドリーのこのプレシーズン、初の入団プレゼンを楽しみにしていたんですけどね。これもまた、テオのことだけでなく、FIFA処分もお隣さんのようにCAS(スポーツ仲裁裁判所)に移籍市場1回分に減刑してもらえなかったアトレティコがまさか、計算してぶつけたんでしょうか。

▽どちらも午後1時スタートのイベントだったとなれば、いえ、夏ごとにどこかの路線が整備で運休となるマドリッドのメトロ(地下鉄)が今年は5号線を選択。おかげでせっかくピッチに芝も戻り、7、8月はまだスタジアムツアーもできるビセンテ・カルデロンへは、セルカニアス(国鉄近郊路線)を使わないとたどり着けないというのはわかっていましたけどね。何せ、バジェホの移籍が決まったのは2年前。ここ2シーズンは古巣のサラゴサ(2部)、アイントラハト・フランクフルトにレンタル中だったいうこともありますし、大体、彼はまだ20歳なんですよ。

昨季で契約が切れ、先日にはベシクタシュ加入が決まったCBペペの後釜として、すぐにジダン監督に使ってもらえるのか疑問がありますし、となれば、やっぱり私がユーロ大会でお隣さんのアセンシオを上回るゴールを挙げ、ボタ・デ・オロ(得点王)に輝いたサウルを選んでしまったとしても仕方なかったかと。ちなみにそのプレゼンでは先輩のコケ程の大泣きではありませんが、アトレティコの少年チームでプレーしていた時代の思い出写真や2012年に17歳でトップチームデビューをした試合のビデオを見せられた当人が壇上で涙ぐむシーンも。

▽2026年までという、超長期契約になったのには「ミゲール・アンヘル(筆頭株主)が契約延長の話を持ってきた時、向こうの好きなだけの期間、サインすると言ったよ。Yo quiero mejorar, crecer y hacerlo con el Atletico de Madrid/ジョ・キエロ・メホラル、ウレセル・イ・アセールロ・コン・エル・アトレティコ・デ・マドリッド(ボクは上手くなって成長したい。それをアトレティコでやりたいんだ)」と言っていましたが、そうですね。当面はユーロ決勝のようにプレーのレベルが落ちる試合を減らすことを課題にしてくれることを望みます。

▽そんなサウルはプレゼン後、再びバケーションに戻り、今月末までチームに合流はしないんですが、実はアトレティコのプレシーズン練習はこの木曜にスタート済み。ええ、前日にフェルナンド・トーレスの契約1年延長も正式に決まったため、初日は私も頑張ってマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場まで見学に行ったんですが、いやあ、こんなこともあるんですねえ。例年なら、猛暑の中のセッションとなるはずが、たまたまその日から、スペイン中で気温が急激に下がったから、私もビックリしたの何のって。おかげで過去にはビエット(昨季はセビージャにレンタル)やメンサー(同ビトリア)らがオルテガ・フィジカルコーチの厳しいメニューについていけず、途中で吐いたりしていたものですが、やはり20度ぐらいしかなく、練習の後半は雨混じりともなると、選手たちもバテなくて済む?

▽ただ翌日からは、別にまた暑くなった訳ではないものの、セッションが午前8時開始と非常に早い時間に設定。さすがに私も金曜、土曜は付き合うことはできなかったんですが、まだこの段階では昨季リーガ終了後に各国代表戦に参加していたメンバーが欠けていますからね。その間、ビエットがpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)中にchilena(チレア/オーバーヘッドシュート)を試み、ヘルプ要員で参加しているカンテラーノの額を蹴って、流血騒ぎなっていたなんてこともあったんですが、大丈夫。大きなケガではなかったようで、その彼も日曜夕方に揃って移動するキャンプには同行できるようです。

▽そして週明けからはゴディンやヒメネス、フィリペ・ルイスら中南米組、オブラク、サビッチ、カラスコらが加わり、水曜にはコケとグリースマンも合流。21日まで1日2セッション、3セッションとある猛練習をこなした後、親善試合も始まります。そうそう、来年1月加入予定の選手候補だったビトロは契約破棄金額の4000万ユーロ(約52億円)をセビージャに払い、シーズン前半は古巣のラス・パルマスでプレーする方向でほぼ固まったようですが、試合に出ずにアトレティコで練習していてもらうと言われているジエゴ・コスタについてはまだ、チェルシーとの交渉も始まっていないとか。うーん、そろそろコンテ監督のチームもプレシーズンが始まりますしね。その空きを待っている選手もいるため、早いところ話を進めてもらいたいものですが、というのも…。

▽そう、モラタの移籍先としてほぼ確定とされていたマンチェスター・ユナイテッドが土曜にはルカクをエバートンから1億ユーロ(約130億円)で獲得したことを発表。ポジションもかぶりますし、更にマドリーに移籍金8000万ユーロ(約104億円)を払うことはないだろうという話になっているんですが、これには6月にベネチアでイタリア人モデルのアリス・カンペッロさんと結婚式を挙げてから、熱々のハネムーン写真を披露(https://www.instagram.com/alvaromorata/?hl=ja)してばかりだった当人も一気に現実に引き戻された?

▽何せ、マドリーも来週の月曜にはバルデベバス(バラハス空港の近く)に集合して、翌日にはアメリカへ出発ですからね。モラタもそのメンバーに入っているんですが、モウリーニョ監督もUCLAの施設がお気に入り。あちらでは一足先に200メートル離れたグラウンドでマンチェスター・ユナイテッドが練習を始めているため、移籍が決まればすぐさま歩いて新天地となるチームに合流できると思っていたかもしれませんが、そうは問屋が卸さないことに。ちなみにジダン監督はモラタの残留を望んでいますが、そうなるとモナコからエムバペが来られなくなってしまうかもしれませんしね。

▽ここまでのところ、セバジョスは全然、高額ではありませんし、その他、この夏のプレゼンが移籍金2600万ユーロ(約34億円)のテオ、無料のバジェホに、同じくRMカスティージャ出身で昨季はアラベスにレンタルに出ていたスペインU21代表の同僚、マルコス・ジョレンテだけなると、選手獲得に大枚をはたくのが好きなペレス会長がちょっと欲求不満になってしまう可能性もなきにしろあらず。

▽もちろん同じく来週月曜に始動するマドリッドの弟分チーム、今のところ、降格したスポルティングからGKクェジェルの入団が決まったぐらいのレガネスや昇格プレーオフの死闘を戦い抜いた後、まだ昨季のレンタル移籍選手の買い取りオプションを行使した程度。練習開始も17日からと遅いヘタフェなどから見たら、本当に羨ましい話なんですけどね。

▽ただ、土曜のマルカ(スポーツ紙)にインタビューが掲載されたモドリッチなども「Yo solo ficharia si alguien te puede mejorar bastante lo que hay/ジョ・フィチャリア・シー・アルギエ・テ・プエデ・メホラル・バスタンテ・ロ・ケ・ハイ(自分なら、今のチームを相当、良くすることができる選手だけを獲得するだろう)」と言っていましたが、確かに2年連続CL優勝を果たし、昨季はリーガも制覇したチームをもっと強くできる選手を見つけるのは難題中の難題。そういう意味ではマドリーにも苦労はあるんですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。