昔から、異性に気持ちを伝える手段として、“手紙”が多く使われていた。

その中には、相手を想う、数々の言葉がつづられている。

時は、2017年の東京。

日々行き交うLINEに対して、現代の男女は何を想うのか。

彼氏である純平の“疲れた”に対して甲斐甲斐しく返事をしていた由美。しかし、純平は突然フラれる

その真相や、いかに。




A1:仕事終わりの一言。疲れたと言われても何と返せばいいのか分からない


純平と出会ったのは、学生時代にさかのぼる。

同じ学部だったけど、そこまで印象が強かったわけでもない。だけど卒業後、偶然会った時にすっかり見違えた。

印象の薄かった同級生は、カッコいい外資系証券マンになっていたから。

“昔から好きだった”と言ってくれた時、とても嬉しかったことを今でも覚えている。

しかし、付き合い始めて1年くらい経ったあたりから、ずっと気になっていたことがある。

-LINEが女々しい。

最初は気にならなかった。けれども、日々仕事後に送られてくるLINEに段々違和感を感じ始めた。




疲れた!と言われた時、返す言葉は決まっている。



LINEだと、男性は女性より本音をさらけ出しやすい?


A2:疲れたアピールは、いらない。女の話も聞いてほしい


最初は、一生懸命彼の仕事を理解しようと頑張った。

金融の世界のことは分からない。だからせめて、彼の仕事のストレスのはけ口になれればいいなと思い、様々なバリエーションで返事を返そうと試みた。

しかし“疲れた”に対して思い浮かぶのは、結局“お疲れ様”の一言だけ。

それ以外に、何を求めているのか分からなかった。

相変わらず仕事後に送られてくる“疲れた”LINEに返信をすると、立て続けに純平からLINEが入る。




携帯を見て、思わず手が止まる。

-この一言、いらなくない...?

仕事が大変なのはわかるし、理解もできる。しかし純平の“疲れた”アピールに、少しゲンナリしてきた自分がいることも確かだった。

私だって、疲れている。

しかしこの大変な時を支えてあげるのが彼女というもの。気持ちを切り替え、こう送った。






「という感じで、最近彼の“疲れたLINE”を見ていると、こっちまで疲れてきちゃっってさ。」

大学の同級生で、同じように昔ミスコンに出ていた麻里と『WE ARE THE FARM EBISU』にてランチ中に、思わず愚痴がこぼれてしまった。




「あ〜でも分かるかも。いるよね、男性でやたらと“疲れた、疲れた”って言う人。あとは仕事が忙しいとか。」

昔から散々チヤホヤされ、様々な男性と遊んでき麻里が言うことは的確だ。

「でもさ、それが何?って言いたくならない?LINEとかFacebookのメッセンジャーみたいなチャット形式って、人間性が丸裸になるよね。」

麻里の発言を聞いて、思わず頷く。

純平は会っている時はいいのだけれど、LINEだと途端に面倒な彼氏になるのだ。

そんなことを話していると、タイミングよく純平から返信が入った。




接待続きで大変だね。きっとそういう言葉が欲しいのだろう。




我ながら、良い彼女だと思う。健康に気遣い、癒しを求めている彼のためになんと返信をすれば良いか考える。

でも少しずつ、物分かりの良い彼女を演じるのも、女々しい彼氏の相手をするのにも疲れてきていた。


男女で違う、ストレス発散方法。そこにLINE上で想いの差も生まれる


女は辛くても、彼氏に弱音を吐かない。別の方法で発散する


麻里と解散してから、仕事に戻った。アパレルでプレスをしているというと響きは良いが、女社会で、決して楽な仕事とは言えない。

「麻里ちゃん、あの雑誌とのタイアップ案件、どうなってるの?真面目に仕事してくれない?」

上司からの嫌味に小さなため息が出る。

女性はきっと、ストレスを一気に爆発させる生き物だ。

溜まりに溜まった時に「何でわかってくれないの?!」「本当に大変なの!」と彼氏や旦那に愚痴を吐き出し、ストレスを発散させる。

しかし毎日、小さな“疲れた”を連発はしない。

それにストレスが溜まった時は女友達とおしゃべりに興じたり、買い物やエステで散財する。

-疲れたなぁ。

誰かに話を聞いてもらいたくて、 純平にLINEを送ろうと思ったが、ふと手が止まった。

純平は疲れたと言えるが、私は毎回聞き役。最後に、純平に仕事の愚痴をこぼしたのはいつだろうか。

正確に言うと、純平に話しても、どこ吹く風。人を気遣う余裕なんてないのだろうな、と思っている。

彼氏なのに、辛いとも言えない。そう考え始めると、純平の存在価値はどんどん低くなっていった。



何となく気乗りしないまま、デートの日を迎えてしまった。




この時、気持ちを固めていた訳ではなかった。ただ、話を聞いて欲しかっただけ。

しかし純平とでご飯を食べている時に言われたこの一言が、私の中で決定打となった。

「もうさ、連日接待で胃が大変だったから嬉しいよ。」




『裏恵比寿 自然生村』の「すりおろし自然生とろろ鍋」を食べながら考える。きっと、この人は自分が頑張ったと認めてほしいのだろう。それは分かる。

でも、人に対しては何の興味も持っていない冷たい人なのかもしれない。

話すことよりも、聞くことが苦手な人の方が多い。だって、“人の話を聞く”ということは、ある意味パワーがいることだから。それに話を聞く相手に対する愛情もいる。

いくら稼ぎが良くても、自分のことに必死で、毎日ネガティブな気持ちになるような人とは一緒にいられない。

「別れたいの。ごめんね。」

呆然と立ち尽くす純平を残して、恵比寿駅に向かう。ずっと溜まっていたモヤモヤを一気に吐き出せて、肩の荷が下りた気がした。

-次は、人の話を聞いてくれる男性と付き合おう

帰りの電車の中で、次に付き合う男性の候補を考えていた。

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