犬と人間は1万年以上も前から友人だった

犬と人間の歴史は1万年前には始まっていた

遺跡調査などから、犬と人間の共同生活は1万年前にはすでにされていたと推測されています。コンラート・ローレンツ著『人、犬にあう』では、人間が犬の祖先であるオオカミの飼育を始めたのは5万年前だとも書かれています。

きっかけはお互いの恩恵

現在、犬の祖先はオオカミであったという説が最も有力です。
大昔犬の祖先だったオオカミが、人間の生活する集落に近づくようになったことが一緒に生活をするようになったきっかけだと言われています。オオカミが人間の集落に近づいてきた目的は、人間たちの生活から出る残飯や、衣類として使用した毛皮を採取した後に出る獣の肉などでした。
人間側にもオオカミによるメリットがありました。オオカミが持つ、獣などの外敵がやってくる危険を察知する能力や、追い払う優れた能力は人間にとって非常に役に立ちました。

また、人間の狩りについて行けばおこぼれにありつけるというメリットから、オオカミは狩りにも同行するようになります。人間も、オオカミの優れた嗅覚や聴覚、俊足や攻撃性を利用して狩猟のパートナーとしました。オオカミとともに狩猟をするようになるまでは数万年という長い時間がかかったとする説もありますが、いずれにせよ人間はオオカミと狩猟をするようになってからこれまでよりずっと大きな獲物を捕まえられるようになりました。

このようなお互いの利害の一致で共同生活は徐々に深いものとなり、人間はオオカミを家畜として飼いならすようになったといわれています。そしてオオカミは長い歴史の中で「犬」になっていったといわれています。

犬はどうして人間と仲良くなれたのか

人間の残飯目的だった野生のオオカミが、人間の最善のパートナーと言われるまでになれたのはどうしてでしょうか。
犬の祖先オオカミは、群れで生活をしていたことから、元来社会性に優れていたことと群れのリーダーを慕い、リーダーに褒められることに喜びを見出す性質があったことが大きな要因だといえそうです。
仕事をすれば、食事も喜びも与えられる人間との関係は、犬(オオカミ)にとっても好都合だったのではないでしょうか。
また、犬も人間に優秀な仕事のパートナーであること以上の喜びを与えてくれたからこそ、他の家畜とは違った特別扱いだったのでしょうね。
とはいえ、野生のオオカミは現在の犬と違って扱いは難しかったといいます。人間と仲良くなれる性質の犬が生まれたのは、野生の子どものオオカミを育てたのがはじまりだという説もあります。子どもの頃から育てていたため人間に忠実になったという説です。
さらに、食用や宗教儀式の生贄のために飼育したオオカミの中に人間に従順な個体がいて、それを飼いならすことで人間の命令に忠実な系統(のちに犬)を作り上げたのではないか、という説もあります。

日本で犬が飼われたのはいつ頃から?

日本では、縄文時代の遺跡から、犬を埋葬したとみられるものが見つかっており、骨の組成を分析したところ人間と同じものを食べていたということがわかっています。このことから、縄文時代には犬は人間と共に生活をしていたことがわかります。また発掘された骨から、犬の風貌はキツネや小型の柴犬のようだったと考えられています。

飛鳥時代には、あの有名な聖徳太子に「雪丸」という名の愛犬がいたという記録があります。この頃は、犬を猟犬や番犬として飼育していたようです。

では、家畜として飼育されてきた犬が愛玩目的のペットとして飼われ出したのは、いつ頃からでしょうか。
書物や絵巻物から平安時代には、貴族階級で犬をペットとして飼っていたことがわかっています。枕草子や源氏物語では、宮廷で犬が飼われている様子が描かれています。
そして、江戸時代には有名な「生類憐みの令」が発令されます。それまでは家畜要素の強かった犬が、一気に珍重されるに至った法令でした。

まとめ

犬と人間の歴史の始まりは、はっきりしたことはわからないものの、とにかく大昔から続いているということは確かなようです。石器時代の犬のお墓が見つかっていたり、飼い主とともに埋葬されているケースが発見されるなど、犬は人間にとってまさに最古のパートナーと言えそうです。
オオカミから犬になるまで、犬になってからも、1万年以上もさまざまな品種改良が行われて現在の犬になりました。犬は地球上の動物で最も多様な品種を持つそうです。長い歴史の中で犬はずっとそれぞれの特性を生かし、狩猟犬や牧羊犬、ソリを引く犬や番犬など、人間のために、人間とともに働いてきました。
人間と犬(オオカミ)が共に生きてきた長い歴史の中で構築された、種族を超えた信頼関係が現在まで脈々と引き継がれているわけです。愛犬にもその歴史が流れているのかと思うと、なかなか感慨深いですね。