北朝鮮から脱出したものの、韓国などへ逃れることができず中国に潜伏中の脱北者は一説に30万人に達するとも言われる。男女比では女性が多いとされるが、その大部分が、騙されたり拉致されてたりして中国にやってきたという調査結果が発表された。

韓国の統一文化研究院と、朝鮮日報系のテレビ朝鮮は最近、中国在住の脱北女性100人を対象に調査を行った。中国に来た理由を問う質問に、77%が拉致されたり、騙されたりしてやって来たと答えた。また、自発的にやって来たと答えた23%の女性も強制結婚、強制売春の被害に遭っていることがわかった。つまり、100人のほとんどが何らかの人権侵害に晒された経験を持つということだ。

また、調査対象者に脱北した時点での年齢を問う質問には、14人が10代、57人が20代、27人が30代と答えた。

遼寧省丹東近郊の農村に住む脱北女性はテレビ朝鮮の取材に、「1万元(約16万7000円)稼げる、メシを食わしてやる」とのブローカーの言葉に騙され、国境の川を渡った。ところが、人身売買の被害に遭い、中国人男性に売り飛ばされた。

中国語ができないため、何ひとつコミュニケーションが取れないまま、食事を作ったり洗濯をしたりしていた。夫の姉には、八つ当たりで暴力を振るわれてきた。

河北省の農村に住む脱北女性は、カネが稼げるとブローカーに騙され、人身売買の被害に遭った。ところが、結婚させられた夫はすぐに当局に逮捕されてしまい、生きていくために、北朝鮮に残された家族に送金するために、売春をせざるを得ない状況に追い込まれた。

この女性は、より多くの客を取るために「整形手術を何回も受けさせられた」「儲かるので、客を相手に麻薬の密売をするケースもある」とも語っている。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

こうした被害のなくならない大きな理由のひとつとして、中国当局が脱北者を摘発し、北朝鮮に強制送還している事実がある。脱北者は本国で収容所送りなどの厳罰を受けるのを恐れ、どんな人権侵害に遭っても誰にも保護を求められないのだ。

国際社会ではいま、核・ミサイル開発を巡り、中国が対北朝鮮制裁に本気で取り組むよう求める声が高まっているが、現在進行形で被害者の生み出されている脱北者問題についても、より多くの関心が集まることを望む。