日中欧の行動は「米国外し」の象徴か?

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ドナルド・トランプ米大統領は就任以来、貿易政策に関して強硬な発言を続けてきた。そのトランプに対し、中国と欧州が明確なメッセージを発した──「米国はもう不要だ」

中国は7月5日、欧州の航空機メーカー、エアバス・インダストリーから旅客機140機を230億ドル(約2兆6130億円)で購入する契約を締結した。契約書への署名は、中国の習近平国家主席とドイツのアンゲラ・メルケル首相も立ち会う中で行われ、両首脳が笑顔で写る多数の画像が公開された。

中国とドイツはいずれも、米国との貿易についてトランプから厳しく批判されてきた。両国ともに、今後は米国とは関わりなく、独自の道を進む決意を示したといえるだろう。

今回の契約が驚きと捉えられたのは、中国はこれまでジェット旅客機を米国の航空機メーカー大手、ボーイングから購入してきたからでもある。中国情勢について詳しい評論家のジェームズ・ファローズによると、中国の商業航空部門の確立を支援してきたのは実際のところ、米国とボーイングの幹部たちだ。

さらに、この契約はトランプがこれまで声高に批判してきたもう一つのことを、改めて明らかにしたものでもある。2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟はしたとはいえ、中国は従来の貿易相手国とは異なるということだ。

例えば米国では、航空会社が航空機を購入したいと考えれば、その幹部が航空機メーカーと交渉し、契約する。だが、中国では政府職員が交渉に当たる。同国に48社ある航空会社は、大半が国有企業だ。そのため中国では、航空機の購入はビジネスに関する決定であると同時に、政治的な問題でもある。

日欧EPAも一例

各国の間に米国と距離を置く動きが見え始めたことを示す別の例が、日本と欧州連合(EU)が6日に大枠合意した双方の間の経済連携協定(EPA)だ。トランプは前任のバラク・オバマ大統領が各国と大筋合意していた環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を表明したが、日本とEUはそれとは別に、EPA発効に向けて話し合いを進めてきた。

EUのドナルド・トゥスク大統領(欧州理事会議長)は日欧EPAの大枠合意を受け、「孤立主義と分裂の時代が再来すると言う人もいるが、そうではないことを私たちが証明した」と述べている。

「懲罰」課税を警戒

一方、ドイツ商工会議所(DIHK)は4日、トランプが懲罰的関税の適用をちらつかせていることについて、課税されれば貿易戦争が起きる可能性があると警告した。トランプはドイツの大手自動車メーカーBMWに対し、米国市場向けの車の生産工場をメキシコに建設する計画を中止するよう要求。応じなければ、同社が米国向けに輸出する自動車に35%の関税を課すと主張している。

トランプはそのほか、ドイツが米国への輸出を増やす手段として、ユーロ安を維持しているとの批判も展開している。