安保理での協議はさらに難航することが予想されている (c) 123rf

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 国連安全保障理事会は、7月4日の北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を批難する公式声明を出す方向で調整を進めていたが、ロシアが「北朝鮮のミサイルはICBMではない可能性がある」と主張、意見統一が難航していることが明らかにされた。複数の安保理関係者が明らかにし、YOMIURI ONLINEなどが報じた。

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 ところでそもそもの話としてICBMとは何だろうか。intercontinental ballistic missile, ICBM。大陸間弾道弾。「大陸と大陸の間を飛翔し、攻撃を加えることのできるミサイル」。だが、大陸といっても地球上にはたくさんある。具体的にどこからどこに向かって撃つことが想定されているのか?

 実のところ、その定義はもともと、極めて政治的に設定されている。1972年に調印された、戦略兵器制限条約というものがある。いまや隔世の感深いが、当時、世界は東西冷戦の帳のもとにあり、アメリカ合衆国とソビエト連邦が覇を競い合っていた。

 東西冷戦のもと、米ソ両国は際限のない軍拡競争を行っていたが、やがて両国ともそれに疲れ果て、数多くの相互制限条約を作った。1972年の戦略兵器制限条約もその一つなわけであるが、このとき、ICBMの定義は、「5,500km以上の射程を持つミサイル」と定められた。

 なぜかといえば、アメリカとソ連の本土同士を結ぶ最短距離が5,500kmだったからである。

 さて、話を国連安保理に戻そう。

 ロシアは、北朝鮮が発射したミサイルは、ICBMではなく中距離弾道ミサイルであるかもしれない、と主張している。北朝鮮自身がICBMの発射に成功したと宣言し、アメリカの軍事専門家も飛距離7,000〜8,000kmのミサイルと分析しているにも関わらず、である。

 ロシアの意図を分析することは難しいとは思われない。政治や軍事の専門家でなくても容易であろう。要するに、北朝鮮と関わりの深い立場として、事を荒立てたくないのだろうと、素人でも想像がつく。

 米国は制裁強化など外交的に解決ができなければ、北朝鮮への武力行使も選択肢にあげているが、今回、声明文の発表で協議が決裂したことから、制裁強化に関してはさらに調節が難航するものと予想されている。