『クォンタムドールズ2017』より

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アリスインプロジェクトによる舞台『クォンタムドールズ2017』が品川・六行会ホールで、9日まで上演している。5日に行われたゲネプロ終了後に、本番を控えたキャストらが意気込みなどを語った。

物語の中心となる女子高生・明里(あかり)役の大原優乃さんはゲネプロを終えた感想を、「私たちも出番の合間に舞台の袖で観ていたのですが、セットと音楽とアクションと全てが揃っていて、一人一人がそのキャラのオーラをまとった姿が、震えるくらいカッコよかったです!」と興奮気味に語った。

明里の相棒・八咫烏(やたがらす)役の平田梨奈さんは、「稽古ではきちんと出来た試しがなくて迷惑かけてばかりだったのですが“本番には強いから許して”と言い続けながら今日を迎えました。ゲネプロは演じていて楽しかったので、本番ではお客さんに満足していただけるように頑張ります」と意気込んだ。

初演にも出演した伊藤彩沙さんは、「みんなの個性が溢れる、また違ったクォンタム・ドールズになったと思う。初演を超えられるようにみんなで力を注いできたのですが、私が別の仕事で稽古場を離れていた間に、みんながすごいパワーアップしていて、昨日の場当たりで感動するくらいビックリしました」と仕上がりに手応えを感じているようだった。

初演から3回とも同じ役で出演している黒原優梨さんと山本太陽さんにもお話を聞いた。

黒原さんは、これまでの2回と比べた特色として、「いい意味でみんなが好きにキャラクターを作っていますね。元は同じキャラクターでもみんなが工夫しているので、作られてくるものが違うんですよ。メリーベル役の、もこ氏(水月桃子さん)も自分で考えて食いしん坊キャラにしたり、みんなが好きに遊びを取り入れています。私と太陽さんが演じる兎子と宏光の劇中での遊びも、そのときに思い浮かんだものを毎回好きにやらせていただいています」とアピールした。

さらに山本さんは、「特に強く感じるのは、伊藤彩沙さんが演じる草間玲のキャラクターですね。今回までは、この世界に紛れ込んだ一般人として、お客さんの気持ちを代弁する役だと思っていたのですが、今回の演出では、全然違った印象を受けます。明里とともに玲ちゃんが世界を救う話なんじゃないかなと思うんですよ。玲ちゃんのキャラがより生きてきたなと思います。何気ないようにみえるセリフでも前回とは響きが違っていて、それが明里にも掛かってきて、今回の座組は玲ちゃんに世界が掛かっていると言えると思います」と紹介した。

それぞれのキャラクターの個性が強くなって、「今まではSFらしい雰囲気が強く前面に出ていたと思うのですが、今回はそれぞれのキャラクターの背景や関係性がにじみ出ていると思います。台本自体はガラッと変わっているわけではないのですが、キャスト一人ひとりの力だったったり、谷口さんの演出だったりで、物語がリアルな感じで描かれていると思います。演じる人と演出をつける方が違うと、こんなに違う作品になるんだな感じています」と黒原さんは語った。

バトルシーンでも、これまで以上にキャラクターの受ける痛みがリアルに伝わってくる印象だが、黒原さんは、「実はそこが難しいんですよ。話の上では攻撃を受けているのはフレイヤ(人間)でも、ダメージを受けるのはエインヘリアル(武器)なんです。そこの一体感を出していこうと合わせていくのが正直大変でした。それこそ、太陽さんが率先して苦痛を表現して、みんなに“俺より痛がって!”って感じで、一番うるさかったんです!“いい意味で”でね(笑)。それで、太陽さんを見習って、みんながみんなを超えていこうと追求して、今の迫力のあるもになっていったと思います。台詞だけでも、付けられた動きだけでも全てではないんです」と稽古の苦労を明かした。

また、迫力を増したセットについて、「全体の作りは初演と似ているんですけど、会場も違って大きくなっていて、上に立つと足がすくむぐらいすごく高いんです。でも、それで演技にも熱が入るし楽しいです。前の席で戦っているのを観るのも、闘技場にいるみたいで迫力がありますし、あれだけでかいセットなので、一番後ろからでも映画のスクリーンみたいで楽しめると思います」と紹介した。

黒原さんは最後に「3回とも出演しているのは私と太陽さんだけなので、周りのみんなより理解している部分は多いと思います。その立ち位置を活かして、みんなのことを後ろから見守って、あと押ししていけたら。みんなと一緒に頑張って、私達も一緒に登っていきたいと思います」と意気込みを語ってくれた。

 

『クォンタムドールズ2017』
日程 2017年7月5日(水)〜7月9日(日) ※全8公演
劇場:品川・六行会ホール(新馬場駅 徒歩約3分)

<出演>
大原優乃/平田梨奈/伊藤彩沙/江藤彩也香/大塚愛菜/黒原優梨/南千紗登/鶴田葵/百瀬はる夏/水月桃子/山本太陽 ほか