1966年7月3日、ビートルズは日本での公演を終え次のステージ、フィリピンへと旅立った。わずか5日間の滞在、台風と共にやってきた彼らを“ビートルズ台風”と呼んだそうだ。『ひよっこ』第14週「俺は笑って生きてっとう!」では、ビートルズ来日と一緒に上京してきた、宗男(峯田和伸)の笑顔の理由、彼にとっての戦争の終わりを描いた心温まる物語が展開された。

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 “ビートルズ台風”と共にやってきたのは、宗男だけではない。静かに恋の嵐も吹き荒れていたのだ。それが、みね子(有村架純)と島谷純一郎(竹内涼真)の恋模様。ビートルズのチケットを持っていたことを黙っていた島谷。それは、みね子がチケットのために一生懸命になっている姿を見ていた上で、簡単にチケットが親から送られてくる、自分の恥ずかしさからだった。みね子にチケットを渡そうと思ったけど、それが出来なかった。「私はかわいそうに見えるけど、そんなんじゃない」と、みね子は父親が行方不明になった素振りを少しも見せず、あかね荘のみんなに接していた。「好きなんだ。みね子ちゃんのこと。だろ?」。ヒデ(磯村勇斗)の問いかけに島谷は2回頷き「うん」とつぶやく。

 自分の気持ちに正直になった島谷は、とにかく可愛い。みね子と話した回数を早苗(シシド・カフカ)と争ったり、みね子の話を聞き耳立てて聞いていると思わず鼻の下が伸びてしまったり、うぶな男の子全開。ナレーション(増田明美)も「島谷くん、いつみね子に告白するのかな」と入るほどに、いつしか恋愛ドラマに変化している。その証拠に、第15週のタイトルは「恋、しちゃったのよ」。急接近するみね子と島谷の関係に、登場人物みんなが気が気でない様子が、短い予告映像からも伝わってくる。

 予告映像の中で「悲しい思いとかさせるなよ」と島谷にアドバイスしているのは、以前あかね荘に住んでいたよしみで仲の良いヒデ。彼は、島谷に自分の思いを気づかせた恋のキューピッドでもある。ヒデは、すずふり亭の中で元治(やついいちろう)や省吾(佐々木蔵之介)にいじられ、気にかけられる存在。真面目で真摯な態度は、誰からも愛されるキャラクターであり、しっかり物事に意見できる人物でもある。みね子がすずふり亭で働き始めた時、率先して彼女に仕事を教えていたのも、みね子がビートルズのチケットを取るにの奮闘していた時、背伸びして歯磨き粉を買っていたのもヒデだった。ヒデが島谷の背中を押しているのは、好きの裏返しの行動だった……ということも考えられる。

 「俺は笑って生きてっとう!」では、ラストに乙女寮の面々が同窓会としてすずふり亭を訪れる。『ひよっこ』には、いつも嵐のようにやってくる人物が一人。みね子の父親、実(沢村一樹)の捜索を手伝ってくれている綿引(竜星涼)だ。みね子は乙女寮のみんなで行った夏の海をきっかけに、綿引への思いに気づくも、それをそっと胸の中にしまった。喫茶店で綿引と飲んでいた思い出のクリームソーダ。それを、時子(佐久間由衣)と三男(泉澤祐希)といる時は、思い出さないようにオレンジジュースを頼んでいた。父親との物語が動き出せば、再び綿引の登場もあるだろう。

 島谷、ヒデ、綿引。みね子を取り巻く恋模様はどのような物語で進んでいくのか。(渡辺彰浩)