北朝鮮の羅先経済貿易地帯(ウェブサイト「ネナラ」より)

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北朝鮮は1991年12月、中国、ロシアとの国境に面した地域に「羅津・先鋒(ラジン・ソンボン)自由経済貿易地帯」を設置した。合営と合作、および外国人単独の投資による企業を認め、利益を法的に保護することなどを謳い、翌年10月には外国人投資法、外国人企業法、合作法など投資関連の法律を整備した。

一般的に羅先(ラソン)経済特区と呼ばれるこの地域だが、進出していた中国とロシアの企業の撤退が相次いでいる。

その理由は「北朝鮮当局と企業が、進出した外国企業を相手に詐欺まがいの行為を働いているから」だと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

契約の際に提示していなかった様々な条件を後になって持ち出したり、様々な言い訳で利益を渡そうとしなかったりすることもある。また、外国企業側が相手を信用して後払いで商品を渡したところ、代金が一銭も支払われなかったケースもあるという。

また、当局からの無理な要求も進出企業を困惑させている。

羅先市の保衛局(秘密警察)は、中国企業に対して自分たちの車両にガソリンを供給せよとの要求を突きつけた。1リットル6元(約100円)だったガソリンが、わずか数週間で10元(約167円)まで高騰し、払えなくなったというのがその理由だ。

中国企業は、北朝鮮の合弁相手との関係を保つために、泣く泣く保衛局の要求を受け入れたという。しかし、北朝鮮国内では通用するやり方であっても、外国企業がいつまでも従うわけがない。そんな理不尽な要求に、「北朝鮮には到底常識が通用しない」と呆れ果てて、損切りの形で撤退しているのだという。

ただ、撤退できるだけまだマシであるとも言える。損切りに耐えるの余力のない中小企業や個人投資家は、地団駄を踏むばかりだ。

そこに加えて国際社会の経済制裁も加わり、北朝鮮の地方都市の中で最もリッチと言われていた羅先は、「投資家に見放された病んだ都市」(情報筋)と言われるようになっている。

北朝鮮に進出した外国企業が辛酸を嘗める事例は、昨日今日に始まったことではない。

エジプトのオラスコム・テレコム社と、北朝鮮の朝鮮逓信公社の合弁で2008年に設立されたコリョリンクは、北朝鮮初の携帯電話会社として、300万人以上のユーザーを有している。しかし、利益の国外持ち出しを巡り同社と北朝鮮当局の間で折り合いがつかない状態が続いている。

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また、北朝鮮は昨年2月、開城(ケソン)工業団地を突如として閉鎖し、その翌月には同公団に進出していた韓国企業や関係機関の資産を没収した。そればかりか、工場に残されていた製品を勝手に持ち出し、売り払った。

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ちなみにS&P、ムーディーズ、フィッチなど信用格付会社は、国別の信用格付を発表しているが、北朝鮮はその対象にすらなっていない。つまり、「投資不適格」以下ということだ。