< アメリカ・サウスカロライナ州 > シャロンさん(仮名)・アメリカ人女性30代

「私は以前、ゴーストハンターをしていたの」

 

落ち着いた口調で彼女はいう。

 

彼女の名はシャロン(仮名)。アメリカ南東部の沿岸サウスカロライナ州に住んでいる。この州は、かつての南北戦争(1860〜)で戦闘が最も激しかった地区のひとつとされる。南北戦争での死者数は総計90万人を超えるともいわれるが、そのせいもあってかここでは不思議なこともよく起こるのだと彼女は語る。

 

「私の家の近くには当時の軍事倉庫や古い病院があるのよ」

 

今ではもう使われていないそうだが、取り壊されずに残っている建屋もあるらしい。シャロンは幼いころから霊を当たり前のように視ていた。通常の心霊体験だけでなく、「デーモン」の霊的体験もある。

 

「まだ私が子供だった頃の話なんだけれど、夜に自分の部屋でベッドに寝ているとクローゼットの方から大きな何かが近づいてくるのがわかったの。暗かったし、眠りかけてたからよくわからなかったのだけど」

 

それは一定のリズムで歩調を刻みながら近づいてくるように感じたという。そして彼女のベッドにゆっくりと乗る……

 

「私は最初、パパがおやすみをいいにきたんだと思ったわ。でもどこか違和感を感じて……私いったの、『パパ?』って」

 

しかし、その大きな暗がりは彼女の呼びかけを無視したのである。

 

「私、だんだん目が慣れてきて、それが人のようには見えたのだけど……そしたら急に私の手を引っ張ったのよ……。

 

怖くなって思わず悲鳴を上げたわ」

 

手を引っ張られて悲鳴を上げた瞬間、シャロンにはその影がパパではないとはっきりわかった。なぜならその大きな影には人の顔が無かったのである。代わりに金色の点が全身にあり、それらがまるで目のようにシャロンを見ていたという。

 

また、家の近くにある軍事倉庫や古い病院跡が関係しているように思える怪異もよく起こっていると語る。

 

「家の外だけでなく中でもおかしなことはよくあるのよ。いつの間にか廊下に靴跡が付いていたり、子供の笑い声がしたり……、知らない人の顔がちらっと見えたりね」

 

それでもこの程度はまだやさしい方だと彼女はいう。

 

「ひどいときはポルターガイストみたいになって……、自分の家の中から外に逃げたことだってあるの」

 

ポルターガイストと聞くと、家具がひとりでに動き出し、家の中にまるで嵐が入り込んできたかのような状況を想像してしまうものだが、日本ではここまで過激なアピールは実話怪談でもあまり耳にすることはない。しかし、海外の実話怪談では露骨で大胆な心霊現象が珍しくないのである。

 

霊の話にも「お国柄」があるのは興味深い。筆者自身もさまざまな心霊体験があるが、すべて日本での現象である。海外旅行でたまたま泊まったホテルの部屋でポルターガイストがもし起きたらどうしたものかと思う。

 

そんなポルターガイストに対してシャロンは、「自宅の前で『浄霊』をするのよ。それから家の中に入る。でも、おかしな話ね」

 

霊を感じるだけでなく対処することができるという。彼女は最初こうしたテクニックを自身のためだけに使っていたが、心霊物件で悩む人達が自分の周囲にもいることを知り、一念発起してゴーストハンターのチームに加わったのだという。当時のシャロンはまだ20代であった。

 

筆者は彼女からゴーストハンターという言葉を耳にした時、それが一体どんなものなのかよく分からなかった。映画『ゴーストバスターズ』のように獣のごとく街中で暴れ狂う幽霊を掃除機で吸い取るわけでもあるまい。しかし彼女の話を聞いていくにつれてそのような疑問は氷解していった。早い話、日本でいう霊能者に近い。

 

チーム内での彼女の役割は「Empath(エンパス)」だったという。某辞書サイトによれば、「エンパス」は他人の感情を読み取る超能力者であり、対して「Telepath(テレパス)」は他人の思考を読み取る超能力者と解説されている。

 

要するに、彼女は霊の怒りや悲しみを感じることでその存在を知り、また浄霊のタイミングを計ったりするのだと思う。そんな力を持つ彼女であるが、ある事件がきっかけでチームを去ることになってしまう。

 

「私達のチームはとある心霊物件で調査にあたってた。解決するために皆で頑張ったのよ。でもその物件の霊の力は想定を越えていたの……。彼は目と頬に物理的な切り傷を受けて……、彼は私の友人だったのよ」

 

シャロンの友人が重傷を負ってしまったのである。その事がショックとなり、彼女は継続する自信を失うことになる。

 

霊は時に、具体的な形を取り物理現象を引き起こすものだが、彼女の事例のように直に肉体的攻撃を受けるというのは怖いものである。それこそゲームか小説の世界のような話だ。さらに驚くべきことに、彼女の能力はエンパスだけではない。

 

「私の最大の力はだれかが死ぬ前にそれがわかる。たいていは悲劇的なことか死に直面するようなことよ」

 

(My biggest sense is right before someone dies. I usually know if a tragedy or a death will occur.)

 

近い将来に限られるが、「人の死」がフラッシュ映像となって視えるというのだ。これは彼女に身近な存在や知人であればあるほど鮮明度は増すという。筆者は試しに、筆者の死相は視えるかとおそるおそる聞いてみた。

 

「しばらくは大丈夫そう。……フフ」

 

筆者の経験では、街角に座っている霊感占い師にも「当たり」は存在する。次回のエピソードでは、まったく有名ではない近所の占い師が実は究極の力を持っていた、という話を紹介してみようと思う。

 

文=MASK校長

 

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