女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちのエピソードです。

今回お話を伺ったのは、現在、無職の水田紀子さん(仮名・34歳)。彼女は埼玉県と東京都の県境に住んでいます。家は家賃3万円のシャワーとトイレ付きの物件。1年前までは港区に住み年収500万円だったのに、たった1年で無収入に。

「原因は、転職3社目の会社で、みなし残業代やボーナス額に不服申し立てをしたから。会社は要望を聞いてくれましたが、与えられる仕事量が激減し、結局、自主退社に追い込まれました」

紀子さんは20年ほど前に活躍していた女優・遠山景織子さんのようなガリガリのボディーにセミロングヘア。青のボーダーのシャツワンピを着ています。ブランドを聞くと有名なファストファッションでした。

彼女は栃木県の名門進学校を卒業し、都内の有名大学に進学。4年間片道2時間以上かけて世田谷区やお茶の水に通学していたほどの勤勉な女性です。

「決められたことはきちんとできるし、やりたいと思うんです。大学も高校の推薦枠で進学したから、私が1日でも休むと後輩に迷惑がかかると思って、必死で行ったんです。でも、そこまで大学は私のことを見ていませんでした」

両親の期待を一身に受けた紀子さんは、“男の子だったらよかったのに”と言われて育ったとか。今、ガリガリのボディーとはいえ、石原さとみさん風のタレ目メイク、ピンク色の口紅、赤とピンクのマーブル模様のジェルネイル……女性らしさが匂い立つような雰囲気に“男子”の気配は一切感じません。

「3歳下に異常に出来が悪い弟がいて、私の方が頭良くて運動神経も抜群。生徒会の役員もしていましたからね。父親は地方公務員として最高の地位までいったのですが、大学時代までは“お前が男だったら、俺がひっぱってやるのにな〜”と言っていました。だから、中学校時代に初恋をしても親に悪いことをしているようで、死にたくなったことを覚えています」

初潮を迎えた娘に、みっともないという母親、女性である自分が受け入れられないという悩み……

紀子さんの初潮は6年生の時。夏休みの夏期講習の途中にやってきて、ズボンを汚してしまったそうです。

「母は“みっともない”とか“恥ずかしい”とか、“きちんと教えなかった私が世間様に笑われる”とかブツクサ言いながらズボンを洗ってくれました。お父さんには言わないでと言ったのに、すぐにバラして“紀子も女の子だったんだ〜”と言った父親のいやらしい声は今でも覚えています。これに勝つには勉強しかないと思ったし、地方都市だったのでヤンキー以外は娯楽もなく、勉強ばかりしていました」

当時、ヤンキーと言われていたちょっとワルそうな仲間に入るには、圧倒的に容姿偏差値が足らず、頭脳偏差値が高かったと紀子さんはいいます。

「コンビニの前でたむろしたり、キスや肉体関係を結んだり、恋人同士が秘密の言語で話したりするのに憧れましたけど、私にはムリ。勉強ができすぎて、色気が全然なく、一応地元では名家とされていたようなので、誰も友達がいなかった。同級生から敬語で話されて、修学旅行のチームでもハブにされた人が集まったチームに入れられる。人間関係は努力しても報われない。これは病みますよね」

高校に入っても、大学に入っても、“周囲から一目置かれる”という疎外感を味わった紀子さんが最初に溺れたのは恋愛。

「既婚者の大学講師の先生と、21歳のときに最初に恋愛関係を結びました。行為の最中にちらついたのは父のガッカリしている顔。終わった後、両親に申し訳なくて泣いてしまったのですが、先生は“私のこと、そんなに好きでいてくれたんだ”と勘違いしていたことを覚えています」

紀子さんの恋愛パターンは、5回くらい肉体関係の機会を持ち、その後相手に嫌悪感を抱くようになり、紀子さんから関係を断ち切る、というもの。

「相手と距離をおいてしまうんですよね。おそらく女である自分が気持ち悪くて受け入れられないからだと思います」

自分が女性であることに申し訳なく思うという紀子さんは、正義感が強い。

転職を繰り返す娘に、父親からの罵声。元ヤンの弟が家庭内での下剋上……〜その2〜に続きます