米国が中国への圧力を強め、矢継ぎ早に人身売買の最低ランク化、銀行制裁、台湾への武器売却の措置を打ち出した。航行の自由作戦も重ねている。北朝鮮への対応を促すためとみられるが、中国政府は反発している。資料写真。

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2017年7月7日、米国が中国への圧力を急速に強めている。核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応を促すためとみられ、人身売買の最低ランク引き下げ、銀行の制裁指定、台湾への武器売却と矢継ぎ早だ。航行の自由作戦も重ねている。一連の措置に中国政府は反発、「誤った決定」などと非難している。

中国への攻勢の口火を切ったのはティラーソン国務長官。6月27日に世界各国の人身売買に関する17年版の年次報告書を公表し、中国の評価を昨年から1段階引き下げ、4年ぶりに4段階中の最低ランクに位置付けた。

ティラーソン長官は「推計5万〜8万人の北朝鮮市民がロシアや中国で強制労働に就かされ、その多くは1日20時間も働かされている」と指摘。「労働者からの送金が数億ドル(数百億円)に上る」と語った。米政府はこうした資金が核・ミサイル開発に使われているとみている。

最低ランクは中国のほか、イランや北朝鮮、ロシア、シリアなど。報告書について、中国外交部の陸慷報道局長は「いかなる国も他国の内政問題を口から出任せに批判する権利はない」と反論した。

29日には米財務省が国連などの制裁措置にもかかわらず、マネーロンダリング(資金洗浄)など北朝鮮による不正な金融取引に関与したとして、中国の丹東銀行(遼寧省)を制裁対象にした。北朝鮮問題をめぐり、トランプ政権が中国企業への独自制裁に踏み切ったのは初めてだ。

丹東銀行のウェブサイトによると、同行は中国人民銀行(中央銀行)に認可された株式制の地方商業銀行。102の営業拠点を有し、16年末の資産総額は約723億元(約1兆2000億円)という。制裁指定により、米金融機関との直接取引に加え、外国金融機関を経由した間接取引も禁じられる。

さらにトランプ政権は29日、台湾に14億ドル(約1570億円)相当の武器を売却すると議会に通知した。これも政権発足後、初めてだ。米CNNによると、売却するのは新鋭ミサイルや魚雷などで、早期警戒レーダーシステムの技術サポートも提供する。

これに対し、在米中国大使館は声明で「中国の政府と人民は、激怒する十分な権利がある」と反発。「米国側の間違った動きは両国首脳会談で合意した内容や、両国関係の前向きな発展に逆行するものだ」と批判した。

南シナ海で中国が主張する領海内に立ち入る「航行の自由作戦」も相次いでいる。5月末の南沙(スプラトリー)諸島周辺に続き、今月2日には西沙(パラセル)諸島周辺でも実施。中国外交部は「深刻な政治的・軍事的挑発」と非難した。

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は2日、電話で会談し、朝鮮半島の非核化に取り組んでいく方針を再確認した。4月初めの米中首脳会談で習主席は、米国が北朝鮮に対して具体的な行動を取るまでの猶予期間として「100日間」を求めたとされる。「100日間」の期限は不明だが、米国の度重なるアクションは中国に決断を迫っているともみられる。(編集/日向)