相続税を節税するための賃貸住宅新築には注意を

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 国税庁が3日に発表した路線価は全国平均で2年連続の上昇となった。路線価は相続税や贈与税の基準になるため、変動の影響は大きい。

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 国税庁によると、15年に亡くなった約129万人のうち、財産が相続税の課税対象となったのは、前年比約1.8倍の約10万3千人にのぼる。課税割合も同様に前年の約1.8倍の8%となり、相続税のすそ野が大きく広がったことをうかがわせる。地域的には東京都や神奈川県等、地価の高いことで知られる大都市圏を管轄する東京国税局管内で課税割合が12.7%となった。亡くなった人1000人のうち127人の相続人に相続税が課された計算だ。

 相続税の制度は15年1月に見直され、非課税となる基礎控除は従来「5000万円+1000万円×法定相続人の数」だったのが、「3000万円+600万円×法定相続人の数」に下がった。この結果、課税対象者が倍近くに増加したこともあり、土地の評価額を小さくできる特例制度の利用が広がるなど、節税への関心が広まっている。

 特例を利用するには申告が必要で、国税庁によると特例の申請件数は不明だが、特例を利用するなど相続税がゼロの申告は15年分で前年比約1.8倍の約3万人に達し、特例制度を使う人が増えているとみられる。

 しかし、相続税を軽減するはずの特例制度を逆手にとって、得だと思わせながら賃貸住宅の建設を勧めたり、購入資金に銀行ローンを使用させたりする手口もまた再三報道されている。

 賃貸住宅は長い時間をかけて利益を生んでいくものであるが、少子高齢化の現代において住宅需要の減少が懸念されていることを勘案すると、余程立地条件に恵まれている等の特別な状況になければ、目論見を実現させることは難しい。特に、アクセスの悪い地域に建てた新築の賃貸住宅が、ほとんど空き室状態でずらりと並んでいる等の話題を耳にすると、節税策に乗せられて食い物にされているのではないかと心配になる。

 単刀直入に言って「借金して賃貸住宅を建てて、節税効果が発揮され、賃料収入が毎月キチンと入ってくるという、うまい話を実現できる人はほとんどいない」。業者が言う”サブ・リース”(※)を真に受けてはいけない。節税するつもりが、将来の頭痛のタネになるのでは本末転倒である。課税対象者が倍増したのに合わせて、被害者も倍増させてはならない。現在検討中の人は、もう一度冷静になって考え直すべきである。

 ※サブリースとは一般的に賃貸物件を「一括借り上げ」て「家賃保証」をする事を言う。